- テキサス州南部に出された道路閉鎖通知によると、スペースXは12月7日にスターシップ・ロケットのプロトタイプを最高高度まで飛行させる計画だ。
- 今回、この宇宙船は1万5000メートルの高さまで飛行させる予定だ。これまでのは、150メートル程度の低いジャンプしか行っていない。
- スペースXのイーロン・マスクCEOは、失敗する要素はたくさんあると述べ、ロケットが無事に着陸する確率は3分の1だとした。
イーロン・マスク(Elon Musk)の宇宙探査会社スペースX(SpaseX)は、宇宙旅行にさらなる革命を起こすため、大きな一歩を踏み出そうとしている。
マスクは11月29日(現地時間)、早ければ12月7日にも巨大宇宙船 「スターシップ」 のプロトタイプが最初の高高度テストを行う予定だとツイートした。スターシップは完全再利用可能な宇宙船で、スペースXは月や火星への有人飛行に利用したいと考えている。
高度1万5000メートルへの飛行試験は、11月24日にスターシップのSN8またはシリアル番号8と呼ばれるプロトタイプのエンジン燃焼試験に成功したことを受けたもので、飛行試験としてはSN5と呼ばれる以前のプロトタイプが約150メートルの高さの飛行に成功した8月のテスト以来のことだ。
11月29日、NASASpaceflight.comのマイケル・ベイラー(Michael Baylor)は、スペースXがスターシップを開発しているテキサス州南部のボカチカの住民が飛行テストに関する警告を受け取ったとツイートした。マスクはそれに、単なるテストであり、SN8は「9日よりも早くは飛ばないだろう」と返信した。
しかし、11月30日に現地の裁判所によって発行された道路閉鎖通知によると、12月7日午前9時から午後6時半(アメリカ東部標準時)の間に予定されている。もしその日に飛行しない場合は、12月8日または9日の午前9時から午後6時(同)に順延される。
「成功確率は3分の1」とマスクは言う
宇宙船「スターシップ」のプロトタイプ。テキサス州ボカチカのスペースXの開発施設で。2019年9月28日。
REUTERS/Callaghan O'Hare
今回の試験飛行は、スターシップの設計が高高度への飛行の厳しさに耐えられるものかどうかを測る上で重要なものになるだろう。
マスクは12月2日のツイートで、SN8が無傷で着陸するためには「多くのことがうまくいく必要がある」と述べ、その成功確率は「おそらく3分の1くらい」だと考えていると付け加えた。
しかし、スターシップの工場ではより多くのプロトタイプを製造しており、SN8が失敗した場合、SN9がすぐにその代わりになる準備ができているだろう。
スペースXの宇宙船は、スーパー・ヘビー・ブースターとスターシップ・ロケットで構成されており、マスクによると、一度に100人を火星に運ぶことができるという。宇宙船全体の高さは120メートルだ。
マスクは2019年10月、これまでの計画よりも2年遅れた2024年に、無人の宇宙船のロケットを火星に送ることに「勝算」があると述べた。
また、スペースXのグウィン・ショットウェル(Gwynne Shotwell)社長兼COOは10月23日、スターシップ・ロケット・システムが宇宙ごみ問題の解決に役立つ可能性があると述べた。
「スターシップを使って、もちろん他社のロケットも含めたロケットの残骸を回収することも可能だ」
スペースXはまず、宇宙船が安全に軌道を往復できることを示す必要がある。そしてボカチカでそのミッションを始めるにあたり、同社はアメリカ連邦航空局(FAA)と協力して新たな環境影響調査を行わなくてはならない。その結果次第では、スペースXのプロジェクトは数カ月から数年遅れるかもしれない。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)