空の旅は安全か?…米航空会社CEO「空気をろ過しているから大丈夫」

サウスウエスト航空のCEO兼会長のゲリー・ケリー。

サウスウエスト航空のCEO兼会長のゲリー・ケリー。

Lawrence Jenkins/Getty Images

  • サウスウエスト航空のゲリー・ケリーCEOは、コロナ禍でも旅行客は「飛行機に乗るべきだ」とAxiosのインタビューで語った。
  • ケリーCEOは、機内の空気はろ過した上で循環させていると述べたが、公衆衛生の専門家は混雑した空港にいて、感染者の近くに座るようなことがあれば、ウイルスに感染する可能性があると語っている。
  • アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は自宅に留まるように勧めているにも関わらず、感謝祭前の週末には、およそ100万人のアメリカ人が飛行機に乗って旅行に出かけた
  • 「その飛行機には誰が乗っているか、どこにいた人か、どのような状態の人か、まったくわからない」と、ニューヨーク州立大学バッファロー校のトーマス・ルッソ感染症部門長は、以前Business Insiderに語っていた

サウスウエスト航空のゲリー・ケリー(Gary Kelly)CEOは、新型コロナウイルスのパンデミックであっても旅行客は飛行機に「乗るべきだ」と語った。

Axiosのインタビューで、ケリーCEOは「飛行機に乗るべきだ。我々全員が責任を持ち、我々の接触について頭を使う必要がある」と語った。

ケリーは、新型コロナウイルスへの感染は飛行機に乗るか乗らないかではなく、搭乗時間以外に旅行者が何をしているかが問題なのだ、と述べた。

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は自宅に留まるように勧めているが、約100万人のアメリカ人が感謝祭前の週末に飛行機で旅行に出かけた。アメリカではCOVID-19の患者が1200万人を超え、11月24日の時点で入院患者は8万5700人と過去最高になっている。

最近の研究で、換気が十分でない室内の空気によってウイルスが拡散する可能性があることがわかってきた。屋外または換気が十分な室内では、レストランや刑務所などに比べて感染の発生が少ない。ケリーは機内の空気は数分おきに循環し、「病院並み」のフィルターシステムでろ過していると述べた。

だが、公衆衛生の専門家や研究者は、飛行機での旅行には依然として大きなリスクがあると言っている。Emerging Infectious Diseaseに発表された、16例の新型コロナウイルス患者を追跡した研究では、10時間のフライト1回で、感染者の近くに座った乗客の92%が感染したことが判明した。

乗客は飛行機が離陸する前にも、ウイルスを保持しているかもしれない人々とともにセキュリティ・チェックの列に並び、空港の人混みの中にいなければならない。ソーシャルディスタンスをとることで感染リスクを最小限にできるが、最新写真を見れば、空港はホリデーシーズンの旅行客で混雑しているとわかる。

中央の席を使用しないことで乗客の間に空間を作れるが、サウスウエスト航空は12月1日から全席の販売を開始する。同社は、パンデミックによる旅行客の減少で第3四半期に12億ドルの損失を出し、2021年1月に同社の53年の歴史で初めてとなるレイオフを実施すると発表した。

フライト中にマスクを着用していれば乗客はさらに身を守れるとケリーCEOは述べた。マスクは非常に効果的だが、絶対に安全というわけではない。だからこそ公衆衛生の指導では、マスクの着用と1.8mのソーシャルディスタンスを取ることを組み合わせている。しかし、航空機の座席同士は距離が近く、旅行者が距離を取るのは難しい。

「その飛行機には誰が乗っているか、どこにいた人か、どんな状態の人なのかは、まったくわからない」とニューヨーク州立大学バッファロー校のトーマス・ルッソ(Thomas Russo)感染症部門長は、Business Insiderに語っていた

「マスクにはある程度の防護効果はあるが、そのような状況、特にフライト時間が長く、混雑すれば、リスクが生じるのは間違いない」

[原文:'You should fly': Southwest Airlines CEO said traveling by plane is safe, despite the CDC and infectious disease experts warning against air travel

(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)

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