ギター需要が急増、フェンダーの売上高は過去最高に…オンライン学習システムも後押し

フェンダーのベース、American Professional IIを弾くエスティ・ハイム。

フェンダーのベース、American Professional IIを弾くエスティ・ハイム。

Fender

  • コロナウイルスのパンデミックとロックダウンは、ギター・ビジネスの復活に拍車をかけた。
  • 2020年、大手ギターメーカーのフェンダーの業績は堅調に推移していたが、3月にアメリカとメキシコの工場を操業停止せざるを得なくなった。
  • しかし意外なことに、ギターの需要はその後急増し、売上高の記録を樹立するかもしれない。

大手ギターメーカー、フェンダー(​Fender)のアンディ・ムーニー(Andy Mooney)CEOはBusiness Insiderに対し、コロナウイルスの大流行によって3月にアメリカとメキシコの製造拠点を閉鎖せざるを得なくなった時、事態がいかに悪化するかを考えていたと率直に語った。

​「我々は崖っぷちを見ていた」

​フェンダーは70年以上の歴史を持ち、多くの浮き沈みに耐えてきた。​ムーニーは、ナイキ(Nike)とディズニー(Disney)に在籍した後、2015年からはストラトキャスターやテレキャスターといったエレキギターや数々の伝説的なアンプで知られるギターの象徴的企業で仕事をしている。

彼のリーダーシップの下で2020年の初めまで、上昇気流に乗っていた。2019年の売上高は6億ドルに達し、ギターが死にかけているという概念を覆しました。「3月までは計画を上回っていた」と彼は述べた。

しかし、コロナウイルスは誰の手にも負えないものだった。

「一時帰休と給与削減を行った。十分な現金を確保するためにあらゆることをした」

そして、予想外のことが起きた。ギターの売り上げが急上昇したのだ。フェンダーは2020年は7億ドルという記録的な売り上げになると予想している。

毎日隕石がビジネスを襲っているかのように感じていたムーニーは、その年の半ばに訪れた感覚の変化を振り返る。

「注文が入り始めた。販売店から本当に好調だという報告が来るようになったんだ」

オンラインギター学習システム「Fender Play」は新しい顧客を引き付けるのに役立った。

オンラインギター学習システム「Fender Play」は新しい顧客を引き付けるのに役立った。

Fender

時間を持て余すロックダウンされた人々が楽器を学びたいと思い始めたようだ。

ムーニーは「我々は他の多くの企業よりも恩恵を受けている」と述べ、最大の懸念は、フェンダーが2020年末までに需要を満たすだけの機材を生産できるかどうかだ、と付け加えた。

10月にはフラッグシップモデルを刷新してAmerican Professional IIシリーズを発売した。さらにその成功を後押しするために、オンライン学習システムの「Fender Play」もリリースしている。

「『なぜFender Playを顧客サービスとして無料で提供しないのか』と自問自答したことはある」とムーニーは、月約10ドルでさまざまな学習ビデオやオンライン学習ツールにアクセスすることができるこのツールについて語った。

「10万人以上が登録してくれるとは思ってもみなかったんだ。しかし、最初の1週間でそれだけの人がサインアップしてくれた。それが50万人にまで拡大したので我々は全力で取り組み、今では98万人がサービスを利用している」

Fender Playは3カ月間の無料トライアルを提供している。

「Fender Playは多くの新しい消費者を呼び込んだ」とムーニーは言い、多くは1946年にレオ・フェンダー(Leo Fender)によって設立されたブランドのことを知らなかった人々であったことを指摘した。そしてそのうちの10%は生涯ギターを弾き続ける可能性があり、彼らが生涯にわたって5つから7つのギターを買うとしたら、ムーニーはその消費行動がフェンダーのハードウェアビジネスを支えることができると信じている。

「私はそれを決してよいことだとは思っていない」と彼はパンデミックがもたらした課題について語った。

「しかし、パンデミックは将来についての考え方を変えさせてくれた」

[原文:The CEO of guitar icon Fender says the company was looking into an abyss when the coronavirus hit — but now the company expects record 2020 sales

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

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