テキサス州ヒューストン。
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アメリカのヒューレット・パッカード・エンタープライズ(Hewlett Packard Enterprise)は、本社をシリコンバレーからテキサス州ヒューストンへ移す。12月1日(現地時間)、CNBCが報じた。
同社は現在、ヒューストンに新社屋を建設中で、サンノゼにある社屋は残すという。CNBCによると、本社の移転に伴う人員削減はなく、今回の移転でどのくらいの数の従業員に影響があるかはまだ分かっていない。
クラウドコンピューティング分野での競争が激化する中、ヒューレット・パッカードは2015年11月、ヒューレット・パッカード・エンタープライズとHPに分離したものの、1939年の創業以来、同社はシリコンバレーを拠点としてきた。
Business Insiderはヒューレット・パッカード・エンタープライズにコメントを求めたが、回答は得られなかった。
今回の報道を受け、テキサス州のアボット知事は「テキサスは、ビジネスをするのにアメリカで最も良い場所だ」とツイートした。
新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)が続く中、アメリカではテキサス州に移る企業や企業幹部の発表が相次いでいる。中でも、オースティンは移転先として人気だ。テクノロジー産業はオースティンで長い歴史を持っている。IBMやデル・テクノロジーズ(Dell Technologies)、サムスン(Samsung)といった企業は数十年にわたってこの地に根付いていて、近年ではこの街にやってきたテック人材の話があちこちで聞かれる。
クラウドストレージ大手のドロップボックス(Dropbox)のCEOドリュー・ハウストン(Drew Houston)氏もオースティンに拠点を移したと最近報じられた著名なCEOの1人だ。大手ビッグデータ分析会社パランティア(Palantir)の共同創業者でベンチャーキャピタリストのジョー・ロンズデール(Joe Lonsdale)氏もすでにテキサス州で生活していて、11月上旬には自身の会社「8VC」を移転させると認めた。テスラ(Tesla)の創業者イーロン・マスク氏もオースティンに「Cybertruck」の新工場を建設しているため、今後はオースティン周辺にいることが増えるかもしれない。
1939年、カリフォルニア州パロアルトにある車1台分のガレージから始まったことで有名なヒューレット・パッカードは、コンピューター・ハードウエアとソフトウエア事業で名声を得た。そのガレージは、少なくともパンデミックが起こる前までは、テック好きのための観光地のようになっていた。カリフォルニア州の歴史的建造物にも指定され、「シリコンバレー発祥の地」として知られていた。
(翻訳、編集:山口佳美)