アマゾンの熱帯雨林で1万2000年前の壁画発見…絶滅した大型動物や狩猟社会の生活が生き生きと

セロ・アズール遺跡

南米コロンビアのセラニア・ラ・リンドサ地区のテプイ・デ・セロ・アズール遺跡は、研究者チームが調査する壁画に覆われた3つの岩窟遺跡のなかで最大のものだ。

Jeison Lenis Chaparro-Cárdenas

  • 南米・コロンビアのアマゾン流域で、数千点もの壁画が描かれた岩窟住居が発見された。
  • 壁画は少なくとも1万1800年前のもので、壁画が残る岩壁は2.5マイル(約4km)以上になる。
  • 壁画には氷河期末期を生きた古代の狩猟民の生活が描かれており、人間が古代のゾウ「マストドン」を狩る様子や、絶滅した氷河期のウマなどを描いたものもある。

氷河期の終わりにあたる1万2000年前、人類はマストドンを狩って暮らしていた。マストドンとは、古代の大型哺乳類でマンモスや現代のゾウに似た生き物だ。しかし、紀元前1万1600年頃には人類は殆どのマストドンを狩りつくしてしまったと考えられている。

これは、少なくとも古生物学者の間では、最も有力とされる説だ。そして今回の発見は、この説を裏付けるものでもある。アマゾンの熱帯雨林の奥深くに眠っていた、氷河期の住民による数千点もの壁画を研究チームが発見したのだ。

壁画は南米コロンビアのセラニア・ラ・リンドサ地区にある3つの岩窟住居遺跡で見つかった。初期の壁画は1万2600年前から1万1800年前の間に描かれている。3つのうち最大となるセロ・アズール遺跡では、2.5マイル(約4km)におよぶ岩肌に壁画が描かれていた。壁画には南米最初期の人類と氷河期の生き物との関わり合いが描かれており、オオナマケモノや古代のリャマやウマなどが描かれている。

以下の画像のように、いくつかの壁画には専門家がマストドンを狩猟の様子だと考えるものもある。

マストドン

コロンビア、セラニア・ラ・リンドサ地区の岩窟遺跡に描かれた、マストドン狩りの様子と思われる壁画

Jeison Lenis Chaparro-Cárdenas

極めて詳細に描かれた数千点もの古代の壁画

多くの壁画が太古の絵とは思えない水準の緻密さで描かれていると、エクセター大学(イギリス)の考古学教授で壁画群を発見した研究チームのリーダー、ホセ・イリアルテ(José Iriarte)は話している。

「古代のウマは野性的で重厚な顔をしている」とイリアルテ教授はガーディアンに語った。

「とても詳細に描かれていて古代のウマの毛の様子まで確認することができる。驚くべきことだ」

研究チームはこの3つの遺跡について4月に自然科学と社会科学分野の学術雑誌Quaternary International上で調査結果を発表している。しかしエクセター大学は11月30日に再度この発見についての声明を発表し、同時にイギリスで放送予定のドキュメンタリーシリーズ「Jungle Mystery: Lost Kingdoms of the Amazon」で特集されることも明かした。

エクセター大学の環境考古学者マーク・ロビンソン(Mark Robinson)はコメントの中で、この壁画を描いた人々は氷河期が終わりを迎えようとしている「急激な気候変動」の時期に南米に移り住んだとの考えを明かしている。

古代ウマ_古代リャマ

セラニア・ラ・リンドサ地区の遺跡の崖に描かれた古代のリャマとウマとみられる壁画

Jeison Lenis Chaparro-Cárdenas

「アマゾンは現在我々が知っている熱帯雨林地帯へと姿を変える途中にあった」とロビンソンはいう。

「この壁画は生き生きとした狩猟社会の暮らしを垣間見せてくれる。彼らが小型自動車ほどもある草食動物を狩猟していたとは、我々には信じ難いことだ」

壁画の規模が大きく、数も大量なため、調査チームがそのすべてを調査するには何年もかかるという。加えて、コロンビア国立大学の人類学者で調査チームの一員でもあるジェイソン・レニス・チャパロ=カルデナス(Jeison Lenis Chaparro-Cárdenas)によると、この地域にあるほとんどの岩壁はまだ調査されていないという。

先史時代のアマゾン住民の生活に迫る

氷河期_壁画

アマゾンで発見された岩窟住居は、動物や人間、地形を描いた太古の壁画に彩られていた。

Jeison Lenis Chaparro-Cárdenas

大型生物の他にも、崖や岩窟にはワニやバク、猿や亀、蛇やヤマアラシなども描かれている。また壁画には地形を描いたもの、狩猟の様子や植物との関わり合いなど人々の日常生活も描かれている。

「興味深く、驚くべきことがたくさん描かれている」とチャパロ=カルデナスはいう。彼によると、ほとんどが同じテーマで描かれているという。

「彼らを取り巻き、日常的に触れ合う自然の偉大さだ」

顔料_粘土

古代のアマゾン住民が岩肌に絵を描く際に用いた、自然の粘土から作られた顔料。

Jose Iriarte

研究チームは、当時の人々がどのようにして壁画を描くための顔料を粘土から抽出したかを知るために、壁画が見つかった付近の土壌を調査した。

チャパロ=カルデナスによると、この調査によって、ピラニアや亀、アルマジロ、カピバラといった古代の人々が食べていたと思われる動物の残骸も見つかった。現代のアマゾン熱帯雨林の住民は今もなお、遺跡で見つかったような動物の多くを食料にしている。

「これによって、1万2000年もの間、アマゾンの住民がいかに多種多様な資源を利用してきたかが分かる」とチャパロ=カルデナスは語った。

危険な探検も「その価値はあった」

研究チームは、コロンビア革命軍(FARC)がコロンビア政府との和平交渉の最終合意に至る2年前の2014年にこの地域の調査を始めた。ガーディアンによると、当時セラニア・ラ・リンドサ地区はFARCの手中にあり、安全に地域に入るにはゲリラとの慎重な交渉が必要だったという。

セラニア・ラ・リンドサ地区は自然の脅威も多い。毒蛇や大型のワニが生息し、最寄りの町から何時間もかけて移動しなければならない。

ある時、巨大な毒蛇、ブッシュマスターが研究チームの行手を阻んだ。そこから病院までは遠く離れていることを知っている研究チームは、迂回ルートを進まなければならなかったとガーディアンの記事では回顧している。

「我々は人里離れた場所にいた」と研究チームの一員で、イギリスで放映されるドキュメンタリーの撮影に参加した考古学者のエラ・アル=シャマヒ(Ella Al-Shamahi)はガーディアンにコメントした。だが、彼女は危険に身を投じたとしても「その価値は十分にあった」とも話した。

[原文:More than 2.5 miles of cliff paintings found hidden in the Amazon rainforest show ancient hunter-gatherers killing Ice Age creatures

(翻訳:忍足亜輝、編集:Toshihiko Inoue)

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