Brendan McDermid/Reuters
- ウォール・ストリート・ジャーナルによると、セールスフォースがスラックと買収交渉を進めているという。
- 今回の動きは、セールスフォースのオフィス・コミュニケーション・ソフトへの積極的な進出を示すものだ。
- この交渉が買収につながるとは限らないと記事は述べている。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は11月25日(現地時間)、セールスフォース・ドットコム(Salesforce.com)がビジネス・コミュニケーション・ツールのスラック(Slack)と買収交渉を行ったと報じた。
WSJはその後記事を更新し、12月1日のセールスフォースの四半期決算報告の前に買収が発表される可能性もあると述べている。
この交渉がすぐに買収につながるという保証はないがセールスフォースがオフィス・コミュニケーション分野にさらに積極的に進出することを示唆するものだとWSJは報じている。セールスフォースにはすでに彼らの顧客管理ツールと併用できるコミュニケーションとコラボレーションのためのソフト、ChatterとQuipがある。
この報道の前のスラックの時価総額は約170億ドルで、買収価格はさらに高くなる可能性が高いため、セールスフォースの買収案件としては最大のものになるだろう。このニュースを受けてスラックの株価は32%も上昇し、セールスフォースの株価は約3.5%下落した。両社からのコメントは得られていない。
今回の交渉は、セールスフォースの方針の継続を表している。同社は近年、2つの大規模な買収を行っている。2019年にデータ可視化ツールのTableauを150億ドル以上で、2018年には統合ソフトウェアのMuleSoftを2018年に65億ドルで買収した。
セールスフォースのマーク・ベニオフ(Marc Benioff)CEOは8月の四半期決算会見で、今のところは同社のような大企業にとって買収を行える環境ではないと述べた。同CEOはまた、MuleSoftとTableauとの統合に注力しているとも述べている。
しかし、セールスフォースは2020年にいくつか小規模な買収を行った。2月にはVlocityを13億ドルで買収し、3月初めにはマーケティングネットワークのCMO Clubを買収している(金額は非公表)。
アナリストは、セールスフォースがその急速な成長を維持するには買収に頼る必要があるのではないかと推測している。UBSのアナリストによると、同社は「イノベーションの欠如」に苦しんでいるという。
セールスフォースとスラックは2016年から提携しており、2019年には提携を拡大して両サービス間のシームレスな移動を可能にした。両社にはマイクロソフト(Microsoft)と競合しているという共通点がある。セールスフォースはマイクロソフトの顧客管理ツールと、スラックはMicrosoft Teamsと。両社が合併すれば、マイクロソフトに対するより強力な競争相手になるかもしれない。
[原文:Salesforce has reportedly held talks to buy office messaging app Slack]
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)