資本業務提携を発表したグッドパッチ社長の土屋尚史氏(左)と、レシート買い取りアプリONEで知られるWEDのCEO、山内奏人氏。
グッドパッチ提供
デザインカンパニーのグッドパッチは11月30日、レシート買い取りアプリ「ONE」を提供するWEDと資本業務提携を締結したと発表した。
スタートアップへの出資からデザイン支援までを行う「Goodpatch Design Fund 」を通じて出資すると共に、WEDの既存サービスや新たなプロダクトの制作に対してUIやUXデザインや開発をサポートする。組織作りやブランディングに関しても「デザイン」を通じてグッドパッチが全面的に支援していくことになる。出資額は非公開。
「Goodpatch Design Fund」とは?
Goodpatch Design Fundは2020年10月にグッドバッチが設立した出資プロジェクト。スタートアップに対し、資金面での支援/デザインパートナーとしての事業支援/パートナー企業の連携を行う支援スキームを提供している。
第一弾としては、金融サービス「お金の健康診断」を提供する400F(フォーハンドレッド・エフ)に出資した。
一方のWEDは2018年6月、CEOの山内奏人氏が高校生の時に、ビットコインのプロダクトを提供するワンファイナンシャルとして創業。2018年1月にレシートの画像を送れば現金が振り込まれるアプリ「ONE」が話題を呼び、2020年11月には100万ダウンロードを達成。2カ月後の継続率40%以上をキープする。
2019年秋に経営体制の見直しと共に、社名をWEDに変更した。
WEDは丸井グループやソフトブレーン子会社と共同開発を行うなど、収集した300万枚のレシートの利用データを活用したビジネスモデルで、販促マーケットにおける存在感を高めてきた。
デザインの力を証明する事業提携に
今回のグッドパッチとの資本業務提携を受けて、WEDの山内CEOはこう話す。
「WEDは創業以来、『あたりまえを超える』のミッションを掲げ、デザインとテクノロジーを結合して事業を作り出すことを目指してきました。デザインカンパニーの先輩として、グッドパッチの支援を受けて、いっそう、あたりまえを超えたプロダクトを生み出せる、あたりまえを超えた組織を構築したい」
グッドパッチの土屋尚史社長は「知り合った当時から、まだ10代とは思えない頭のキレと知識量を持っている」と、山内氏について触れながら、出資の背景をこう語る。
「(山内氏は)15歳で起業してから多くの難局を経験し、起業家としての胆力は年上の起業家たちに全く引けを取らない。 WEDの事業もまだまだ大きなポテンシャルを秘めているので、グッドパッチとしてWEDの成長角度を上げるデザイン支援を行うとともに、デザインの力を信じる両社の事業を成長させることを通じて、デザインの力を証明していきます」
上場のカギ握るデザイン、8社で実績
「デザインの力でビジネスを前進させる」を掲げるグッドパッチは、2011年の設立以来、スタートアップから大手上場企業までデザイン面での支援を行ってきた。
とりわけスタートアップに対しては、デザイン面が成長のカギを握るとの考えだ。
「新しい事業を創出し、急成長する必要のあるスタートアップには、ユーザーが使い続けたくなる体験のデザインが重要であり、他社との差別化の要素となる」(グッドパッチ)
グッドパッチによると、これまでの支援先で、グノシー、アカツキ、フリンジ81、マネーフォワード、PR TIMES、ランサーズ、カイゼンプラットフォーム、ヤプリの8社が上場している。
グッドパッチはベルリン、ミュンヘンにもオフィスを構え、グローバル合わせて200人のデザイナーを擁している。同社自体も2020年6月、東証マザーズに上場。デザイン会社としては日本で初めての株式公開を果たした。
(文・滝川麻衣子)
※グッドパッチのデザイン支援先の上場会社の数を更新しました。