ワクチン強奪、ニセモノの販売、フィッシングなどに注意…ICPOが各国に警告

ICPOは、ワクチンを巡る詐欺行為やサイバー攻撃に対して厳戒態勢を取るよう各国機関に警告した。

ICPOは、ワクチンを巡る詐欺行為やサイバー攻撃に対して厳戒態勢を取るよう各国機関に警告した。

Siphiwe Sibeko/Pool via AP

  • ICPO(国際刑事警察機構)は、各国の法執行機関に新型コロナウイルスワクチンの略奪を試みる組織犯罪に備えるよう、警告を発した。
  • ICPOは、犯罪グループが流通網に潜入し、不正なワクチンを販売しようとする可能性が高いと述べている。
  • パンデミックにより「チャンスを逃さず誰でも餌食にしてしまおうという前例のない犯罪行為が、すでに引き起こされている」という。

ファイザー(Pfizer)やモデルナ(Moderna)といった企業が開発したいくつかの新型コロナウイルワクチンは、極めて効果的であると言われており、各国の規制当局によって承認されれば、今後数カ月の間に大量に配布されることになる。しかし、何百万人分ものワクチンを入手し、保管し、配布することすらかなり困難なことなのに、世界中の国々はそれに加えて組織犯罪というもう一つのハードルを乗り越えなければならない。

ICPO(インターポール:国際刑事警察機構)は12月2日、194カ国の加盟国の法執行機関に向けて、組織犯罪グループが新型コロナウイルワクチンの流通にもたらす脅威について警告する声明を発表した。

各国でのワクチン普及に伴い、組織犯罪グループがサプライチェーンに潜入してワクチンを盗もうとする可能性が高いと、ICPOは警告している。さらに、オンラインでの偽ワクチン販売についても注意が必要だと付け加えた。

「組織犯罪グループは、偽のウェブサイトや偽の薬を利用して、疑いを持たない一般の人々を標的としている。これは人々の健康や命に重大な危険をもたらす可能性がある」と、ICPOのユルゲン・ストック(Jürgen Stock)事務総長は述べている。

「新型コロナウイルワクチンに関するあらゆるタイプの犯罪行為が猛威を振るうことに備えて、法執行機関は可能な限りの準備をしておく必要がある。そのためにICPOは世界に向けて警告を発することにした」

パンデミックにより「チャンスを逃さずに誰でも餌食にしてしまおうという前例のない犯罪行為が、すでに引き起こされている」と、ICPOは声明で述べている。加えて、国を超えての移動が徐々に再開されるにつれ、組織犯罪グループが不正な新型コロナウイルス検査キットの生産と流通を加速させる可能性が高いとも述べている。

今回警告が出されたのは、世界各地の公衆衛生当局が安全で効果的だと思われる複数の新型コロナウイルワクチンの評価を始めたからだ。イギリスは12月2日、ファイザーとビオンテック(BioNTech)が共同開発したワクチンを、緊急的に使用することを承認した。他の国々もそれに続くと見られている。

ここ数カ月の間、パンデミックに乗じて違法に利益を得ようとするグループや個人による犯罪が見られるようになった。彼らはマスクなど個人用防護具を法外な価格で販売したり、アメリカ政府による給与保護プログラム(PPP)などの仕組みを悪用して詐欺行為を働いたりしている。

2020年11月に、いくつかの有望な新型コロナウイルスワクチン候補に関するニュースが流れた時、ICPOは最初の声明を発表し、組織犯罪グループがワクチンの保管施設やサプライチェーンを標的にする可能性があると各国の法執行機関に警告した。その中で、ワクチンを「組織犯罪グループにとって換金しやすい金のようなもの」と例えている。

しかしICPOによると、パンデミックの間に組織犯罪グループによってもたらされた主な脅威の1つは、人々のデータやデバイスに対するものだという。

12月2日の声明で、ICPOは新型コロナウイルス関連の詐欺が増えていると述べ、人々に対し薬や医療機器をオンラインで購入する際には、特に注意するように促した。

不正なデバイスや製品を販売しているとICPOが疑いをかけている3000店のオンライン薬局のうち、その半数以上の店舗のサイトには、フィッシングやマルウェアなどによるサイバー攻撃の可能性があることも明らかとなった。



[原文:Interpol warns that organized crime groups will likely try to steal 'liquid gold' COVID vaccines as well as peddle fake doses

(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)

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