北朝鮮の金正恩委員長。2019年4月25日、ロシアのウラジオストックで。
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- 韓国の情報機関によると、北朝鮮の指導者、金正恩委員長は、コロナウイルスのパンデミックとその経済的影響に腹を立てているという。
- AP通信によると、金委員長は少なくとも2人の死刑執行を命じ、平壌を封鎖し、COVID-19の蔓延を遅らせるための他の措置も実施した。
- 処刑された2人のうちの1人は、平壌の有名な両替商で、為替レートの下落を非難されたと伝えられている。
- 北朝鮮の経済は、1月に最大の貿易相手国である中国との国境を封鎖することを余儀なくされたため、ここ数カ月間、苦境に立たされている。
韓国の情報機関によると、北朝鮮の指導者である金正恩朝鮮労働党委員長が、コロナウイルスのパンデミックとその経済的被害に対して「強い怒り」を示しているという。
また、AP通信によると、金委員長は少なくとも2人の処刑を命じ、漁業を禁止し、首都平壌を封鎖するなど、COVID-19の蔓延を遅らせるための「非合理的な措置」を命じているという。
これらの最新情報は、韓国の国会議員が11月27日、同国の最高情報機関である国家情報院(NIS)との非公開会議を行った後、記者団に語ったものだ。
NISは、処刑された2人のうちの1人は平壌の有名な両替商で、北朝鮮の為替レートの下落を非難されたと報じられていると述べたという。
APによると、もう1人は政府の高官で、パンデミック中の国外からの物資輸入の制限に違反して捕まったとされている。
北朝鮮は1月から最大の貿易相手国である中国との国境封鎖を余儀なくされており、同国の経済はコロナウイルスのパンデミックの大きな影響を受けている。
サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、韓国貿易協会は北朝鮮の対中貿易は9月までに73%減少し、通年では80%減少する見通しだと述べている。
金委員長は、海水へのウイルス流出を防ぐため、漁業の操業禁止措置を取ったとNISは伝えているという。さらに、首都の平壌や北部の慈江道など、いくつかの地域では完全な封鎖が行われていて、観光業も停止している。
これらの写真は、北朝鮮の封鎖下での生活の様子を示している。
北朝鮮はこれまで症例も死者もゼロであると報告しているが、それが事実である可能性は低い。コロナウイルスのワクチンが世界中で開発されている中、金正恩政権はワクチンを開発している韓国の製薬会社の少なくとも1社をハッキングしようとして、その試みは失敗に終わったと報じられている。
AP通信によると、金委員長はまた、当選を確実にしたバイデン候補による北朝鮮に対する新たなアプローチを懸念し、アメリカを刺激するいかなる行動も取らないように外交官に指示したという。
NPRによると、韓国のキム・ビュンキー議員は記者団に対し、「言葉には細心の注意を払うよう命令されていると聞いている」と述べた。
バイデン新政権は、北朝鮮の指導者がドナルド・トランプ大統領と懇意にしていることで、北朝鮮への対応を変えるかもしれない。
トランプ大統領は何度か金委員長に会っており、ベテラン記者のボブ・ウッドワードに対して「仲がいい」と話したという。
「彼は私のことが好きで、私も彼が好きだ。我々は仲がいい。だからといって、私が甘いというわけではないし、すばらしいことがあると思っているわけでもない。彼はとても手ごわい。彼は頭がいい。とても頭がいい」とトランプ大統領はウッドワードに語っている。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)