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政治家の妻や夫に"新時代"が到来? アメリカでは"次期大統領"の妻が仕事を続け、"次期副大統領"の夫が仕事を辞めようとしている

ハリス夫妻、バイデン夫妻

2020年11月7日、デラウェア州ウィルミントン。

Andrew Harnik/Pool via REUTERS

ANALYSIS

  • アメリカ大統領選挙で勝利を確実にした民主党のジョー・バイデン氏の妻ジル・バイデンさんは、ファーストレディーになっても大学教授として働き続けるつもりだと話している。バイデン氏が正式に次期大統領となれば、ジルさんはフルタイムの仕事を持つ初めてのファーストレディーとなる。
  • 一方、副大統領候補のカマラ・ハリス氏の夫ダグ・エムホフさんは、セカンドジェントルマンとしての務めと妻のキャリアのサポートに専念するため、強力な法律事務所の仕事を辞めるという。
  • どちらも、政治家の配偶者のステレオタイプなジェンダーロール(男女の性別による役割分担)とは一線を画している。
  • 米ライダー大学の教授で『The President's Partner: The First Lady in the Twentieth Century』の著者でもあるマイラ・グティン(Myra Gutin)氏は、「わたしたちはこれまで、常に政治家の配偶者を非常にジェンダー的なメガネを通して見てきた」ことから、この変化は「新鮮な息吹」だとInsiderに語った。

2020年のアメリカ大統領選挙で歴史を作ったのは、勝利宣言をし、最高齢の"次期大統領"となる見込みのジョー・バイデン氏や黒人・南アジア系の女性として初めて"次期副大統領"となる見込みのカマラ・ハリス氏だけではない。バイデン氏とハリス氏のそれぞれのパートナーも、政治家の配偶者のステレオタイプなジェンダーロールとは一線を画し、歴史を作ろうとしている。

バイデン氏の妻ジル・バイデンさんは、ファーストレディーになっても大学教授として働き続けるつもりだと話していて、史上初のフルタイムの仕事を持ちながらファーストレディーの務めを果たす女性となる見込みだ。ハリス氏の夫ダグ・エムホフさんは、妻のキャリアをサポートし、アメリカ初のセカンドジェントルマンとしての務めを果たすため、国際法律事務所「DLA Piper」の仕事を辞めるつもりだと発表した(事務所がクライアントの代理として、連邦政府にロビー活動を行っていいることから、倫理的配慮があった可能性も)。

ジル・バイデンさんは学士号、2つの修士号、教育の博士号を持ち、教育者として30年以上にわたって人々を教えてきた。オバマ政権下では"仕事を持つ初めてのセカンドレディー"としてその役目を果たしつつ、ノーザン・バージニア・コミュニティー・カレッジで英語を教え続けた。8月のCBSのインタビューでは「わたしたちがもしホワイトハウスへ行くことになっても、わたしは教え続けるでしょう」と語っていた。

バイデン氏も妻のキャリアをサポートしている。11月7日の勝利演説では自身を「ジルの夫」と紹介し、妻の仕事に対する情熱を称賛した。

「彼女はその人生を教育に捧げてきました。ただ、教えることは彼女の仕事というだけではありません。彼女そのものなのです」とバイデン氏は語り、「アメリカの教育者、皆さんにとって今日は素晴らしい日です。あなた方の仲間の1人がホワイトハウスへ行くのです。そして、ジルは素晴らしいファーストレディーになるでしょう。彼女をとても誇りに思います」と続けた。

配偶者に明確な任務、給料、職務上の責任はない… だからこそ"現代化"の余地がある

バイデン夫妻

バイデン氏と妻のジルさん。

Win McNamee/Getty Images

「大統領の配偶者がこれまでその地位をどう使ってきたかは、人によってさまざまです」とライダー大学のコミュニケーション学の教授で『The President's Partner: The First Lady in the Twentieth Century』の著者でもあるマイラ・グティン氏はInsiderに語った。

「ヒラリー・クリントンのようにアクティブな人もいれば、その後のローラ・ブッシュのようにあまり表に出てこない人もいます。その次のミシェル・オバマはまた活動的で、政治的な代弁者でした。そして、メラニア・トランプは1960年代以前のファーストレディーたちを思い起こさせます」

ジル・バイデンさんも独自の道を進むだろう。USAトゥデイは、ジルさんをすでに「Professor FLOTUS(ファーストレディー教授)」と呼んでいる。

「これは歴史的なことであり、女性のエンパワーメントについて素晴らしいメッセージを送ることになるでしょう。彼女は大統領の配偶者であるだけでなく、それ以上のことができると言っているのだと思います」とグティン氏は言う。

「送られたメッセージはものすごく強いものです。カマラ・ハリスが女性初の副大統領になることともぴったり合うものです」

ファーストレディー同様、副大統領の配偶者の役割も特に決まったものはない。この柔軟性が、男性として初めてこの地位につくハリス氏の夫ダグ・エムホフさんに自分でそれを定義づけるチャンスを与えている。

「セカンドレディーの中には積極的に関わった人もいますが、こちらも特に書かれたもの、義務付けられたものはありません」とグティン氏は言う。

「(エムホフさんが)妻の政治キャリアをサポートしたい、副大統領となる彼女を支えたいと思っていることは分かっています。アジェンダやこの政権の目の前にあることを考えれば、それは重大な意味を持つでしょう。ダグ・エムホフが何をするのか、興味をそそられます」

男性が女性パートナーの政治キャリアを優先するのは非常にまれ… エムホフさんが仕事を辞めるというのは注目すべきこと

男性政治家の妻が夫のキャリアをサポートするために仕事を辞めても、ニュースにはならない。人々はしばしば、ハーバード大学の法科大学院を出たミシェル・オバマさんが2008年の大統領選で夫の選挙活動をサポートする前は一流法律事務所でオバマ元大統領の指導係だったことやシカゴ大学病院の幹部として働いていたことを忘れる。元ファーストレディーで元国務長官のヒラリー・クリントン氏とビル・クリントン元大統領がともにイェール大学の法科大学院に通っていたことも、だ。

「そこへ今、地位の高い仕事に就いていて、それを辞めるという男性が現れました。これはある意味、革命的なことです」とグティン氏は言う。

ハリス氏の功績をエムホフさんが誇りにしていることも明らかだ。ツイッターやインスタグラムの自己紹介で、エムホフさんは自らを"正義と平等の擁護者"と説明するだけでなく、「@kamalaharris hubby(カマラ・ハリスの夫)」だとしている。雑誌『マリ・クレール』のインタビューでは、「ぼくはあまり政治的でない」としつつも「れっきとした彼女の夫だ」と話している。

妻のキャリアを最優先することで、エムホフさんはアメリカの若い男性たちにとって、有害でない"男らしさ"のモデルを提示している。男性がいかに女性パートナーの大志をサポートでき、彼女たちの成功に脅威を感じずにいられるかをエムホフさんは示している。

ファーストレディーとしてジル・バイデンさんが教育者としての自身のキャリアを大切にし続け、ダグ・エムホフさんがセカンドジェントルマンとしての務めに集中するために法律家としての仕事から離れることは、政治家の配偶者の今後がジェンダーによって決定づけられる必要のない新しい時代のきっかけとなるだろう。

「新鮮な息吹です」とグティン氏は言う。

「わたしたちはこれまで、常に政治家の配偶者を非常にジェンダー的なメガネを通して見てきたのです」

[原文:Vice President-elect Kamala Harris' husband is quitting his job, and future first lady Jill Biden plans to continue teaching. It signals a new era of political spouses.

(翻訳、編集:山口佳美)

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