ティム・クック(左)とマーク・ザッカーバーグ
AP; Francois Mori/AP
- フェイスブックは12月16日、新聞の全面広告で新しいプライバシー保護機能を導入したアップルのiOSを批判した。
- フェイスブックは、この新機能が中小企業に損害を与えると主張している。
- アップルはBusiness Insiderへのコメントで、単にユーザーを守ろうとしているだけだと述べた。
- 「iOS14のトラッキング透明性に関する機能追加で、フェイスブックはトラッキングとターゲティング広告へのアプローチを変える必要はない。ただユーザーに選択肢を与えるだけでいい」とアップルの広報担当者は語った。
アップル(Apple)は、フェイスブック(Facebook)による最新のiOSアップデートを攻撃する新聞全面広告に反論した。
12月15日のiOS14.3アップデートで、アップルは「App Tracking Transparency(ATT:アプリのトラッキングの透明性)」という機能を導入した。これはApp Store内のアプリにラベルを付け、アプリが収集するデータの種類と、広告の追跡に使用されているかどうかをユーザーに伝えるものだ。
フェイスブックは翌16日(現地時間)、新聞に全面広告を掲載し、この機能がターゲティング広告に依存している中小企業に影響を与えると非難した。
フェイスブックは広告で「中小企業のためにアップルと戦う」と主張した。
これに対し、アップルの広報担当者はBusiness Insiderに対し、「我々はユーザーのために戦っている」と反論した。
「ユーザーは、自分のデータがいつ収集されるか、他のアプリやウェブサイトで共有されているかどうかを知る権利があり、それを許可するかどうかを選択する権利がある。iOS14のATTは、フェイスブックにターゲティング広告作成のアプローチを変えさせるものではない。ただユーザーに選択肢を与えるだけでいい」と広報担当者は付け加えた。
アップルの広報担当者はまた、同社が2021年からApp Storeの小規模開発者に対する手数料を30%から15%に半減することをあげ、中小企業に損害を与えているという批判を否定した。
アップルとフェイスブックはこの夏以降、アップルの新しいプライバシー保護機能を巡って争っている。15日のアップデートは大きな変更の前半部分に過ぎず、2021年初めのアップデートでは、広告のためにトラッキングを許可するかどうかをユーザーに許可を得なくてはならなくなる。
この機能は当初9月に開始される予定だったが、フェイスブックなどのデベロッパーが広告収入が減少すると主張したために延期されている。
これまでも両社はユーザーのプライバシーを巡って互いを激しく攻撃しあってきた。アップルは2019年11月、プライバシー関連の非営利団体に宛てた書簡の中で、フェイスブックが収益増大を図るために「できるだけ多くのデータ」を収集し、「ユーザーのプライバシーを軽視」したと非難した。一方、フェイスブックは、アップルが市場での地位を利用してユーザーデータの収集に不当な優位性を得ようとしていると非難した。「彼らはプライバシーの問題だと主張しているが、実際にはお金の問題だ」とフェイスブックの広報担当者はBusiness Insiderに語っている。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)