【セミナーレポート】Withコロナ時代に生き残るために、今、企業に求められる本当のDXとは?

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写真左からNTTデータ 常務執行役員の佐々木裕氏、ビービット 東アジア営業責任者の藤井保文氏、Business Insider Japan統括編集長の浜田敬子。

コロナ禍によって働き方や暮らし方が大きく変わった2020年、日本で顕在化したのはデジタル化の遅れだった——。そのような背景の中、2020年12月15〜16日の2日間、ウェビナー「Withコロナで加速するDX—変革に向けた5つのソリューション—」(主催:NTTデータ ビジネスソリューション事業本部)が開催された。

冒頭のキーノートセッション「日本の会社を強くするDX — Withコロナ時代に生き残る企業に必要なこと—」には、中国・上海でUX支援を手掛け、『アフターデジタル』シリーズの著者であるビービット東アジア営業責任者の藤井保文氏と、NTTデータ 常務執行役員の佐々木裕氏が登壇。

今後のDX(デジタルトランスフォーメーション)の本質とは何か、日本の企業が抱える課題、可能性とは。モデレーターはBusiness Insider Japan統括編集長の浜田敬子が務め、3人が語り合った。

価値は「製品」から「体験」へ

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ビービット 東アジア営業責任者の藤井保文氏。

藤井氏は著書『アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る』(共著)『アフターデジタル2 UXと自由』の中で「日本のDXはそもそも立脚点が間違っているのではないか」と問題提起している。

藤井氏によれば、モバイルやIoTやセンシングのような技術革新が起こったことによって、今まではデータとして残らなかった購買や飲食、移動といったオフラインの行動履歴のデータ化、オンライン化が可能になる。これは、ビジネスにおいては属性データから行動データの時代に変わることを意味する。

この考えに基づき、藤井氏はこう口火を切った。

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提供:ビービット

「顧客×行動データを取得、活用できるようになると、属性データだけでは分からなかった最適なタイミング×コンテンツ×コミュニケーションの提供が可能になる。すると、今までのような製品販売型ではなく、顧客に寄り添ったサービスやソリューション、価値を提供できる企業が勝ち残ることになる。企業競争の焦点は製品販売型から体験提供型に変わる。これからのDXは、ビジネスプロセスのデジタル化や、データをとにかく取るだけでは足りず、顧客との関係性やビジネスモデルの話が先に来るべき。これがアフターデジタルの考え方です」(藤井氏)

つまり、DXの目的は「システム導入」ではなく「新たなUX(ユーザーエクスペリエンス)を顧客に提供すること」。「UX」は、日本では画面上の挙動やデザイン領域として語られることが多いが「本来のUXとはユーザー、ビジネス、テクノロジーそれぞれの観点を統合して、どのような体験を提供するかということ」と言う。

佐々木氏もデータ活用の幅が広がったことで、ビジネスの変化を体感している。

「これまでコンサルティングを行う上では、豊富なビジネスの知見が重要だったが、ここ数年は、それに加えてテクノロジーへの対応が不可欠になっている。デザインやデータ活用、マスマティックス(数理統計)が、ビジネス価値の提供に非常に密接に関連しており、我々もそういった領域を強化している」(佐々木氏)

日本のDXが目指すべき方向は?

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NTTデータ 常務執行役員の佐々木裕氏。

コロナ禍に見舞われ、世界中で政府や企業のDXが急速に進む中、なぜ日本は、政府も企業もDXが進まないのか。

その原因について佐々木氏は、規制や終身雇用といった社会やモデルを大きく変えることに対する難しさがあった、とまず指摘。加えて、「日本人はおしなべて優秀だということも背景にある」と言う。

「従来型の日本企業は、多様性に乏しく画一的であるがゆえに、能力も一定水準に揃っていた。それゆえにテクノロジーを駆使して効率的に社会を回していく、あるいは企業の生産性を上げていくという必要性に迫られる機会がなかった可能性がある」(佐々木氏)

これには藤井氏も「ものづくりにおいて『ジャパン・アズ・ナンバーワン』と言われていた成功体験に縛られていたことも大きい」と指摘。体験提供型ビジネスに変わるためには、過去の成功体験にすがっていては難しいとしながらも、「ただ、人々の課題を解決することは、ものづくりの時代でもやってきたこと。思考の転換さえすれば世界に伍していける」と希望を込めた。

