世界約4億人のユーザーをもつオンライン署名サイトChange.org(チェンジ・ドット・オーグ)によると、オフィスがある19カ国中、コロナ禍の市民の行動に最も変化が見られたのは日本だという。その中心にいたのは、長い間、政治に無関心だとみなされてきた若者だった。
新規署名キャンペーンは前年同時期と比べ約3倍に
コロナ禍、日本で暮らす多くの市民の行動にポジティブな変化が起きていた(写真はイメージです)。
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Change.orgではユーザーが多い上位25カ国において、2020年1月1日から7月31日までにChange.orgのサイト上で起こったユーザーの行動を昨年の同時期と比較。新型コロナウイルスによって市民の意識がどのように変わったのかを「新型コロナウイルス パンデミックレポート」にまとめて発表した。
行動変化のバロメーターは、①「キャンペーン」と呼ばれる署名活動の増加率②集まった賛同数③ユーザーの増加率の3つの指標で測ったという。
日本は、
・新規で立ち上がったキャンペーン数(219.67%増加)
・賛同数(150.56%増加)
・新規ユーザー数(41.37%増加)
という結果に。
アメリカ・イギリスを含むChange.orgのオフィスがある世界19カ国中、最も市民の行動に変化が見られた国は日本だったという。
日本の“出る杭は打たれる”風潮を終わらせるのは若者か
声を上げる人に冷たく、自己責任論が強い日本も変わり始めているのだろうか(写真はイメージです)。
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Change.orgによると、新型コロナウイルスの影響を受けてChange.org上で立ち上がったキャンペーンに賛同した人は、世界中で1億1000万人以上にのぼり、世界平均でもキャンペーンの数は約1.6倍(前年比80.23%)増加しているという。
その中でも日本の市民活動に大きな変化が見られた要因の1つは若者にあると、分析している。
4月に休校延長を求めるキャンペーンか200ほど立ち上がり、それらの大半が高校生によるものであったこと。また大学を宛先にして学費軽減を求めるキャンペーンが170以上立ち上がったこと。これは若者が政治参加者となり、声をあげ始めていることを示しているという。
「2020年は日本で暮らす市民にとって『変えたい』と思う社会課題に対して声をあげること、またそれらの声に賛同し、政策決定権のある人たちに届けようとすることがより身近になった一年になったことが見てとれます。
特に日本の若者は、長い間、政治に無関心だとみなされてきました。そんな中、新型コロナウイルスの流行以来、日本の若者の間で政治参加の動きが新しい形で、また、より急激な変化を見せています。
“出る杭は打たれる”風潮に穴が空いたとも言える結果でしょう」(Change.org広報担当者)
Business Insider Japanでは、長期化するコロナの影響による働き方や子育ての変化について取材しています。ぶつかっている壁や不安があれば、どうか教えて下さい。ご連絡は ikuko.takeshita@mediagene.co.jp まで。(個人情報の取り扱いについては下記の規約に同意の上でご連絡ください。)
(文・竹下郁子)