中国の探査機が月に行ったその日、アメリカの宇宙観測の象徴「アレシボ天文台」が崩壊

Arecibo

プエルトリコにあるアレシボ天文台。2019年4月。

SHUTTERSTOCK

  • 中国が画期的な宇宙ミッションで月の石を採取したのと同じ日に、プエルトリコにあるアメリカの巨大電波望遠鏡が崩壊した。
  • 1963年に建てられたこの天文台は、何世代にも渡る研究者に大きな影響を与えたアメリカの天文学研究の重要拠点だった。
  • 嫦娥5号による中国の月探査成功は、1970年代以来、初めての月のサンプル回収だ。12月中旬に宇宙船が無事に地球に帰還すれば、宇宙探査の大きな前進になるだろう。

12月1日、アメリカと中国は宇宙探査・観測の分野で大きく異なる体験をすることになった。

プエルトリコにある巨大な電波望遠鏡であるアレシボ天文台は、8月以降急激に劣化が進み、崩壊した。 アレシボ天文台は、開設から57年間にわたって宇宙観測の重要な拠点だった。

一方、地球から遠く離れた場所では、中国の月探査機「嫦娥5号」が月面に着陸し、月の物質をほぼ50年ぶりに回収し、地球に持ち帰ると発表した。

アメリカ航空宇宙局(NASA)によると、中国の月面着陸と月の岩石の回収は、1976年のソ連のルナ24号によるミッション以来のことだという。

NASAのアポロ計画でアメリカの宇宙飛行士たちが、最終的に360kg以上の月のサンプルを回収したのは、1969年から1972年のことだ。

同じ日に起こった2つのイベントは、中国の最近の宇宙探査・研究への積極的な投資と、予算規模と優先順位がしばしば変化するアメリカの宇宙への取り組みを象徴するものになった。

Business Insiderが以前報じたように、アメリカが月に戻るためには、費用の面や新しい大統領が生まれるたびに優先順位が変わることなど、数え切れないほどの障害がある。

中国の月探査計画は約10年前に1億8000万ドルの予算を投じて始まり、2007年と2008年には探査機が打ち上げられた。フォーチュンの2019年のレポートによると、依然としてアメリカが最も宇宙探査に予算を支出している一方で、中国の支出は15年で349%も増加している

中国の国営メディアは、12月1日に中国の無人探査機が月面に着陸し、月面からサンプルを持ち帰るミッションが一歩進んだと報じた。

中国の国営メディアは、12月1日に中国の無人探査機が月面に着陸し、月面からサンプルを持ち帰るミッションが一歩進んだと報じた。

China National Space Administration

嫦娥5号はその後、月の軌道上の宇宙船とドッキングし、地球に戻ることになる。順調に進めば、12月中旬に内モンゴルに着陸する予定だ。

アメリカ国立科学財団によると12月1日、アレシボ天文台に吊り下げられたプラットフォームが落下し、主鏡を破壊した。

1960年代に建設されたこの天文台は、当初はアメリカ国防総省から資金の提供を受け、現在は国立科学財団とセントラルフロリダ大学によって管理されている。この望遠鏡は、地球に向かっている小惑星の追跡などで重要な科学的発見をもたらし、ノーベル賞につながる研究にも貢献したことがある。また、ジェームズ・ボンド映画『ゴールデンアイ』の印象的な場面の舞台にもなっている。

プエルトリコの気象学者エイダ・モンソン(Ada Monzón)は12月2日に望遠鏡の崩壊を涙ながらに発表した。国立科学財団は11月に天文台の運用停止を発表していたが、この崩壊によって、天文台の構造だけでなく、将来的な別用途での利用の可能性も悲劇的な終わりを迎えることになった。

[原文:On the same day China landed a probe on the moon, the US's massive telescope in Puerto Rico collapsed

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

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