「拙速で厄介な決定だ」…イギリスのワクチン承認にEUから反発の声

ジョンソン首相

イギリスのボリス・ジョンソン首相。

Max Mumby/Indigo/Getty Images/Pool

  • イギリスが西欧諸国で最初にCOVID-19ワクチンを承認した後、EU議員とヨーロッパ諸国の政治家はその決定の速さに異議を唱えた。
  • ドイツのシュパーン保健相は、イギリスがファイザーとバイオンテックのCOVID-19を承認したことについて「安全で効果的なワクチンを接種することが一番重要だ」と述べた。
  • EUの医薬品規制当局は、より多くの証拠に基づいているため、EU独自の承認プロセスはイギリスよりも厳格である述べた。
  • しかし、イギリスはファイザーのワクチンが安全であると強く主張している。

欧州連合(EU)は、イギリスがファイザー(Pfizer)とバイオンテック(BioNTech)によるコロナウイルス・ワクチンを迅速に承認したことを批判した。イギリスは、西欧諸国としてCOVID-19の予防接種を承認した初めての国になった。

イギリスが2020年12月第2週からワクチン接種を開始すると発表した後、EUは、EUのワクチン承認プロセスはより多くのエビデンスを必要とするため、より厳格なものだと述べた。欧州議会の議員も、今回の決定を「軽率」で「厄介」であると非難した。​彼らは迅速なワクチン接種ではなく、効果的なワクチン接種に重点を置くべきだと述べている。

ワクチンの緊急認可は、EU離脱とパンデミック対応で批判されたイギリスのボリス・ジョンソン(Boris Johnson)首相による一種のクーデターだと見られている。今回の決定は、緊急承認プロセスの下で行われた。これにより、イギリス医薬品・医療製品規制庁(MHRA)は、大規模試験のデータを検討し始めた直後に、EUの規制を迂回してワクチンを暫定的に承認することができた。

​EUでCOVID-19ワクチンの承認を担当する欧州医薬品庁(EMA)は異例の声明を発表し、EUは、イギリスが選択した緊急的な手続きよりも多くのエビデンスを要求しており、より適切な承認手続きだと述べた。

イギリスは2021年1月1日のEU離脱まではEUの規則に従わなければならないため、通常はEMAの承認を得てからワクチンを配布する必要があったが、パンデミック時の特例として独自の審査を開始することができた。​EMAは、ファイザーとバイオンテックのワクチンを暫定的に承認するかするかどうかを12月29日までに決定すると発表している。

欧州委員会の広報担当者は、EMAの手続きは「すべてのEU市民が安全で効果的なワクチンを利用できるようにするための最も効果的なメカニズム」だと述べた。

ファイザーUKの責任者、ベン・オズボーン(Ben Osborn)は、「我々は、完全なデータパッケージを両規制当局に提供した。あなたが目にしているのは、データの違いではなく、プロセスとスケジュールの違いだと思う」と語った。

​イギリスMHRAのジューン・レイン(June Raine)長官は、 「MHRAが行った方法は、すべての国際基準と同等である」と述べ、「我々の進捗は、ローリング・レビュー(逐次審査)と厳格な評価、独立したアドバイスに依拠している」と付け加えた。

​EMAはファイザーの試験から得られたデータのローリング・レビューを10月6日に開始している。年末までの承認決定は、迅速化を目的とした緊急の手続きであり、通常、完全なデータの受領から承認までは少なくとも7カ月かかる。イギリス当局は10月30日に独自のローリング・レビューを開始しているが、分析したデータ量はEMAよりも少ない。

ドイツのイェンス・シュパーン(Jens Spahn)保健相は記者会見で、「第一の目的は安全で効果的なワクチンを作ることだ」と述べた。EU諸国は、ワクチンの信頼度を高めるために、イギリスよりも徹底的な審査を行うことを選択したと彼は付け加えた。

「部分的なデータだけを評価する場合、リスクも最小限しかわからない」と、EMAの元長官であるグイド・ラシ(GuidoRasi)はイタリアのラジオに語った。

「個人的には、入手可能なすべてのデータの強力なレビューを期待していたが、イギリス政府は、ヨーロッパにお先にどうぞとは言えなかった」と彼は付け加えた。

「問題あり」そして「厄介」な決定

欧州議会の議員たちは、イギリスの動きをさらに露骨に批判した。

ドイツの与党の一員で、EU議員のペーター・リーセ(Peter Liese)は、「この決定は問題があると考えている。EU加盟国が同じプロセスを採用しないことを推奨する」と述べた。

「EMAによる数週間にわたる綿密な審査は、ワクチンの緊急承認を急ぐよりも良いことだ」と、欧州議会で最大派閥の中道右派を代表するリーセ議員は述べている。

「ワクチンをできるだけ早く市場に投入しようとする世界的な競争があるのは知っている」と、欧州議会で2番目に大きい勢力の左派グループのティエモ・ウォーケン(Tiemo Wolken)議員は述べた。

「しかし私は、品質、効果、安全性が保証され、EUの基準を満たしていることを時間をかけて確認する方が良いと信じている」

[原文:The UK approved Pfizer's vaccine too quickly and without the proper checks, EU politicians have warned

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

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