- ビットコインが帰ってきた。この暗号通貨は2017年12月に記録した価格を上回った。
- 2017年は暗号通貨が話題を呼び、価格が大幅に上昇したが、翌年には大幅な下落を見せた。2021年はそうはならないのだろうか。
- パンデミック、ビットコインのより広範な利用可能性、新しい金融規制が現在の、そしてこれかも続くであろう回復に貢献している。
ビットコイン(Bitcoin)の時代が再びやってきた。
2009年に作成されたこの暗号通貨は、11月30日には年初来177%増の1万9857.03ドルとなり、これまでの最高値だった2017年12月の価格を超えた。
暗号通貨は基本的にデジタルの通貨であり、すべての取引内容の分散型データベースを持っている。金のようなものに担保されているわけではなく、その背後にはコードがあるのだ。主な利点は、主体となるもの(銀行のような)がないことで、その代わりに誰でも参加できるネットワークがあり、それが通貨に力を与えている。
ビットコインはブロックチェーン技術を利用しており、すべての取引は永久に記録される。「マイナー(採掘者)」として知られる人々が、すべての新しい取引を処理し、暗号を使用してデータベースに追加する。この基礎を作ったのは今なお謎の人物、「サトシ・ナカモト」だ。
ビットコインはインターネット世代による投資対象になっているが、同時に非常に高いボラティリティで知られており、投資対象として懐疑的に見ている人も多い。
2017年にはBusiness Insiderが「暴走」と評した1300%以上の価格上昇があり、タイムズスクエアの広告やボクサーのフロイド・メイウェザーなどの著名人の支持を得てメインストリームに躍り出た。しかし、翌2018年にはピーク時から80%も下落した(他の暗号通貨も同様に急落した)。それでも、ビットコインは世界で最もよく知られている(最も人気があるのは)暗号通貨であり、基準となるものと見なされている。
今回の人気は、2017年の水準にまで戻ってきており、特にミレニアル世代の有名人が興味を示している。
たとえば、「ゲーム・オブ・スローンズ」に出演している俳優のメイジー・ウィリアムズ(Maisie Williams)は、数百万人のツイッター(Twitter)フォロワーにビットコインを買うべきかどうかと尋ねた。すると、億万長者のマイク・ノボグラッツ(Mike Novogratz)は、自分は6万5000ドルまで上昇すると思っているとリプライして購入を勧めた。
ビットコインへの投資を考えているのはウィリアムズだけではない。
バーンスタイン・リサーチのポートフォリオ戦略の共同責任者であるイニゴ・フレイザー=ジェンキンス(Inigo Fraser-Jenkins)は、顧客への文書の中で、暗号通貨についての考えを変えたと書いている。彼は、ビットコインが投資家のポートフォリオの中での地位を確立したと考えている。
何が変わった?
フレーザー=ジェンキンスにとって、3年前との違いは、増税やインフレといったパンデミックの経済的影響と、ビットコインのボラティリティの低下だ。
ただし、暗号通貨がこれほど大幅に回復した明確な理由は一つではない。おそらく複数の要因が重なった結果だろう。パンデミックはそのうちの一つの大きな理由で、より多くの投資家が潜在的なインフレの影響を受けない安定した投資先としてビットコインに目を向けている。
また、現在では取引や利用が簡便になっている。将来のビットコインユーザーは、PayPalやSquareなどを通して売買することができるだろう。2021年からは、PayPalユーザーは商品やサービスと交換することもできるようになる。フィデリティ投信は8月に独自のビットコイン・ファンドを立ち上げた。
ミレニアル世代の人々の関心はかなり高く、ノボグラッツはブルームバーグにビットコインは「デジタル・ゴールド」のようなものだと語っている。
また、暗号通貨は政府を味方につけるかもしれない。大統領選挙で当選確実となったジョー・バイデン(Joe Biden)は、彼の移行チームの一員に、オルタナティブ資産に好意的で暗号通貨についての深い知識と経験を持つゲーリー・ゲンスラー(Gary Gensler)を任命した。
そのため、ビットコインはボラティリティの高さが継続しているにもかかわらず、長期的に保有する価値があるように思われて始めている。
しかし、その生みの親や起源と同様に、ビットコインの価値についてもかなり謎が多いのもまた事実だ。
[原文:How bitcoin surged to an all-time high in 2020 — while remaining as uncertain an investment as ever]
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)