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「決闘する恐竜」の謎解明へ…所有権争いに決着、アメリカの博物館が購入

ニューヨークで展示された「決闘する恐竜」の化石の一部。2013年11月14日。

ニューヨークで展示された「決闘する恐竜」の化石の一部。2013年11月14日。

Seth Wenig/AP

  • 「決闘する恐竜」の化石は、ティラノサウルスとトリケラトプスの骨格が絡み合っている。
  • ノースカロライナ自然科学博物館がその化石を600万ドルで購入し、2022年から展示する予定だ。
  • 研究者らは化石の骨を詳しく調べ、実際に決闘で死んだのかどうかを明らかにしようとしている。

「決闘する恐竜」として知られる6700万年前の化石は、驚くほど保存状態のよいティラノサウルスと、同様に無傷のトリケラトプスの骨から成る。

この化石は何年もの間、所有権をめぐって発掘場所となった牧場のオーナーと鉱業権の所有者が法廷闘争を繰り広げていたため、研究室や倉庫で保管されていた。11月17日、ようやくその闘争が終わり、ノースカロライナ自然科学博物館の協力団体が化石を600万ドル(約6億2000万円)で購入したとシャーロット・オブザーバー紙が報じた。13.6トンの化石はまもなく博物館に到着し、展示に向けた作業が開始される。

化石は2022年に一般公開予定の展示では、古生物学者が岩石を取り除きながら骨や軟部組織を観察し、化石を詳細に調べる様子が見学できる。

「この化石について非常に多くの研究が行われるだろう」とデンバー自然科学博物館の古生物学者、タイラー・ライソン(Tyler Lyson)は、ナショナルジオグラフィックに語った。

恐竜はなぜ死んだのか

「決闘する恐竜」という名称は、彼らの死因に関する最も有力な説に由来している。つまり、2体の骨格の距離が近いことから、研究者はこの2頭が戦っている間に死んだのではないかという説を唱えているのだ。実際にいくつかのティラノサウルスの歯はトリケラトプスの骨にまで達しており、この説に信憑性を与えている。

2013年11月14日、ニューヨークで展示されたティラノサウルスのあごと頭の化石。

2013年11月14日、ニューヨークで展示された小さなティラノサウルスのあごと頭の化石。

Seth Wenig/AP

だが、他の理由も考えられる。例えば、すでに死んでいるトリケラトプスを、ティラノサウルスが見つけたのかもしれない。

「これは6700万年前のミステリーだ」と、ノースカロライナ自然科学博物館の研究リーダーである古生物学者のリンジー・ザンノ(Lindsay Zanno)はシャーロット・オブザーバー紙に語った。

「これは古生物研究チームにとって、垂涎の的になるものだ」

謎を解くために、博物館の研究チームは、化石ハンターがモンタナ州でこの化石を掘り出した場所を訪問する許可を得た。そこで、2頭の恐竜がいつ死んだのか、どのようにして保存されるようになったのかを明らかにする手がかりを探す計画だ。その後、研究チームは博物館に戻り、争いによる傷が骨格に付いているかどうか、化石を詳しく調査することになる。

10年以上にわたる法廷闘争

2006年に発見した「決闘する恐竜」とポーズを取るクレイトン・フィップス。2013年11月14日。

2006年に発見した「決闘する恐竜」とポーズを取るクレイトン・フィップス。2013年11月14日。

Seth Wenig/AP

「決闘する恐竜」は2006年、モンタナ州にあるライジ(Lige)とメアリー・アン(Mary Ann)のマレー( Murray)夫妻が所有する牧場で発見された。化石ハンターのクレイトン・フィップス(Clayton Phipps)と彼のチームがこの牧場を調査した際、フィップスの従兄弟にあたるチャド・オコナー(Chad O'Connor)が、骨の欠片の痕跡を辿っていくと、丘の斜面から突き出たトリケラトプスの骨盤に突き当たった。そこを数カ月かけて発掘したところ、ほぼ完全なトリケラトプスとティラノサウルスの骨格が現れたのだ。

化石はマレー夫妻の土地で発見されたことから、彼らが合法的に所有していた。フィップスのチームは、秘密の研究室に化石を保管しながら、何年にもわたって博物館に対して購入するよう働きかけてきたが、化石の最低限の価値以上の金額を提示してくれるところはなかった。しかし2016年、化石はノースカロライナ自然科学博物館とその協力団体の目に留まった。

売買の交渉は進んでいたが、いったん中断せざるを得なくなった。マレー夫妻の元ビジネスパートナーが、彼らも牧場の鉱業権を有していることを根拠に、化石についても権利を主張して訴訟を起こしたからだ。

2020年6月、何度かの公判と控訴を経て、マレー夫妻側に有利な判決が下され、売却を進めることが許可された。フィップスは、彼の発見がついに日の目を見ることになり、とにかくうれしいとナショナルジオグラフィックに語った。

「いつか孫を博物館に連れて行き『この恐竜はおじいちゃんが発見したんだ』と言いたい」とフィップスは述べた

「この化石は永遠に人々から見られることになる。それこそ私がずっと望んでいたことだ」

[原文:The 'Dueling Dinosaurs' fossil shows a T. rex and triceratops in a possible fight. Researchers are now poised to unravel its mysteries.

(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)

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