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映画『ハリー・ポッター』の衣装デザイナーが明かす、象徴的なコスチュームの秘密の数々

ハリー・ポッター

『ハリー・ポッターと死の秘宝』より。

Warner Bros. Pictures

映画『ハリー・ポッター』シリーズの最後の作品が公開されてから約10年。同シリーズは今でも、その魔法のようなシーン、セット、コスチュームで知られている。

Insiderは最近、『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』から『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』までの衣装デザインを手掛けたジャニー・ティマイム(Jany Temime)さんに、映画に登場するそれぞれのキャラクターの衣装をどのようにして作っていったのか、ビデオ通話で話を聞いた。

その中で、ティマイムさんはホグワーツの制服やハーマイオニーがダンスパーティーで着たドレス、ルーナのアクセサリーなど、象徴的なアイテムをどのようにデザインしたのか、裏話を聞かせてくれた。

そのクリエイティブなプロセスを紹介しよう。


『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』に参加した時、ティマイムさんは魔法使いの衣装によりダークで現代的な表現を加えた。

ハリー、ハーマイオニー

登場人物たちはマグルの服をよく着ていた。

Warner Bros.

3作目となる『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』の衣装デザインを手掛ける機会をオファーされたティマイムさんは、魔法使いの衣装に現代的な表現を加えたいと考えた。

これまでのシリーズでは、登場人物も映画の対象視聴者もその多くは10代前後の子どもや若者だった。

「『クリスマス・キャロル』みたいな感じではなく、都会的にすべきだと思ったんです。子どもやティーンエイジャーにとって近付きやすそうな」とティマイムさんは語った。

「ハリーや子どもたちが、自分で着ているように着せるべきだ、と」

だからこそ、『アズカバンの囚人』ではハリー、ロン、ハーマイオニーの3人がハリーの名付け親であるシリウス・ブラックを助けた時にジーンズとスウェットシャツを着ているのだ。ホグワーツでシャツやネクタイをだらしなく着ている生徒がいるのもそのせいだ。


ホグワーツの制服は、作るのにものすごくお金がかかった。シルクのネクタイやウールのセーターを取り入れたからだ。

制服

制服の着こなしはそれぞれ。

Warner Bros. Entertainment

『ハリー・ポッター』シリーズのためにデザインした衣装の中でも、ホグワーツの制服は作るのにものすごくお金がかかった服の1つだったと、ティマイムさんは言う。質の良い素材を使って、大量に作ったからだ。

「完璧な素材以外、使いたくなかったんです。ネクタイは絹、セーターにはウールを使い、ガウンにはものすごく高価な素材を使用しました」

アメリカのフロリダ州オーランドにあるユニバーサル・スタジオに「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」のエリアができた時には、ティマイムさんはテーマパークのために同じ高級素材を使ったホグワーツの制服を改めて作ったほどだ。

「制服をオーランドのパークのために改めて作った時、彼らがその質の高さに驚いていたことを覚えています」とティマイムさんは振り返った。

「あれは本当に高価だったんです」


『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』は、最も衣装デザインが大変な映画の1つだったという。

ボーバトン魔法アカデミー

ボーバトン魔法アカデミーの生徒たち。

Warner Bros.

4作目となる『炎のゴブレット』には、新たに2つの魔法学校が登場する。フランス南部のピレネー山脈近くにあるボーバトン魔法アカデミーとヨーロッパ北部のどこかにあるダームストラング専門学校だ。

これらの魔法学校の制服をデザインするにあたって、ティマイムさんは歴史から民間伝承まで「さまざまな影響のるつぼ」にインスピレーションを求めたという。

青いシルクのドレスに同じ色のショールとフェルト帽を合わせたボーバトンの制服には、自身の伝統からくるシンボルとシリーズの中で使われていない色を利用した。

「わたしもフランス人なので、フランス王国の旗の色でもある青を使おうと考えました… 王国とは何の関係もないんですが」とティマイムさんは語った。ボーバトンの生徒たちが気温の低いスコットランドにあるホグワーツで、くだけ過ぎた服装をしていたらおもしろかっただろうとも話した。

ダームストラング専門学校

ダームストラング専門学校の生徒たち。

Warner Bros.