浜田氏の「利用者の立場から考えると、企業にデータを取られてどう利用されるのかという不信感が日本においては根強い。それも企業や政府のデジタル化が進まない一つの要因なのではないか」という問いかけに対して、中国企業のDXに詳しい藤井氏は以下のように答えた。

「中国ではデータを得たらユーザーに還元して当たり前。そうでないとユーザーとのトレードオフにならず、信頼関係が生まれない。得られたデータを自社のためだけに活用することは『不義理である』といったことを中国企業はよく言う」(藤井氏)

続けて、「日本企業ではまだまだ『得られたデータは金儲けになる』という幻想を抱いているケースが多い」と指摘。

「当然、活用する価値はあるが、ユーザーに不義理な形で自社だけのために使っていいとは思わない。データをUXに還元することで、顧客との信頼関係をつくっていくことが当たり前になるといい。ユーザーに説明責任を果たしながらそれを証明していく企業努力が重要だと思う」(藤井氏)

Z世代の価値観に学ぶべきこととは

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提供:NTT DATA

DXの進展は働き方にも変化をもたらす。今まさに各企業が頭を悩ませているのが、コロナ禍での働き方だ。コロナ後もある程度定着していくだろうと見られているリモートワークだが、企業のDXにどのような影響を及ぼすのだろうか。

佐々木氏はちょうど社会人になり始めた「Z世代」(1990年代中盤〜2000年代序盤に生まれた世代)の価値観に対応する必要がある、と強調した。

「Z世代は、デジタルならびにクラウドネイティブで育ち、最新デバイスでインターネットに常時接続されていることが当たり前。一方で、企業はセキュリティを重視し、決められたデバイスしか使えない、クラウドが自由に使えない、社内で接続しなければならないといった環境を強いている。それはZ世代には、なかなか受け入れらない。セキュリティは守らなければならないが、企業にとって重要なこととZ世代を含めた社員にとって重要なことのバランスを取りながら、EX(エンプロイーエクスペリエンス)においてもOMO(=Online Merges with Offline=オンラインとオフラインの融合)を実現していく必要があるのではないか」(佐々木氏)

これには藤井氏も同意する。

「リモートワークになり会話量が減ったが、Z世代はそれでもチャットなどで十分会話できる。そこは我々が学べる部分。我々も新しいツールやデジタルを恐れるのではなく、飛び込んでいって試しながら会話量を増やし、そういった世界観に自分を浸透させていくことが重要になる」(藤井氏)

「ものづくり」であれば設計書が存在し、各モジュールに携わる人々が企業や商品の価値を深く理解していなくても商品をつくることが可能だった。だがセッションの冒頭で藤井氏が指摘したように、体験提供型のサービスに移行すれば、個々の従業員に共通の理解が求められるようになる。

「体験提供型では、さまざまな顧客接点でサービスを提供することになる。そこに携わる人々が企業の世界観や価値観などを解釈して活動できなければ、ユーザーから見てそれぞれの接点で提供されている価値やイメージが違う、となってしまう」(藤井氏)

アフターデジタル社会がもたらすビジネスへの変化について、佐々木氏はセッションをこう締めくくった。

「ここ数年、デジタルは企業に“点”として取り入れられてきた。それをつないで“線”にしてジャーニーとしてのストーリーを作っていく必要がある。それをトップダウンでどうやって設計していくかが大事だ」(佐々木氏)

まとめ

提供:NTT DATA

NTTデータは、企業がこれから求められる変化に対応するために必要なキーワードとして「Connect Everything」「Improve Flexibility」「Utilize AI/Analytics」の3つを挙げる。これを実現するために提供するのが「デジタルサプライチェーン」、データを活用した「ニューノーマルの顧客接点」の構築、働き方の変化に合わせた「ワークプレイス・デザイン」、高まるサイバー攻撃に備える「サイバーセキュリティ」、With コロナ時代に対応した「システム運用」といったソリューションだ。

今、どの企業にとっても急務となっているDX推進。キーノートセッションでは、企業がまず理解すべきDX、UXの本質と、これから進むべき道筋が示された。


「Withコロナで加速するDX — 変革に向けた5つのソリューション —」

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