屋外広告もアナログからデジタルへ。DOOH広告の成長予測:eMarketerレポート

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(写真はイメージです。)

Shutterstock/Songquan Deng

  • この記事はインサイダー・インテリジェンスによる調査レポート「アメリカにおけるデジタル屋外広告費2020(US Digital Out-of-Home Ad Spending 2020)」のプレビュー版。レポート完全版(有料)はこちらから

アメリカでのデジタル屋外広告(DOOH:digital out of home)費は2020年は前年比で1.6%増、2021年は19.2%増の見込み。2020年の27億2000万ドル(約2840億円)に対し、2023年には38億4000万ドル(約4000億円)にまで拡大すると見られる。

DOOHとは、屋外広告(out of home:OOH)のデジタル版のことで、街頭の電子看板や、交通機関や商業施設内のディスプレイに表示される広告のことを指す。周囲の環境に連動したクリエイティブを表示させるダイナミックDOOH広告も注目されている。

アメリカで急速に進む「デジタル化の波」

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アメリカにおけるDOOH広告費の推移と予測(eMarketerが2020年6月に発表したデータに基づく)。

Business Insider Intelligence/ eMarketer

2020年には、アメリカのOOH広告費のうち3分の1をDOOHが占める見込みだ。さほど多くないように思えるかもしれないが、17%だった2015年と比較するとほぼ倍増している。2023年までにアメリカの屋外広告全体に対してDOOHの割合は42%に達すると見られる。

屋外広告のデジタル化は急速に進んでいる。屋外広告大手のアウトフロントメディア(Outfront Media)の決算書によると、同社がアメリカで展開する電子看板の数は2017年の1693台から、2019年には7266台まで増加している。ラマール・アドバタイジング(Lamar Advertising)は2019年に335台を増設、2020年には250台を増設予定と報告している。

屋外広告の事業者団体、Outdoor Advertising Association of America(OAAA)は2020年上半期のアメリカにおけるDOOHの数を推定している。それによると、街頭設置のサイネージが5742台、交通機関のディスプレイが7847台、商業施設内のサイネージが5830台となっている。

DOOHのなかで最も一般的なものが、大型の電子看板(デジタル・ビルボード)だ。OAAAによると、アメリカにある大型の電子看板の数は、2016年の6700台から2020年上半期には9600台と、43.3%も増加している。

デジタル化で変わる屋外広告の使い方

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アメリカにある電子看板の数の推移。単位は千(OAAAが2020年7月に発表したデータに基づく)

Business Insider Intelligence/ eMarketer

従来屋外広告は、広く一般にブランド認知を促す「アッパーファネル」として位置付けられていた。しかし現在はこの分野でも、デジタル化やデータ・ドリブン型へのシフトが進んでいる。

そうしたなか、屋外広告でもダイレクトレスポンス広告やD2C企業による出稿が増えている。D2C企業はソーシャルメディアなどでのディスプレイ広告よりも広範囲なリーチを必要としており、OOHやテレビ広告に注力している。

本レポートのキーポイント:

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コロナ危機長期化を受けて、eMarketerは2020年3月に発表した「アメリカでのOOH広告費の推移予測」を6月に修正した。修正前の数字は「黒」で、修正後は「赤」で表示。

Business Insider Intelligence/ eMarketer

OOH広告はコロナ危機以前は着実な成長を遂げていた。だが、外出制限やソーシャル・ディスタンス、イベント中止、街中での人出減少などを受けて、マーケッターはOOH戦略を見直している。

パンデミックはOOH広告費にどう影響した?:

アメリカにおける2020年度のOOH広告費に関して、eMarketerは外出制限が始まる前の3月初旬時点では、前年比3.3%増と予測していた。現在はこれを下方修正し前年比4.6%減の82.5億ドルと見込んでいる。

広告主はOOHを使ったキャンペーンをどう見直している?:

出稿が決定済みの広告枠に関しては、広告主は契約条項を確認しながら可能な限りの調整を試みている。媒体社とキャンペーン日程の延期交渉を行う企業や、広告内容を社会課題や健康関連などのメッセージ性の高いものに変更している企業もある。

OOH広告のうち、デジタルの割合は?:

2020年には、アメリカのDOOH広告費は27.2億ドルに達する。OOH広告費のなかでデジタルが占める割合は33.0%。

OOHにおけるプログラマティック広告の割合は?:

OOHのプログラマティック広告費は2020年に倍増するものの、まだ規模は小さくOOH広告費全体の2.2%に留まっている。

本レポートの完全版では:

アメリカのOOHに関する最新トレンドやデータ、マーケティング戦略についてまとめた。OOH広告費の最新予測とともに、初の試みとして「DOOH」「従来のOOH」「プログラマティックOOH」を個別に見ながら、それぞれの広告費の推移と予測を提供する。

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[原文:Out-of-home ad spending is becoming more digitally driven

(翻訳・野澤朋代)

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