深紅のローブにファーの帽子とケープを合わせたダームストラングの制服は、スラブ民話からインスピレーションを得たという。

「(彼らの制服は)ものすごく重くて、ロシア民話からハプスブルク民話まで、さまざまな文化をもとにしています」

文学やポップカルチャーで若い視聴者が見たことのありそうな図像をもとにデザインすることで、ティマイムさんは衣装を特別でありながら親しみのあるものにしようとした。

「できるだけ普遍的なものになるように、イギリス風にならないように心がけました。イギリス風だったのは制服と全寮制の学校だったことです。あとはさまざまな影響のるつぼでした」


ティマイムさんは、ダンスパーティーの衣装作りを楽しんだ。ハーマイオニーのエレガントなドレスとロンのコミカルなフリル付きのドレスローブは特に楽しかったという。

ハーマイオニー

ダンスパーティーでは、ハーマイオニーがドレス姿を披露。

Warner Bros.

ホグワーツに卒業パーティーはなかったかもしれないが、4作目の映画では三大魔法学校対抗試合の最中に「ユール・ボール(Yule Ball)」と呼ばれる冬のダンスパーティーが開かれた。

このシーンでのティマイムさんのお気に入りは、ハーマイオニーのドレスとロンのフリルだらけのドレスローブだ。

ティマイムさんがハーマイオニーのためにデザインしたエレガントなドレス「ヴォラント(フランス語で「飛んでいる」)」は、ピンク色の布が重なり合ってグラデーション効果を生んでいた。"愛らしさ"と"魅惑的"のバランスが難しかったという。

お人形さんのようなティーンエイジャーにふさわしいドレスにしたかったが、若干のセクシーさも欲しかった。

「人形のイメージを持ったのは、(ハーマイオニーが)普段、教室の中で最も優秀な、タフな少女だけど、突然脆さが見えたからです」とティマイムさんは明かした。

「脆くて、花のような、とてもデリケートなものにしたかったんです」

ハリー、ロン

ハリーたちはダンスをあまり楽しめなかったようだ。

Warner Bros.

ティマイムさんにとって、ウィーズリー家のお下がりでロンにおばさんを思い起こさせたドレスローブの真の挑戦は、いかに滑稽に作れるかだった。

「最初、ちょっとばかげた感じのものを作ったんですが、実際に着てもらったら(ロンを演じた)ルパートが俳優として着こなしてしまったので、コミカルなものにするためにはもっとばかげた感じに作らなければなりませんでした」とティマイムさんは語り、レースと組みひもを追加したことを明かした。

「あれはものすごく変な感じでした。彼となら、あそこまでできるんだ、と」


ルーナ・ラブグッドを演じたイヴァナ・リンチは、奇抜なキャラクターのためのアクセサリーのデザインを手伝っていたという。

ルーナ

ルーナは奇抜なイヤリングで知られる。

Warner Bros. Pictures

(イヴァナ・リンチが演じた)ハリーの友達でレイブンクローのルーナ・ラブグッドは、ホグワーツの中でも最もエキセントリックな生徒の1人で、その服装もユニークだ。

賢くて奇抜なルーナは、メラメラメガネ(目に見えない生き物が見えるようになるメガネ)やバタービールのコルクでできたネックレスといった特徴的なアクセサリーを身に着けていることで知られる。

ティマイムさんは、このキャラクターのためのアクセサリー作りでリンチとコラボレーションしたことがあったという —— そしてリンチは、ルーナのビーズでできたラディッシュ型のイアリングを自分で作った。ルーナのアクセサリーはものすごく人気で、今でもファンが自分で作ったものをEtsyなどで売っている。

「あれは、素晴らしいコラボレーションでした」とティマイムさんは当時を振り返った。

「彼女は一緒に仕事をするのに、とても賢い子どもでした」

[原文:A 'Harry Potter' costume designer shares secrets about iconic looks, from Hermione's Yule Ball dress to Luna Lovegood's earrings

(翻訳、編集:山口佳美)

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