住宅ローンビジネスで拡大する「自動審査」最新事情…貸し手と借り手、双方に利点:eMarketerレポート

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(写真はイメージです。)

Shutterstock/Puttachat Kumkrong

昨今既存金融機関にとって、住宅ローンの申請と承認のプロセスのスピードアップが重要な課題となっている。この分野に参入してきた、ノンバンクやオルタナティブ融資スタートアップに市場シェアを奪われないようにするためだ。

新たに台頭してきたデジタル貸金事業者は、審査の自動化によって従来のプロセスを合理化し、住宅ローンの申請と承認を効率的かつ安全に行う。自動化でどの程度時間を短縮できるのか? 貸し手側にとって自動化のメリットとは何か? 以下でこれらの疑問に答えながら、「住宅ローンの自動審査」の今後について考える。

住宅ローンの自動審査とは

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オンライン型の住宅ローンは、フィンテックだけでなく大手銀行も提供している。

Business Insider Intelligence

住宅ローンの自動審査とは、申請者が融資が受けられるかどうかの判断をAI技術が自動で行うプロセスのことだ。RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)や機械学習を使った審査ソフトウェアが申請者の情報を分析し、承認のために必要となる条件を導きだす。

貸し手側は自動化により人件費を減らせるほか、リスク分析の効率化により顧客満足度を向上できる。

人による審査との違い

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住宅ローン融資会社は「申し込み」「審査」「承認」の各プロセスを自動処理できるソフトウェアを導入している。

Business Insider Intelligence

2015年にクィッケン・ローンズ社(Quicken Loans)が立ち上げたソリューション、ロケット・モーゲージ(Rocket Mortgage)は、住宅ローンの常識を覆した。ウェブ上で必要情報を入力するだけで申請でき、給与明細や銀行取引明細書を提出を求められない。従来は数日かかっていた事前審査が10分程度に短縮された。これは貸す方と申請者の双方にとって大きな利点となる。

以後、住宅ローンを提供する他企業もクィッケン・ローンズ社のような、自動審査ソフトウェアを導入した。これらのソフトウェアは申請者の財務情報(クレジットスコアや収入など)や、購入予定の物件の担保価値(通常は専門の鑑定業者が査定)を自動的に分析。その上で、申請を受け付けるか、人間の融資担当者につなげるかを判断する。

この事前審査に通った申請者は、速やかに次の段階に進むことができる。そして信用情報が少なかったり、過去に経済的なトラブルのあった申請者のみ、対面でのやりとりが発生する。

住宅ローン申請は手間のかかるプロセスだ。申請者は銀行に足を運んだり、融資担当者と電話でやりとりし、申請書類に給与明細や確定申告書などの書類を添付して提出する。貸し手側は、提出された書類の内容を雇用主や銀行などの第三者に照会した後に分析する。さらに、不動産鑑定業者による物件の査定を待たねばならず、長い時間が必要となる。「住宅ローンの自動審査」は申請者や貸し手のコストや時間、手間を省いてくれる。

自動審査の利点

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消費者が住宅ローン融資会社に初めてコンタクトをとる手段:「オンライン」「電話」「対面」「メール」「融資会社からのアプローチ」。若い世代ほど「オンライン」の比率が高い。

Business Insider Intelligence

インサイダー・インテリジェンスの「オンライン型住宅ローン・レポート」によると、新興の住宅ローン融資会社は審査プロセスの自動化により、「時間短縮」と「低金利」を実現させている。

住宅ローン審査のプロセスを自動化することで、金融機関は以下が可能となる。

  • 融資担当者が検証しやすいようデータを効率的に抽出。ソフトウェアが提出書類を精査し、問題点にフラグを立ててくれる
  • 借り手の情報を雇用データベースと比較
  • 鑑定業者による正式な査定を経ずに物件を評価
  • 不正の抑制

このように多くの利点があるため、大手銀行は住宅ローン関連のテクノロジーを導入することで、勢力を拡大しているインシュアテックやノンバンクに対抗しようとしている。しかし競合する新興勢に比べ、自動化へのハードルは高いかもしれない。

新興の融資会社が台頭するきっかけとなった2008年の金融危機。その影響は未だに続いており、銀行によっては申し込みのデジタル化は可能でも、審査の自動化は難しいかもしれない。

デジタル・ソリューションを確立している大手銀行もある。バンク・オブ・アメリカ、JPモルガン、ウェルズ・ファーゴなどだ。だがこれらの銀行が自動化ソフトウェアを導入する過程ではフィンテックとの提携などが必要だった。

連邦住宅局(FHA)による自動審査

米国住宅都市開発省(HUD)監督下の連邦住宅局(FHA)は、マイホームを買いたい人が住宅ローンを組みやすくするための保険を提供している。FHAの保証により住宅ローンの審査に通りやすくなったり、頭金の額を抑えられる場合もある。

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FHAによる保険が適用されるには、申請者はHUDと融資元企業の両方が定めた基準を満たす必要がある。FHAは自動化された審査プロセスを導入しており、申請者の金融履歴を迅速に評価し、FHAの保証を受けてローンを組む資格があるかどうかを判断する。

自動審査のためHUDが開発したアルゴリズムはFHA TOTAL住宅ローン・スコアカード(FHA Technology Open To Approved Lenders Mortgage Scorecard)と呼ばれる。自動化された審査システムを通じてアクセスされるこのアルゴリズムは、申請者がどの融資会社から借りる場合も同じスコアリングプロセスで評価されることを保証する。またFHAのリスク評価とリスク管理能力を強化する。

FHA TOTAL住宅ローン・スコアカードは融資会社にとって魅力的なシステムだ。申請者がFHAの住宅ローン保険に適格であるかどうかを簡単に判断でき、融資のリスクを下げることができるためだ。

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[原文:What automated mortgage underwriting is, how it works, and why lenders use it

(翻訳・野澤朋代)

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