外交官が異常な一連の症状に苦しんでいたハバナのアメリカ大使館。
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- 2016年、キューバに駐在していたアメリカの外交官が、痛みなどの症状が突然現れたことを報告した。その後、在中国の大使館の外交官にも同様の症状が確認された。
- めまいと耳鳴りを引き起こす謎の病気は 「ハバナ症候群」 と呼ばれている。
- NBCニュースによると、米国科学アカデミーの研究では4つの可能性が検討された。
- アメリカ政府関係者は、何年も前からその根本的な原因を究明しようとしている。今回明らかになった研究によると、科学者たちは「指向性」マイクロ波で説明できると考えている。
今回明らかになった研究によると、世界中の大使館に駐留しているアメリカ外交官が患っている謎の病気の説明として「指向性」マイクロ波が最も信憑性の高い説明だという。
NBCニュースが最初に入手したこの研究では、米国科学アカデミーの科学者のチームが、いわゆる「ハバナ症候群」を説明する要因として4つの可能性を探っていた。感染症、化学物質、心理的要因、マイクロ波エネルギーだ。Axiosによると、少なくとも40人の国務省職員が研究対象として調査されたという。
12月5日に発表された報告書では、指向性マイクロ波の放射が、他の3つよりも可能性が高いと結論付けている。直接的に非難されている国はないが、ロシアでこの種の「重要な研究」が行われていると研究では指摘している。
「ハバナ症候群」は、2016年に初めて確認されて以来、科学者や政府関係者にとって謎に包まれたものだった。痛みを伴うさまざまな症状を引き起こすこの疾患は、キューバに駐在する外交官によって最初に報告され、その後の3カ月間に、他にも少なくとも3人のCIA職員が同じような「厄介な感覚」を経験したことを訴えた。ニューヨーカーによると、彼らは全員、同じハバナのアメリカ大使館に駐在していたという。彼らは突然の耳鳴り、両耳の痛み、めまい、認知障害などに苦しんでいたと研究は報告している。
2017年、「ハバナ症候群」の原因についてはわかっていなかったが、ドナルド・トランプ大統領は記者会見で、キューバが「音波攻撃」を行っていると非難した。キューバはこれを否定し、この疑惑を「空想」であり「中傷」だと述べた。同年、中国・広州の領事館に勤務していた外交官も、この病気の症状を報告して、離任している。
今回の発表は、アメリカ政府関係者による長年の調査研究によるものだ。マイク・ポンペオ国務長官は2020年10月、ハバナ症候群の謎解きに「アメリカ政府が持つ重要なリソース」が投入されていたことを認めた。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)