ドイツのコロナウイルス対策広告キャンペーンは、2020年11月14日に始まった。
Twitter/Steffen Seibert
- ドイツ政府による広告では、COVID-19のこれ以上の拡大を防ぐために、「アライグマのように怠け者」であることを奨励した。
- ソーシャルメディア上で広くシェアされた広告には、老人が「2020年の冬」に「まったく何もしなかった」ことで、どのように「ヒーロー」になったかについて話しているものがある。
- ベルリン観光局は、花柄のマスクをした年配の女性が、マスクを拒否する人に中指を立てる広告を展開している。
ドイツ政府はコロナウイルス感染症(COVID-19)のさらなる蔓延を防ぐために、国民に「アライグマのように怠惰」であることを促すユーモラスな広告を行った。
「2020年の冬を振り返る老人」の動画はソーシャルメディアで広く共有され、250万回以上の再生回数を記録した。
「この国の運命は我々の手にかかっていた」と彼はドラマチックな音楽とともに語る。
「我々は勇気を奮い立たせ、我々に期待されていること、唯一の正しいことをした。我々は何もしなかったのだ。絶対に何も」
「我々はアライグマのように怠惰だった」と彼は付け加えた。
「昼も夜も家にこもって、ウイルスの蔓延と戦った。ソファが戦いの最前線であり、忍耐が武器だった」
ビデオは「過去」の場面になり、ソファで寝転んでテレビを見ている若い男性の姿が映し出された。
別の広告では、老人がコロナウイルスのパンデミック時に「勇敢」だったことで 「名誉勲章」を受けたストーリーを紹介している。
「パンデミック前、私は間違いなく、この国で最も怠惰な人間だった」と彼は言う。
「私はほとんど部屋にいて、野心もなく、ただコンピュータゲームをしていた。冷たいラビオリを温めるのが面倒だったので、缶から直接食べていた」
広告は、ゲームをプレイしている若者を映す。老人は「そしてウイルスが蔓延した時も、私はずっと怠惰なままだった」と続けた。
「しかし、私とは違い、世界は変わっていった。ウイルスを封じ込めるために人々は家にいるように促され、突然何もしないことが公益となり、怠惰は命を救うようになった。私は怠惰のチャンピオンだった」
ドイツ社会民主党のソウザン・チェブリ(Sawsan Chebli)はキャンペーンを称賛し、「とてもよい。とても心が温まる。そして、とても重要なことだ」とツイートした。
カナダのジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相もこのビデオにコメントした。
「COVID-19についてのドイツの新しい広告を見たことがあるだろうか。何語かは関係ない。メッセージは明確だ。あなたはこのウイルスとの戦いのヒーローになることがでる。そして、あなたは何かをする必要はない」
ドイツ政府がコロナウイルス対策の広告でユーモアを使うのは初めてではない。10月、ベルリン観光局は、花が描かれたマスクをした年配の女性がマスクを拒否する人々に中指を立てる広告を展開した。
しかし、誰もがこの広告キャンペーンのファンというわけではない。日刊紙ターゲスシュピーゲルの編集長、ローレンツ・マロルト(Lorenz Maroldt)はBBCに次のように語った。
「彼らは人々を侮辱することが、厳格で明確なルールと効率的な統制よりも成功すると考えているようだ。それは完全に失敗している」
ドイツは、ジョンズ・ホプキンス大学のサイトによると、パンデミックが始まってから約90万件のコロナウイルス感染例と3万人以上の死者を報告している。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)