パナソニックがテスラと共同運営する米ネバダ州の車載電池工場「ギガファクトリー1」。
Bob Strong/Reuters
- パナソニックの経営幹部は、同社の電気自動車(EV)向け車載電池部門が現在向き合う最大の課題は「生産能力の増強」だと語った。
- その理由のひとつは、電池の原料を生産できるのがごく少数の企業に限られていることだ。
- 自動車産業は、当局によるガソリン車規制の強化を受け、ここ10〜20年でEVシフトを進めようとしている。
当局によるガソリン車規制の強化を受け、どの自動車メーカーも生産体制のEVシフトを進めようとしている。
今後10年間に相当数の新型EVが市場投入されることが明らかになっており、それは車載電池メーカーに大きなビジネスチャンスをもたらすことになるだろう。もちろん、メーカーが十分な数量を供給できればの話だが。
パナソニックエナジー・ノースアメリカのバイスプレジデント、セリーナ・ミコラジェクは、オンラインカンファレンス「デジタル・デイズ」のセッション(11月10日)で、以下のように発言している。
「電池産業は自動車産業に比べて規模が小さく、自動車産業の需要増に応じて増産体制を整えることは、目下パナソニックの電池部門が抱える最大の課題だ」
生産能力を増強するには、労働力を増やして新しい工場を建てれば済むという話ではない。アルミニウムやニッケルなど車載電池の原料を採掘し、精製してくれるサプライヤーも必要だ。
しかし、車載電池を構成する部品(の一部)のサプライチェーン、なおかつパナソニックが必要とする質と量を納入できる企業はわずかにひと握りに限られる。
「サプライチェーンの強化については今後改善すべきことがまだまだある」
また、電池セルの生産量を増やすには、品質を犠牲にすることなく作業を高速化するオートメーション化も必要となる。
テスラに追い立てられて……
パナソニックは現在、韓国のLG化学、中国の寧徳時代新能源科技(CATL)に続く、世界第3位のEV向け車載電池サプライヤー。
同社は米ネバダ州でテスラ向けの電池工場「ギガファクトリー1」を操業するほか、2020年4月にはトヨタ自動車との共同出資で「プライムプラネットエナジー&ソリューションズ」を設立している。
「ギガファクトリー1」については、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が同社の主力EV「モデル3」増産の足かせになっていると不満を(Twittterで)表明。
その後、パナソニックは同工場の生産能力増強を徐々に進め、2020年夏にも新たに増産に向けた投資(日本経済新聞の報道によると百数十億円規模)を行うことを明らかにしている。
(翻訳・編集:川村力)