ゴールドマン・サックスのCEOデービッド・ソロモン氏。
REUTERS/Lucy Nicholson
- ニューヨークに拠点を置くアメリカの金融大手ゴールドマン・サックスは資産運用業務をフロリダ州に移すことを検討していると、ブルームバーグが12月6日(現地時間)に報じた。
- アメリカでは、マンハッタンを拠点としていたヘッジファンド大手エリオット・マネジメント(Elliott Management)のように、ニューヨークに本社を置いている金融サービス会社がニューヨーク州の外へ流出する動きが相次いでいる。
- ブルームバーグが取材した関係者によると、資産運用業務をフロリダに移す計画は最終的に実現しないかもしれないし、テキサス州ダラスといった成長中の他の都市に行く可能性もあるという。
ニューヨークのマンハッタンに本社を置くゴールドマン・サックスは、資産運用業務をフロリダ州に移すことを検討しているようだ。
同社の幹部らは、マイアミに近い南フロリダにパーム・ビーチ郡やフォートローダーデールといったエリアをカバーするオフィスの可能性を検討していると、複数の関係者がブルームバーグに語った。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)の影響でリモートワークが広まる中、アメリカではニューヨークを拠点としてきた金融サービス会社がより安い州や市場を求めてニューヨーク州の外へ流出する動きが相次いでいる。
報道によると、ゴールドマン・サックスはフロリダの現地当局と接触していて、そこで受けられる減税を検討しているという。関係者によると、どのくらいの人数がフロリダに移るかは不明だが、バックオフィスのスタッフと投資の専門家が含まれる見込みだ。
ゴールドマン・サックスの広報担当者は、同社はアメリカ各地で「重要度の高い場所により多くの人員を配置する戦略を実行している」が、今の時点で発表できる具体的なプランはないとブルームバーグに話した。今回の報道について、Business Insiderはゴールドマン・サックスにコメントを求めたが、回答は得られなかった。
ブルームバーグが取材した関係者によると、資産運用業務を南フロリダに移す計画は最終的に実現しないかもしれないし、テキサス州ダラスといった成長中の他の都市に行く可能性もあるという。
相次ぐニューヨークといった高級な都市からの流出
新型コロナウイルスのパンデミックは金融業界だけでなく、さまざまな業界の経営陣にとって、"オフィス"にかかる費用を考え直すきっかけとなっている。オフィス空間や不動産はしばしば、企業にとって人件費に次ぐ大きな支出となっている。
10月には、ヘッジファンド大手エリオット・マネジメントが本社をニューヨークのマンハッタンからフロリダ州ウェストパームビーチに移す計画だと、ブルームバーグとフィナンシャル・タイムズが報じた。
同じくマンハッタンに拠点を置く投資会社ブラックストーン(Blackstone)も南フロリダにオフィスを開設し、約215人の従業員を雇用する計画だとブルームバーグが10月に報じている。
報道によると、これらの従業員の大半はバックオフィスのテクノロジースタッフになるという。
リモートワークが広まる中、税率の低さに引かれて高級な都市から流出しているのは、銀行や資産運用会社だけではない。テック企業の幹部らもサンフランシスコ周辺から離れようとしている。長きにわたりサンフランシスコを拠点としてきたネット証券大手チャールズ・シュワブ(Charles Schwab)は、本社をダラス周辺に移す計画だ。
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの会長シーラ・パテル(Sheila Patel)氏は、イギリスのロンドンに昨年オープンしたばかりヨーロッパ本社では、同社は従業員の通勤問題に対応してきたとBusiness Insiderのこの夏のインタビューで語っている。
「わたしたちは自動車通勤を抑えたかったので、本社には基本的に駐車場がありません。(ロンドンは)都会です。ジョンソン首相は、車で街に入るべきだと言いましたが、目的地に着いた後、彼らはその車をどうすべきなのでしょう?」
(翻訳、編集:山口佳美)