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Getty Images/ Carol Yepes
この記事はインサイダー・インテリジェンスによる調査レポート「モバイル注文とデリバリー(Mobile Order-Ahead and Delivery)」のプレビュー版。レポート完全版(有料)はこちらから
新型コロナウイルスの流行と、感染防止のためのロックダウンで飲食店は大きな打撃を受けた。フルサービスのレストランへの影響は特に深刻だ。
ロックダウンが解除されてからも、制限付きの営業体制や人々の感染への警戒心などから、来店者数の2桁減が続いている。飲食店は収益の確保と事業継続のため、臨機応変な対応を求められている。
コロナ前から進んでいた「飲食店のデジタル化」
コロナ前に集計された、アメリカの外食産業における「モバイル事前注文」での年間売上高の推移と予測。
Business Insider Intelligence/ eMarketer
危機的状況を乗り切るための方策として、飲食店はデジタル・ツールの導入を大きな柱に据えている。デジタル化はコロナ前から外食産業の大きなトレンドで、特にファストフード業界では顕著だった。インサイダー・インテリジェンスによるパンデミック前の予想では、モバイル端末を通じた事前オーダーによるアメリカ市場での年間売上は、2020年に310億ドル(約3兆2000億円)に達すると見込まれていた。
コロナの影響で、飲食店のデジタル化は予想以上に進んだ。「ピックアップ」や「デリバリー」だけでなく、「店内飲食」でもデジタルで注文を取る飲食店が増えている。こうした技術の普及率は、コロナ前に2023年に達すると予想されていた水準にすでに達している。多くの分野でEコマースの好調が続いていることや、パンデミックをきっかけに人々の行動様式が恒久的に変化することを考えると、この流れは定着するとみられる。
デジタル化を支援する包括的なシステムが求められている
外食チェーンを中心にモバイル注文が浸透している。飲食店のデジタル化を支えるのが「デリバリー」「決済サービス」「ロイヤリティ・リワード(ポイント還元)」などのテック企業が提供するシステムだ。
Business Insider Intelligence/ eMarketer
障壁となりそうな「コスト」「相互運用性」「データセキュリティ」などの面をクリアし、飲食店のデジタル化に大きく貢献できそうなのがPOSシステムなどを提供する決済サービス事業者だ。飲食店向けの包括的なシステムを開発することにより、これらの事業者は新規顧客を獲得したり、提携している顧客との関係を強化したり、手数料によって安定収入を得ることができる。
本レポートでインサイダー・インテリジェンスは、決済サービス事業者にとっての大きなチャンスについて解説する。デジタル・オーダーの市場規模を示し、デジタル化を促せる主なチャンネルやテクノロジー、ハードルとなりそうな飲食店における「注文のデジタル化(デジタル・オーダー)」の潮流と、ポイントについて論じる。最後に、この領域での事業成功のための優先事項やベストプラクティスを明らかにする。
本レポートで言及される企業:
Aloha POS, Burger King, Caviar, Chipotle, Chowly, Clover, DoorDash, Fiserv, Google, Grubhub, iZettle, Jimmy John's, Landry's, Lightspeed, Mastercard, McDonald's, NCR, Panera Bread, PayPal, Postmates, Shake Shack, Signature Systems, Square, Starbucks, Thanx, Toast, TouchBistro, Uber Eats, Vend
本レポートのキーポイント:
コロナ下でアメリカの消費者が好んでいる、テイクアウトやデリバリーの注文方法。
Business Insider Intelligence/ eMarketer
- 新型コロナウイルスの流行以前は、アメリカの成人の62%が最低月に1度はオンラインで食事を注文していた。現在はオンライン注文をする人の数が増えただけでなく、回数も伸びている。78%の人が以前と同じか、それより高い頻度でオンライン注文をしている。
- 外食の代わりにテイクアウトやデリバリーを利用する人は多く、フルサービスのレストランでもこの傾向が続いている。アメリカでの調査によると5月には回答者の69%が、7月には回答者の80%が店外消費ための注文をしている。
- 「事前注文」「テイクアウト」「デリバリー」に関して、多くの飲食店がデジタル技術を導入している。このほか、店内飲食の注文・決済でもデジタル化が進んでいる。タッチパネルで注文するキオスクや、QRコードメニュー、テーブルごとの決済用タブレットなど、さまざまな新技術が取り入れられている。
- 飲食店がデジタル・オーダーのためのシステムを導入する方法はいくつかある。自社開発のほか、グラブハブ(Grubhub:アメリカのデリバリーサービス大手)のようなサードパーティーが提供するシステムや、提携している決済サービス事業者のシステムを利用することができる。だが、大半の飲食店にとって自社開発は現実的でなく、サードパーティーのサービスも手数料が高いことが多い。決済サービス事業者にとって、チャンネル横断的なハブとなるシステムを構築し売り込む大きなチャンスが生まれている。
本レポートの完全版では:
- デジタル・オーダーの市場規模を推定し、パンデミック以降どの程度成長が加速したのかを分析する。
- デジタル化の流れを定着させる、鍵となる要因を明らかにする。
- 飲食店のデジタル化に関し、主なチャンネルや、導入すべき技術について解説。デジタル化のハードルとなるポイントについても論じる。
- 「飲食店のデジタル・シフト」が決済サービス事業者にとってチャンスとなっている理由を解説。モバイル注文増加のトレンドを、「新規顧客獲得」「既存顧客との関係強化」「収益増」につなけるための方法を示す。
- 飲食店にサービスを売り込むための戦略として鍵となる3つの柱「安全性強化」「コスト削減」「効率化」について論じる。
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(翻訳・野澤朋代)