KDDI 住宅ローン金利優遇やゴールドカード特典アップ、そして大型キャンペーンを実施する。
出典:KDDI
KDDIは11月30日、コード決済サービス「au PAY」を含む金融・決済サービスのサービスを強化すると発表した。
au PAYの大規模ポイント還元キャンペーンを実施するほか「auじぶん銀行」やクレジットカード「au PAYカード」の特典を強化し、ユーザー層の裾野をさらに拡大していきたい考えだ。
長期契約となる「住宅ローン」で優遇施策
スマートマネー構想はauの各種サービスを連携させて「利用者の生活を豊かにする」ことを目指す。
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KDDIの決済サービスはau PAYが中心となって拡大を図っている。
5月には共通ポイント「Ponta」と連携を開始。本業のauの通信サービスに加え、光回線、電力事業の「auでんき」による家庭向けサービスや、auじぶん銀行、auフィナンシャルサービス、「auカブコム証券」といった金融サービスと連携する「スマートマネー構想」を推進している。
au通信、auでんきの利用者の住宅ローン金利を最大1%引き下げる優遇割。
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こうした取り組みをさらに強化するために、まずはauじぶん銀行の住宅ローン金利をauのモバイル回線契約者限定で引き下げる「住宅ローンau金利優遇割」を提供する。
auじぶん銀行の住宅ローン金利は、これまで変動金利で年0.41%だったが、auでんきユーザーに対して0.03%、au通信ユーザーに対しては0.07%、合計で最大0.1%引き下げて、年率0.31%にする。これは「かなり頑張った優遇施策」と、auフィナンシャルホールディングスの勝木朋彦社長はアピールする。
従来の金利0.41%との比較だと利息額が55万円程度減少する。
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結果として、auじぶん銀行で借入金額3000万円、借入期間35年の住宅ローンを組んだ場合、返済金額は約55万4000円減少。同社よりも高い金利の住宅ローンから借り換えた場合、減少幅はさらに拡大する。
この年0.41%という金利は、変動・固定を合わせても業界最安値クラスで、そこからさらに引き下げることで住宅ローン契約を拡大し、さらにauサービスのユーザーの囲い込みを図りたい考えだ。
なお、新規の住宅ローン契約に加え、すでに借入中の場合はau通信サービス、auでんきを新たに契約しても優遇割を利用できる。その場合は5月31日までに契約が必要だ。
ゴールドカード&au PAYでは還元施策を大幅強化
au PAYゴールドカードの特典。auユーザー以外でも特典はアップするが、auユーザーへの還元が大きい。
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クレジットカードのau PAYカードは、年会費1万円(税別)のゴールドカードでの特典を追加。Pontaポイントの還元がau PAYマーケットでの買い物だと最大17%、au PAYチャージは2%、auでんきは最大11%といったように還元率を上積みする。
au通信ユーザーに対してはさらに、通信料金で11%、1年間限定で家族カード所有で家族の通信料金にも11%還元を適用する。
さらに、固定通信料金も11%還元、ホテル・旅館予約サイト「Relux」利用分も10%割引など、年会費に対して、それを上回るポイント還元が実現できるとして「最強のカードになっている」と勝木氏は胸を張る。
KDDIの試算では1万円の年会費に対して2万円以上還元額となる。
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12月1日からはau PAYの大規模キャンペーンも実施。「たぬきの大恩返し」と題したキャンペーンでは、12月には「マツモトキヨシ」や「ほっともっと」「オーケー」でPontaポイントを20%還元するほか、百貨店、アパレル、ショッピングセンターでは最大10%を還元する。
2021年1月からはスーパーマーケット、2月からはドラッグストア、3月からは飲食店でのキャンペーンも実施し、合計約100万カ所の加盟店で最大20%還元のキャンペーンとなる。
大型のキャンペーンは2021年3月まで継続。それぞれ異なるジャンルの店舗が対象となる。
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加えて、ローソンではローソン銀行ATMでのau PAYチャージでチャージ額5%増量、au PAYでの支払いで最大20%還元も実施。1~3月にかけて順次提供するほか、追加で「とっても楽しいオリジナル企画を考えている」(KDD東海林崇副社長)という。
ローソンは追加キャンペーンも実施。最大20%還元は「恐らく2月か3月になる」(東海林副社長)とのこと。
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au PAYは“au以外のユーザー”向けの課題が残る
KDDIの東海林副社長(右)とauフィナンシャルホールディングスの勝木社長(左)。
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キャッシュレス決済の分野では、先行するPayPayに対して各社がサービスを強化。KDDIはスマートマネー構想を打ち出し、金融領域との連携を強化し始めている。
ただ、これまでは金融領域で強みを持つKDDIながらグループ間の連携が弱く、au通信サービスユーザー以外への拡大が遅れていた。
2月のキャンペーンでユーザー層は拡大はしたものの、auユーザー中心であることに変わりはない。
au PAYは、大型キャンペーンによって利用者数、利用回数ともに拡大している。
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KDDIでパーソナル事業本部ビジネス開発本部金融決済ビジネス推進部長を務める長野敦史氏は「auユーザー以外の拡大に向けた取り組みを強化していきたい」と話すが、今回はauユーザーへの優遇策強化が中心。キャンペーンで非auユーザーも取り込みつつ、au通信サービスへの誘導を図る戦略のようだ。
(文・小山安博)
小山安博:ネットニュース編集部で編集者兼記者、デスクを経て2005年6月から独立して現在に至る。専門はセキュリティ、デジカメ、携帯電話など。発表会取材、インタビュー取材、海外取材、製品レビューまで幅広く手がける。