エストニアのÖÖDは、1万9900ユーロ(約251万円)の箱入りバックヤードオフィスを発表した。まもなくアマゾンで購入できるようになるという。
ÖÖDは2016年、2人の兄弟ヤーク・ティーク(Jaak Tiik)氏とアンドレアス・ティーク(Andreas Tiik)氏が立ち上げた。週末のハイキングを計画していた際、自分たちの求める美しさ、サイズ、質に合致する極小住宅を見つけられなかったのがそのきっかけだった。彼らの理想をベースに生まれたのがÖÖDホテルのコンセプトで、その後、このコンセプトをもとにスタジオ、遊戯室、ヨガのための部屋、冬の庭などを展開してきた。
ÖÖDによると、同社のユニットは「北欧のミニマリズム」を反映しているという。
いずれの極小スペースも2つのサイズで展開している。
ÖÖDの営業責任者クリスティ・キビレイド(Kristi Kivilaid)氏によると、同社のプロダクトは全てデザインが同じため、オフィス版を作るのにも2、3週間しかかからなかったという。
「ホームオフィスと同じフレームをもとにしたサウナとスチームの部屋もあったので、あとは技術面のディテールを多少変えて、オフィス用に使いやすい、居心地の良い空間にするだけでした」とキビレイド氏はBusiness Insiderの取材に語った。
キビレイド氏によると、オフィス版を作るという決断は顧客の需要を受けてのものだった。
「顧客のコメントを聞いて、どんな環境にも合うホームオフィス・ユニットを作ろうと決めました」とキビレイド氏は言う。「今こそ自宅の裏庭に設置できる安全な仕事場をデザインすべき時だと気付いたんです。ホームオフィスはまさに市場が必要としているプロダクトだ、と」
オフィス版が正式に発表されたのは2020年11月のことだ。それ以来、ÖÖDにはアメリカの客からの問い合わせが増えているという。
キビレイド氏によると、アメリカのこの「大きな可能性」に対応するため、同社は今春、アメリカ支社をオープンする予定だ。
ただ、ÖÖDの一番人気のプロダクトはこれまで、広さ226平方フィート(約21平方メートル)のホテル・ユニットだった。
新型コロナウイルスのパンデミックで極小住宅がトレンドとなっていることを考えると、ÖÖDのホテル・ユニットが人気なのも当然だ。
ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、コロナ禍で極小住宅のレンタル会社やメーカーへの問い合わせが急増していて……
Source: Wall Street Journal
「不動産投資データ分析」を手掛けるMashvisoのブログによると、極小住宅のメーカーの中には需要が2倍に増えたところもあるという。
Source: Mashvisor
「ÖÖDの住宅は家族全員向けだとわたしたちは考えています」とキビレイド氏は話した。
ÖÖDでは、オフィス版をすぐにでもアマゾンで販売できるよう準備を進めている。
他にも、自宅の屋上にオフィス・ユニットを置きたいというベルギーの顧客とも話を進めている。
極小ユニットは完全な基礎を必要としないことから、こうした使い方も可能だという。
ユニットの内装は柔軟に変えられ、さまざまな用途向けにできるため、新型コロナウイルスのパンデミックの後、在宅勤務をしなくて済むようになった後でも、このオフィス・ユニットの人気は続くだろうとキビレイド氏は考えている。
広さ約97平方フィート(約9平方メートル)のユニットは、2人の人間が余裕を持って使うのに十分な広さだ。
価格に応じて、家具を全て揃えたり、カスタマイズすることも可能だ。
もっと広いスペースが欲しい場合は、トイレ、キッチン付きの広さ226平方フィートのユニットもある。
重さ3トンのユニットの設置には2、3時間を要する。
電気をつなぐには、電気技師の助けも必要だ。
ユニットの外側は鏡になっている。そうすることで、周りの環境に溶け込むことも、自身の存在を目立たせることもできると、キビレイド氏は話している。
この鏡は太陽光を約80%反射するため、外からユニットの中をのぞくことはほぼできないという。
室内にカーテンもいらないということだ。
「大きなガラスのファサードの中にいると、ユニットの外と中が1つになっているように感じます」とキビレイド氏は語った。「実際は小さな家であるにもかかわらず、開放的かつ広々とした感じを与えます」
(翻訳、編集:山口佳美)