孫正義氏=ThomasPeter / REUTERS; 大戸屋=編集部撮影; 東京ディズニーランド=Carl Court / Getty Images; レナウン=今村拓馬撮影; NTT=Issei Kato/REUTERS
2020年は、新型コロナウイルスによって私たちの生活や社会のあり方、そして企業の行動が一変した1年となりました。
この連載で今年取り上げた企業の中にも、コロナによって業績を大きく左右されたところが少なくありません。この未曾有の事態によってマイナスの影響を受けたあの企業の行方は——そこで本稿では、過去にこの連載で分析した4社の、気になる「その後」を追いかけてみたいと思います。
ソフトバンクG:営業赤字1.3兆超からの復活劇
ソフトバンクグループ(以下、ソフトバンクG)は2020年3月期に1.36兆円もの営業赤字を計上し、親会社の所有者に帰属する純利益(以下、本稿では単純化して「純利益」)も9616億円ものマイナスと、多額の損失を出しました。
(出所)ソフトバンクグループ 2021年3月期有価証券報告書をもとに筆者作成。
2019年3月期は2兆円超もあった営業利益がわずか1年後には一転して1.36兆円の赤字になってしまったのですから驚きです。この連載の第13回では、その原因を追及すべく分析を試みました。
ソフトバンクGがこれほど巨額の営業赤字を計上することになった背景には、同社の事業実態が大きく関係しています。ソフトバンクGは、モノやサービスを売って利益を上げる「事業会社」ではなく、実質的には投資家や金融機関から資金を集めて投資活動を行う「投資会社」なのです。