フェイスブック、アマゾンが巨大オフィスを契約。4象限で考える「職場が不可欠な仕事」【音声付・入山章栄】

経営理論でイシューを語ろう

撮影:今村拓馬、イラスト:ann1911/Shutterstock

今週も、早稲田大学ビジネススクールの入山章栄先生が経営理論を思考の軸にしてイシューを語ります。参考にするのは先生の著書『世界標準の経営理論』。ただし、本連載はこの本がなくても、平易に読み通せます。

日本の都心ではオフィス空室率が8カ月連続で悪化しています。一方、アメリカではフェイスブック、アマゾン、IBMなどが一等地に巨大オフィスの賃貸契約を結んでいるというニュースも。これからの「オフィスのかたち」とは? 入山先生が考察します。

【音声版の試聴はこちら】(再生時間:11分26秒)※クリックすると音声が流れます


「とりあえず毎朝出勤」の時代は終了

こんにちは、入山章栄です。

12月に入り、コロナ一色だった2020年もそろそろ終わりに近づいてきました。Business Insider Japan編集部の常盤亜由子さんは、何か気になるニュースがあるようです。

常盤さんの声

アマゾンもフェイスブックも新たにオフィスを構えたのはニューヨークの一等地で、しかもかなり広い。IBMはニューヨークにある9カ所の拠点を統合する狙いもありますが、なんと東京ドーム1個分に相当する面積の土地を探しているといいます。

一方の日本は、むしろオフィスの使用量を見直す企業が多い。なぜ日米でこれだけ対照的な現象が起きているのでしょうか。

この状況を理解するには、「人間が仕事上のコミュニケーションに何を望むか」という根源までさかのぼって考える必要があるのではないでしょうか。

最近、日経クロステックというデジタルメディアの副編集長の島津翔さんが、『さよならオフィス』という本を出版されました。コロナ禍でオフィス不要論が出ているけれど、実際のところはどうなのか。コロナの前からオフィスを持たない会社や、コロナを契機にオフィスを廃止した会社などを取材して、現在のオフィスにまつわる最前線をリポートした本です。

この本によれば、リモートでも仕事できることが証明された今、オフィスを縮小したり廃止したりする会社は増えています。しかし興味深いのは、コロナ前から、そもそもオフィスを持たない会社も出てきていたという事実です。例えば、孫泰蔵さんのMistletoe(ミスルトウ)という会社はコロナ前からオフィスがありません。そのほうが世界中の優秀な才能を採れるというのです。

このような状況ですので、オフィスを持つにはおそらく「意味」が重要です。もはや何も考えず、毎朝決まった時間に通勤電車に乗って、とりあえず会社に行くという時代は終了していくでしょうね。

オフィスが不可欠になるのはどんな仕事?

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