アマゾンは2020年6月にロボットタクシー開発を手がけるスタートアップ、ズークス(Zoox)の買収を発表。自動運転分野の合併・統合の動きが加速している。
Screenshot of Zoox website
- オーロラ・イノベーション(Aurora Innovation)によるウーバー(Uber)自動運転開発部門の買収が、統合集約が進む業界の最新トピックとして注目を集めている。
- Business Insiderは自動車産業の専門家3人に依頼し、次に買収されそうな企業を予測してもらった。
- ニューロ(Nuro)やトゥーシンプル(TuSimple)、ガーティック(Gatik)などの名があがった。
ここ数年、自動運転分野では合併や買収が相次いでいる。自動運転車の開発には、フォーチュン500社に名を連ねるような大企業の資本力と、スタートアップに集まりがちな優秀なエンジニアが山ほど必要なことに、どの企業も気づいたからだ。
2020年12月には、アマゾン出資のオーロラが、同社の発行済み株式26%と取締役ポストを提供するのと引き換えに、ウーバーの自動運転開発部門アドバンスト・テクノロジー・グループ(ATG)を吸収合併すると発表。大きな話題を呼んだ。
またその6カ月前には、アマゾンがロボタクシースタートアップのズークス(Zoox)を買収している。
大手による自動運転開発企業の「買い漁り」がまだまだ想定されるなか、Business Insiderは専門家3人に「次に買収の対象になる可能性が最も高い企業」を予測してもらった。
オートエックス(AutoX)
Ryan Nakashima/Associated Press
中国のスタートアップ、オートエックスは中国で初めて、助手席に座った人間の補助なしで自動運転車の試験走行を実現した会社。
米調査会社ガートナーのアナリスト、マイケル・ラムゼイによれば、オートエックスは自動運転分野の関係者からきわめて魅力的な買収対象として以前から注目を集めてきた。にもかかわらず、買収がまったく不可能というほど評価額は高くない。
中国で自動運転ビジネスを展開したい企業にとっては、このオートエックスに限らず中国企業と組むことができれば、同国内でより有利なポジションを獲得できる、というのがラムゼイの見方だ。
トゥーシンプル(TuSimple、図森未来)
TuSimple
トゥーシンプルはセミトレーラ(=けん引車に荷台を連結する運搬用車両)に特化した自動運転システムを開発。ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)やナビスター(Nacistar)、ペンスキー(Penske)のような大手流通企業との提携を果たしている。
ガートナーのラムゼイは、トラック運送会社がトゥーシンプルの買収を通じて自動運転(導入)戦略を強化しようと考えても何ら不思議ではないと指摘する。
メイ・モビリティ(May Mobility)
David L. Ryan/The Boston Globe via Getty Images
ベンチャーキャピタル・トラックスのパートナー、ライリー・ブレナンによると、メイ・モビリティは固定されたルートを走る自動運転シャトルバスを運用しており、乗客数の実績はすでに25万人を突破している。2019年末には、トヨタ自動車をリードインベスターとするシリーズBで5000万ドル(約52億5000万円)を調達している。
ガーティック(Gatik)
Gatik
ガーティックは法人向けの短・中距離輸送に特化した自動運転車を開発。米小売り大手ウォルマートやカナダの食品小売り最大手ロブロウと提携している。
トラックスのブレナンによると、ガーティックは自動運転トラックによる中距離輸送分野でトップを走っており、ウォルマートやコストコといった小売り大手はここ数年のうちに(ガーティックのような)自動運転開発企業を買収し、アマゾンを追走する可能性があるという。
ニューロ(Nuro)
Nuro
ニューロは自動運転配送車を開発している。評価額は40億ドル(約4200億円)と高価だが、ピッチブックのアナリスト、アサド・フサインによれば、ニューロはその評価額に見合うだけの有望なビジネスモデルと高い技術力を備えているという。
エーアイ(AEye)
エーアイ(Aeye)のウェブサイトより。
Screenshot of Aeye website
2020年は特別買収目的会社(SPAC)がLiDAR(ライダー、レーザー光によるリモートセンシング技術)を開発するスタートアップに熱い視線が送られた年だった。
実際、トップを走るベロダイン(Velodyne)やルミナー(Luminar)、イノビズ(Innoviz)はSPACと合併し、上場を果たしている(イノビズは2021年第1四半期の上場を目指しているとされる)。
ピッチブックのフサインによると、LiDAR開発企業は今後も、自動運転分野の企業や自動車メーカー、サプライヤーにとって魅力的な買収対象であり続けるという。
エーアイは、車両の周囲にある最も重要な物体にだけ照準を合わせて検知する、非常にユニークなコンピュータービジョンシステムを開発。さまざまなタイプの車両に組み込むこともできる。
インサイト・ライダー(Insight Lidar)
従来のLiDARはこうした形状が多かったが、よりコンパクトになるなどデザインの変革が進むと専門家は予測する。
Natalie Behring/Reuters
ピッチブックのフサインは、LiDARのデザインが、自動運転の試験車両でよく見る(車両の上部で)回転部分とはまったく異なるものになっていくと予測する。インサイト・ライダーが開発するシステムはよりコンパクトなデザインで、製造工程が単純化され、コストも下がるという。
(翻訳・編集:川村力)