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GU「3割値下げ」の衝撃。「ベビー服参入」「回復堅調」で2021年攻め姿勢の背景

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ファーストリテイリング本社のショールーム。

撮影:伊藤有

ファーストリテイリング傘下でユニクロの兄弟ブランドのジーユー(GU)は、2021年春夏のブランド方針として、一部商品の「値下げ」とベビー服「GU baby」の参入などを発表した。

コロナ禍でアパレル各社は、苦境に立つ企業、回復著しい企業と明暗が分かれている。その中でも、ファーストリテイリングが抱えるユニクロ、GUは、回復が著しいブランドの代表格だ。

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2021年春夏方針とブランドの状況を記者陣に説明する、ジーユーの柚木治社長。

撮影:伊藤有

「(2020年8月期は)第3四半期は厳しい売り上げだったが、第4四半期の6〜8月については、順調に回復することができた」

ジーユーの柚木治社長は、コロナ禍が直撃した2020年8月期をこのように振り返る。

苦境に陥るアパレル各社が少なくない中で、売上高で前年比3.1%の増収(2460億円)、営業利益は同マイナス22.5%の減益。一方、ECの売り上げは前年比6割増(売り上げ構成比9%)。

「厳しい状況下においては、なんとか健闘することができた」(柚木社長)という言葉の裏には、こうした数字がある。

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マストレンドの売れ筋商品を、GUはアパレル不況のなかでもむしろ「大幅値下げ」で対抗する。

撮影:伊藤有

ファストリ傘下のアパレルのなかでGUは、比較的若い世代向けのデザインを意識したブランドという立ち位置だ。そんな中でも比較的堅調なのは、流行を追った「マストレンド」の商品と、「在宅」にマッチした商品だと柚木社長は言う。

春夏商品で打ち出した「人気商品を中心とした、最大3割の値下げ」と「GU babyへの参入」は、前四半期から続く、消費者を取り巻く「先行きが不透明なコロナの状況」のムードを真正面から受け止め、冷え込みがちな消費者心理に手を打ったものと言える。

3割値下げでも「利益率は維持」するGU

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「3割値下げ」戦略商品の代表例。フハクコンビワンピースは従来2990円で展開していたものを、1990円に値下げして展開する。

撮影:伊藤有

そもそも低価格路線も特徴だったGUが、人気商品が中心とはいえさらに3割値下げして、ビジネスはどんな影響を受けるのか?

質疑でのBusiness Insider Japanの質問に対し、柚木社長は「(今までと)同じ利益率で、価格を下げることを考えている」と説明する。そのカラクリは次のようなものだ。

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ウィメンズ商品が6割を占めるGUだが、メンズ商品にもヒット作がある。

撮影:伊藤有

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アパレル各社はハイブランドも含めて「マスク」を商品化するのが当たり前になった。GUでもさらに強化する方針。

撮影:伊藤有

具体的には、

  • 商品の素材を集約して効率化する
  • 商品の需要予測を高めて、値引きロスをなくす
  • 工場の閑散期に生産することでコストを抑制
  • 物流コストの工夫

といった企業努力で原価を大幅に抑え、かつ会社全体の経費も見直す。

これが「魔法」の実現をするための手法だ。もちろん簡単なことではないが、少なくとも「人気商品を値下げし、そのぶんの利益は新参入のGU babyでまかなう」といった単純なトレードオフ戦略ではない。

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春夏でも、メンズラインとして上下セットアップで在宅ワークや自宅周辺を歩く、いわゆる「1マイルファッション」対応の着心地の良い服も用意した。

撮影:伊藤有

9月に発売したGUのコスメ「#4me by GU」は追加生産するほどの人気、また「底堅い需要がある」とするマスク商品は春夏でも展開し、さらに強化を進める。

「ファッションは不要不急じゃないか、人々は買わなくなるんじゃないかという意見も一部にはあった。しかし実際にはそうではない。

(マインドフルネスならぬ)ファッションフルネスの時代がこれからくる、くらいに思っている。

それを確信に変えたのが、コロナ下でもGUで好調に販売したのが、トレンドのファッション商品だったことだ」(柚木社長)

コロナ下の勝ち組ブランドの自信を感じさせる言葉ではあるが、一方でそこにはアパレル業界をとりまく「勝ち負け2局化」の深刻さもにじむ。

(文・伊藤有

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