アップルのティム・クックCEO。
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- アップルは2021年の役員賞与を、社会的・環境的な価値観に対する実績に基づいて、最大10%増減させる。
- この「環境・社会・ガバナンスに関する変動因子」は、アクセシビリティ、教育、環境、多様性と包括性、プライバシーとセキュリティ、サプライヤー責任という6つのコア・バリューに基づいて、賞与を増減させるものだという。
- アップルは、各々の項目のパフォーマンスをどのように測定するのかについては明らかにしていない。
- また、同社の5人の幹部の2020年の報酬総額が1億2000万ドルで、最高経営責任者(CEO)のティム・クックの報酬総額は2019年から約28%増加したことを明らかにした。
アップル(Apple)は、経営陣の評価に社会的、環境的な基準を設けて、そのパフォーマンスに応じて2021年の賞与を増減させると、1月5日(現地時間)に公表した。
この「環境・社会・ガバナンスに関する変動因子」は、役員の賞与に最大10%の影響を与える可能性があると、同社はアメリカ証券取引委員会(SCE)への株主総会に関する提出書類で述べている。
「2021年以降、当社の価値観と主要なコミュニティの構想に基づく、環境、社会、およびガバナンスによる変動因子が、当社の報酬プログラムに組み込まれる」
アップルには、アクセシビリティ、教育、環境、多様性(ダイバーシティ)と包括性(インクルージョン)、プライバシーとセキュリティ、サプライヤー責任という6つのコア・バリュー(基本的な価値観)がある。同社は、これらの項目に関してパフォーマンスをどのように測定するかについて明らかにしていない。
同じ書類の中でアップルは、2020年に5人の幹部が合計で1億2000万ドルの報酬を得ていたことを明らかにしている。最高経営責任者(CEO)のティム・クック(Tim Cook)の報酬総額は1470万ドルで、2019年から約28%増加しており、平均的な従業員の256倍の報酬だったことになる。
アップルは、中国での強制労働の恩恵を受けていると繰り返し非難されてきた。Tech Transparency Projectの2020年12月のレポートでは、主要なサプライヤーが、数千人のウイグル人労働者の強制労働を利用してiPhone用のガラスを製造したと非難している。当時、アップルの担当者はワシントン・ポストに対して「強制労働はまったく許容できない。抜き打ち検査を含めた、強制労働の有無の確認は、すべてのサプライヤーに対して行っていることだ」と語っていた。また、元従業員が、アップルは中国の労働法に違反しているサプライヤーを野放しにしていると非難している。
アップルは、経営陣が財務目標を達成するとともに「価値観を重視した非常に高いレベルのリーダーシップ」を発揮するために新しい基準を導入したと述べた。
同社は賞与の年間最大支払総額に変更はないと付け加えている。
ボーナスの支払いを増やすか減らすかについての決定は、アップルの報酬委員会によって行われる。報酬委員会は、アップルの価値観と「その他の主要なコミュニティの構想」に基づいてパフォーマンスを評価するという。「報酬委員会はこの評価項目を使用して、賞与支給額を最大10%まで増やすか減らすかを決定する」と同社は述べている。
10月に発表されたSemler Brossy Consulting Groupの報告書では、複数の大企業がCOVID-19のパンデミックの間に賞与の計画を書き換えたり、業績目標を変更したりすることで幹部の収入を守っていたことが明らかになっている。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)