ボリビアのアンデス山脈で発見された新種の蛇、Chironius scurrulus。
Courtesy of Trond Larsen of Conservation International/Handout via REUTERS
- 2017年3月、17人の科学者からなるチームが、ボリビアのアンデス山脈で2週間かけて生態系の調査を行った。
- この度、その結果が公表され、これまでに確認されたことのない新種20種を発見したという。
- この調査は、コンサベーション・インターナショナルによる「迅速対応プログラム」の一環として、保護が必要な生態系を見つけるために行われた。
ボリビアのアンデス山脈の生態系を調査した科学者チームがこれまでに確認されたことのない新種20種を発見したと、調査を主催した非営利環境保護団体コンサベーション・インターナショナル(CI)が述べた。
生物学者のトロンド・ラーセンが率いるチームは、海抜約3000メートル以上の高地にあり、雲に覆われているボリビアのゾンゴ渓谷を2週間かけて歩き回り、生態系を調査した。
短期間ながら果敢に進められた調査によって、彼らは1204種の生物が生息しているのを確認した。そのうち20種は「学術的にまったく新しいもの」だったと、ラーセンはCIサイトに掲載されたのインタビューで述べている。
「メタルマーク・バタフライ」の新種も見つかった。
Courtesy of Trond Larsen of Conservation International/Handout via REUTERS
今回発見された新種には、「マウンテン・フェルドランス(ヘビ)」「ボリビアン・フラッグ・スネーク(ヘビ)」「リリパット・フロッグ(カエル)」に、4種類のランと4種類のチョウなどが含まれている。
学術的には新種の竹も発見されたが、それは長い間、先住民のコミュニティで楽器を作るために使われてきたものだった。
「特に興奮したのは『悪魔のような目のカエル』と呼ばれるOreobates zongoensisを再発見したことだった。これまで一度しか発見されたことがなく、絶滅したと思われていたからだ」と、ラーソンはインタビューで述べた。
ボリビアのアンデス山脈での遠征調査では、「悪魔の目のカエル」も見つかった。
Steffen Reichle of Conservation International/Handout via REUTERS
「一度は絶滅したと思われていた種の驚くべき再発見が、特に首都ラパスの近郊でなされたということは、自然保護に留意した持続可能な開発が、生物多様性の長期的な保護に貢献できることを示している」とCIは声明で述べた。
「リリパット・フロッグ」という体長わずか10ミリのカエルも発見された。これは世界最小の両生類の1つだという。
「このカエルは非常に小さく、薄暗い森の幾重にも重なるコケの下に住んでいることから、頻繁に鳴き声を上げるにもかかわらず、見つけるのは困難だ」とCIは述べた。
この遠征は、CIによる「迅速対応プログラム」の一環で、17人の科学者からなる「エコロジカルSWATチーム」が遂行した。その目的は、従来から行われているような環境調査をさらに短期間で行い、その土地とそこに住む生物を保護することだという。
「新種の発見や絶滅したと思われていた種の再発見は、ラパス周辺の自然を守りながら、持続可能な開発を行っていくことがいかに重要かを示している」とラーソンはインタビューで述べた。
「この地域は、地球上でここでしか発見されていない両生類、チョウ、植物などの安全な避難所になっている。我々は未来の世代のために、この地域をこのままにしておく義務がある」
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)