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- ファーウェイは少なくとも4つのパートナー企業と協力して、民族別に人々を監視する技術を開発したと、ワシントン・ポストが報じた。
- 同紙によると、2018年にファーウェイが「ウイグル・アラーム」と呼ばれる機能をテストした。これは、イスラム教少数民族を特定し、中国当局に報告するAI顔認識ツールの機能だ。
- ファーウェイは同紙に、このツールは「単なるテスト」であると述べたが、その後の報道では、ファーウェイはそのようなツールを複数開発していた。
- この記事は、中国政府のウイグル人やその他の少数民族に対する広範な監視と抑圧、アメリカの法執行機関による監視ツールを使った人種差別的な監視行為の増加に懸念を表明している。
ワシントン・ポストは12月12日、ファーウェイ(Huawei)が、中国当局が2018年に少数民族のある人物を特定した際に、「ウイグル・アラーム」と呼ばれる、民族を識別できるAI顔認識技術をテストしていたと報じた。ファーウェイの広報担当、グレン・シュロス(Glenn Schloss)は同紙に、「単なるテストであり、実際に使用することはない」と語っていた。
しかし、今回の同紙の報道によると、ファーウェイは数十社のセキュリティ企業と協力して監視ツールを開発しており、そのうちの4社と協力して開発した製品では、民族性に基づいて人物を特定し、監視できるとしていた。
ファーウェイのウェブサイトで公開されている文書には、これらの民族追跡ツールの他に2000以上の製品の詳細が記載されていたという。また、同紙がファーウェイに取材した後、同社はウェブサイトを一時的にオフラインにして、復旧した際には38の製品しか掲載されていなかったという。
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「ファーウェイは、技術を使って民族差別を含めたあらゆる差別に反対している」と同社の広報担当者はBusiness Insiderに語った。
「当社は、業界標準に基づいた汎用ICT(情報通信技術)製品を提供している。また、民族によって差別したり、抑圧したりするために当社の技術を使用することを容認しない。我々はワシントン・ポストの記事が指摘する疑惑を非常に真剣に受け止め、その中で提起された問題を調査している」と広報担当者は続けた。
ワシントン・ポストによると、ファーウェイは、Beijing Xintiandi Information Technology、DeepGlint、Bresee、Maiyuesoftと協力して、民族を推定し、追跡して、それを可視化する製品を開発したほか、他の中国のハイテク企業と協力して、地方政府の役人の不正行為に対する市民の苦情を抑制し、「声紋」データを分析するツールを開発したという(上記の4社にはコメントを求めることができなかった)。
人権団体や報道機関、研究者らは、中国政府による監視や強制収容で、100万人ものウイグル人、カザフ人、キルギス人、その他のイスラム教少数民族に対して拷問や性的虐待、強制労働といった行為が行われてきたことを報告している。
このような拘束を可能にする監視装置を構築するため、中国政府はテクノロジー企業に協力を求めてきた
「これは1つの企業によるものではない。組織的なものだ」と、2018年のテストを最初に指摘した研究グループ「IPVM」の創設者、ジョン・ホノビッチ( John Honovich)はワシントン・ポストに語った。
「『ウイグル・アラーム』が正常に機能することを確認するために行われたのだ」
2019年10月、アメリカ商務省は、中国の5つの「AIチャンピオン」であるHikvision、Dahua、SenseTime、Megvii、iFlytekを含む28のテック企業と中国政府機関をブラックリスト化し、これによりアメリカ企業が特定の技術を輸出することを禁止した。
それでも、ブラックリストに載った企業には、欧米諸国への輸出を続けているところもあり、バズフィードは2019年、アマゾン(Amazon)、アップル(Apple)、グーグル(Google)などのハイテク企業が、オンライン・マーケットプレイスなどを通じて、これらの企業の製品をアメリカの消費者に販売し続けていると報じた。
アメリカでは、法執行機関に加えて学校でさえも、顔認識ソフトウェアなどのAIを使った監視技術への依存度を高めているが、そのようなツールの判断は人種や性別によって偏りがあるという証拠が増えている。
しかし、最近では活動家や従業員からの反発を受けて、一部のテック企業は法執行機関への顔認識ツールの販売を一時的に停止し、アメリカのいくつかの都市はその使用を保留しており、アメリカと中国の法執行機関のアプローチにはいくつかの相違が見られる。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)