ウーバー(Uber)の自動運転部門を吸収合併するオーロラ・イノベーション(Aurora Innovation)。自動運転大型トラックを主戦場に定め開発を進める。
Screenshot of Aurora Innovation website
- オーロラ・イノベーション(Aurora Innovation)のクリス・アームソン最高経営責任者(CEO)は、Business Insiderの取材に応じ、ウーバーATGの従業員たちの決意と強靭さに感銘を受けたと語った。
- アームソンはATGの安全性の高いインフラ、ソフトウェア、コンピューティングハードウェア、カメラを高く評価した。
外部から見ると、ウーバーの自動運転車開発部門「アドバンスト・テクノロジーズ・グループ(ATG)」は2015年の設立時に掲げた理想にたどり着けなかったように見える。
試験走行車が引き起こした死亡事故で開発は中断、従業員が社内事情や技術上の懸念を内部告発するなどの事件を経て、専門家はウーバーを(グーグル兄弟会社の)ウェイモや(ゼネラル・モーターズ傘下の)クルーズの下位にランキングした。
しかし、アマゾンが出資する自動運転開発企業オーロラ・イノベーションのクリス・アームソンCEOは、ウーバーATGには見かけ以上のものがあると指摘する。
アームソン率いるオーロラ・イノベーションは12月7日、自動運転車開発部門のATGを吸収合併するとともに、ウーバーと提携することを発表した。
ウーバーはATGの従業員や資産を譲渡すると同時に、現金で4億ドル(約420億円)をオーロラに出資し、同社の発行済み株式26%を取得する。ウーバーのダラ・コスロシャヒCEOはこれに伴い、オーロラの取締役に就任する。
「信じられないほどの気概と決意、粘り強さ」
ウーバーの自動運転技術に関するPRムービー。
Uber
アームソンによれば、ATGはオーロラと同様にここ数年の間、開発の進捗状況をあまり積極的に外部に向けて発信してこなかった。しかし、アームソンは最近になってその詳細を把握するに至って、感銘を受けたという。
「買収にあたっての適性評価の一環で、いわゆる品質検査などを行う機会があり、そこで非常に多くの発見があって興奮しました」
オーロラの共同創業者ドリュー・バグネルがかつてATGの開発部隊を率いていたこともあり、アームソンはATGの従業員に常に敬意を抱いてきた。アームソンによれば、ATGは「信じられないほどの気概と決意、粘り強さ」で開発を進めてきたという。
オーロラのブログ投稿(12月7日)で、アームソンはATGの安全性の高いインフラ、ソフトウェア、コンピューティングハードウェア、カメラを評価し、オーロラにとっても価値の高いアセットになると強調している。
アームソンはBusiness Insiderの取材に次のように語った。
「こんなにスマートで勤勉な従業員たちが、これだけ集まって何かのプロジェクトに取り組めば、面白い技術が生まれてこないわけがない」
ウーバーの配車サービスに関する知見も、オーロラに利益をもたらすとアームソンはみる。
オーロラは開発中の自動運転技術をさまざまな形で応用すべく検討しているが、取っかかりは大型トラックに主眼を置いている。配車サービスに特化して開発を行ってきたATGの技術やノウハウは、今後オーロラが旅客輸送にターゲットを向ける際の武器になる ——アームソンはブログにそう書いている。
オーロラのプレスリリースによれば、ウーバーのダラ・コスロシャヒCEOにはオーロラの自動運転車をウーバーの配車プラットフォームに組み込む意図もある模様だ。
アームソンはプレスリリースで高らかにこう宣言している。
「ウーバーATGが培ってきた人材と技術を、オーロラがここまで築き上げてきた類まれな組織土台に組み込むことで、自動運転開発業界の景色を変えたい。
端的に言えば、今回の合併によりオーロラは、輸送や流通をより安全で、よりアクセスしやすく、より安価にしてくれる自動運転プロダクトを世に送り出す上で、最短距離にいる企業となる」
(翻訳・編集:川村力)