コロナによる雇用不安が高まっていることが日本労働組合総連合会(連合)のアンケートで分かった。
撮影:今村拓馬
新型コロナウイルスの影響で、2020年の年収が減る見込みの人が30%にのぼることが、日本労働組合総連合会(連合)が実施したアンケートで分かった(以下、数値は四捨五入)。
業界別にみると、年収の減少や雇用の不安を抱えている人は「宿泊業、飲食サービス業」で大きく、同業界では、このままコロナ禍が続けば「働き続けられない」と感じている人も4割にのぼることが明らかになった。
エン・ジャパンの中小企業における冬のボーナスについての調査でも、「減額予定」が急増しており、コロナの影響は深刻化している。
年収「増加する」はわずか3%
年収減少の影響は、正規雇用の方が大きかった。
出典:日本労働組合総連合会
アンケートは、連合が2020年11月19〜26日、18歳から65歳の男女計1000人にインターネットで実施した。
「自身の今年の賃金総額(手当・賞与などを含む)は新型コロナの影響を受けそうか」という質問では、4割が「変化はない見通し」と答え、最も多かった。
「減少する見通し」は30%、「分からない」が27%、「増加する見通し」が3%だった。
業界別でみると、「宿泊業、飲食サービス業」では「減少する見通し」が51%、「製造業」でも39%と、全体の平均を大きく上回った。
1割が「勤め先から出向・副業の勧め」
雇用不安を抱える人は、飲食サービス業などで多い。
出典:日本労働組合総連合会
「コロナ禍が続いたら、勤め先で働き続けられると思うか」という質問では、「働き続けられないと思う」などと答えた人の合計は12%で、10人に1人を超えた。
一方で、「働き続けられると思う」などと回答した人の合計は88%。
「宿泊業、飲食サービス業」で見ると、働き続けられないと考えている人は3割以上にのぼり、全体よりもおよそ20ポイントも高い結果となった。
また全体の12%が「勤め先から出向の打診、または副業の勧めを受けていた」と回答した。
出典:日本労働組合総連合会
「コロナ禍の状況や会社の業績などを考えたとき、自身の雇用に不安を感じるか」という質問では、不安を感じている人が58%にのぼった。
一方で不安を感じていない人も42%おり、回答は大きく二つに分かれた。
ボーナス支給する中小企業も、4割が「減額」
中小企業のボーナスも「減額予定」の割合が大幅に増えている。
出典:エン・ジャパン
実際に冬のボーナスについても、厳しい状況が続いている。
エン・ジャパンが行った前出のアンケート調査では、冬のボーナスを支給するとした中小企業のうち、4割が「減額予定」と回答した。
アンケートは2020年11月25日から12月15日、従業員299人以下の企業333社の人事担当者を対象に実施した。
アンケートによると冬のボーナスを支給予定としたのは82%で、2019年の調査と同じ割合だった。ただし、支給はするものの「減額予定」とした企業は、31ポイント増えて42%にのぼった。
また、減額の割合では、20%未満の減少にとどまった企業が過半数(52%)を占めたが、その一方で、40%以上ボーナスを減らすとした企業が約2割(19%)にもおよんだ。
調査を実施した「人事のミカタ」編集長の手塚伸弥氏は、次のように話した。
「大企業を対象にしたアンケートよりも、中小企業は減額を検討している企業の割合が多く、厳しい状況にあると言える。
コロナ禍でも冬のボーナスを支給している企業は、前年と同じく8割だったが、ボーナスを出すのが限界で、減額を迫られた企業も多かった」
(文・横山耕太郎)