夜空を眺める男性。2020年7月19日、カリフォルニア州のサン・ガブリエル・マウンテン国定公園で。
David McNew/Getty
- 12月21日、夜空で木星と土星が接近する。これほど近づくのは800年ぶりのことだ。
- この2つの惑星は20年ごとに接近して「合」を迎える。しかし、2020年はまるで「二重惑星」のようになりそうだ。
- 土星と木星がこれほど接近するのは1226年以来のことになる。
12月21日、木星と土星が夜空で一直線に並ぶ。この2つの惑星は非常に接近し、接触しそうに見えるだろう。
我々が地球からこれほどの接近を見たのは、ほぼ800年前の1226年3月4日のことだった。
地球から見て2つの天体が一直線に並ぶ現象を「合(コンジャンクション:conjunction)」という。今回の例は太陽系の二大ガス巨星が関係しているので「グレート・コンジャンクション」として知られており、およそ20年に1度の頻度で起こる。
「しかし、今回は惑星同士が非常に接近しているという点で、非常に珍しいことだと言ってもいいだろう」とライス大学の物理学と天文学の教授であるパトリック・ハーティガン(Patrick Hartigan)は自身のウェブサイトで説明している。
「実際、非常に近くにあるので、肉眼では区別するのは難しいかもしれない」と彼は付け加えた。
「二重惑星」を見るには
2020年8月25日にNASAのハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された木星。
NASA, ESA, STScI, A. Simon (Goddard Space Flight Center), and M.H. Wong (University of California, Berkeley) and the OPAL team
ハーティガン教授によると、冬至の夜、木星と土星は満月の直径の約5分の1にまで近づき、「二重惑星」を形成しているように見える。もちろん実際には、この2つの惑星は地球と太陽の距離の4倍以上も離れている。しかし、地球からは1つの明るい光の点のように見えるのだ。
小さな望遠鏡を使えば、木星と土星がいくつかの衛星とともに同じ視野に現れる。
2020年12月21日、テキサス州ヒューストンに設置された望遠鏡ではこのように見える。
Patrick Hartigan/Rice University/Adapted from Stellarium graphics
しかし、北米やヨーロッパなどの緯度が高いところでは、この天体ショーを見るのは難しいかもしれないとハーティガン教授は言う。
「視聴条件としては赤道に近いのが最高だが、それ以外の場所でもこれらの惑星が沈む前に1時間くらいは観察できる」
日没後すぐに外に出て、南西の空に望遠鏡を向ければ、このイベントを見ることができるかもしれないと彼は述べている。惑星の方向に望遠鏡を向けるにはStellariumのようなウェブサイトが役立つだろう。
「南西の方向が開けていて、遠くに低い雲がないことが必要だ」とハーティガン教授は言う。
そして彼は、完全に暗くなる前に望遠鏡をセットアップし、双眼鏡も持参することを勧めている。
もしあなたがいる場所が当日曇っていたとしても、心配はいらない。12月21日は2つの惑星が最も近くになる日であり、このイベントは17日から25日までは楽しめる。
次に見られるのは2080年
過去2000年間で木星と土星が今年よりも接近したのはたった2回だけだ。そのうちの一つは1623年だったが、太陽の光がまぶしくて見ることができなかった。しかし、この珍しいイベントを見逃しても、60年後にまた接近するだろう。
1980年にボイジャー1号が撮影した、土星とその2つの衛星。
SSPL/Getty
2080年3月15日、木星と土星は2020年と同じように接近する。 ハーティガン教授によれば、そのイベントは今回よりも地平線から高い位置なので、はるかに見やすくなるという。
「ただし、大きな問題がある。60年後まで生き続けなければならないということだ!」と彼は言った。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)