Lee Jae Won/Reuters
- ハーシーがココアの先物取引に参入したことで、市場は大混乱に陥り、価格は史上最高値を更新した。
- ブルームバーグが11月20日に報じたところによると、この菓子メーカーは11月中旬にICE先物取引所を通じてカカオ豆を購入した。
- チョコレート会社は通常、さまざまな割増金を課す現物供給者からカカオ豆を購入するが、ハーシーは先物市場から、より低価格で調達できるようになった。
- これによって11月13日から11月16日までの間にココア先物の価格が13.4%上昇した。
ハーシーは2020年11月、カカオ豆の調達に型破りなアプローチを取り、ココア先物市場を混乱に陥れた。
ハーシーが11月中旬にICE先物取引所を通じてカカオ豆を購入したとブルームバーグが11月20日に報じた。この動きは、カカオ豆を購入するための一般的な方法である現物取引からの移行を示している。世界のカカオ豆購入の大部分を占めるのは卸売業者との取り引きであるが、先物市場を通じて豆を調達することで、ハーシーは割増金の負担を回避することができる。
記事によると、ハーシーの取り引きは取引所の特別な許可を必要とするほどの大規模なものだったという。それによって11月13日から11月16日までの間に12月限の価格は13.4%も上がり、次限月に比べて過去最高のプレミアムがついた。
12月限が期日を迎えた後も、価格は上昇を続けている。11月23日の3月限の価格は2.3%増の2774ドルと、2月下旬以来の高水準となった。
ハーシーの先物取引へのシフトは、ココアの主要輸出業者2社が、新たなプレミアムを導入する直前に行われた。すでにガーナとコートジボワールは、10月から「Living Income Differential」と呼ばれる1トン当たり400ドルの割増金を上乗せしているが、さらに持続可能性と品質維持に関する割増金がいくつかの条件に応じて課される可能性があった。
チョコレート会社の中には、カカオ生産者の生活環境を改善するためにそのような割増金を支払うことに同意した会社もあるが、コロナウイルスのパンデミックとチョコレート需要への打撃により、企業はコスト削減をせざるを得なくなってきている。先物市場に目を向けることで、ハーシーは割増金を回避し、より安い価格でカカオを買うことができる。
ハーシーの広報担当者はブルームバーグに対し、同社は貧困や森林破壊と闘うための「実効性のあるココア持続可能性のための施策策」を続けていると語っている。ハーシーは「Living Income Differential」の支払いを継続し、農作物を多様化するための訓練にも投資している、と広報担当者は付け加えた。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)