「本当に楽しい時間だった」議事堂に突入した男性ら、当時の雰囲気を語る

暴徒

催涙ガスも使用された。

Alan Chin for Insider

  • アメリカでは1月6日(現地時間)、トランプ大統領の支持者らが議事堂に突入した。
  • 突入した人々のうちの2人は当時の様子をお祭りのようで「とてもおもしろかった」と説明した。暴徒化した人々は議事堂の中で自撮りをしたり、南部連合国旗を振ったり、書類の山を床にぶちまけたりした。
  • ワシントンD.C.にはトランプ大統領を支持する人々が大勢集まっていた。
  • デモは暴徒化し、連邦議会議員は避難せざるを得なくなった。選挙人投票の結果の認定も遅れた。

トーマス・アダムス(39)は、議事堂に最初に突入した1人だ。

多くのトランプ大統領の支持者らとともにアダムスは警察のバリケードを踏み倒し、議事堂のホールへと侵入。上院の議場まで入り込んだ。その時、議員らはすでに避難していた

「本当に楽しい時間だったよ」とトランプ大統領の旗をケープのように首に巻き付けたアダムスは報道陣に自らの突拍子もない行為を捉えた携帯電話の画像を見せながら語った。

バイデン氏の勝利を最終確定させるために下院、上院の議員らが集まる中、暴徒化した人々が議事堂に侵入する様子はテレビで生中継された。議員やその関係者らは議事堂内で避難し、ワシントンD.C.のミュリエル・バウザー市長はその後、午後6時以降の外出禁止令を出した。複数の民主党議員がこの出来事をクーデター未遂だとし、トランプ大統領の弾劾を呼びかけた。

FBIは1月6日に発生した「非合法の暴力的行為」について情報を求めていると述べた

アダムスの語った話は、その動画とソーシャルメディアに投稿された話によって裏付けられていて、当時の議事堂内の雰囲気が伝わってくる。

暴徒

議事堂に突入しようとする人々。

Alan Chin for Insider

アダムスとその友人であるロイ・フランクリン(65)は、トランプ大統領を支持する集会に参加するためにイリノイ州スプリングフィールドからやって来たと語った。大統領選での勝利を盗まれたとするトランプ大統領の根拠のない主張に刺激されたという。トランプ大統領はバイデン氏の勝利を受け入れず、自らの支持者らに対し、大統領選の結果が確定するのを阻止するよう呼びかけていた。

午後2時頃、議事堂の階段の一番下でアダムスとフランクリンは警察のバリケードのすぐそばにいた。彼らの後ろにいた何百人もの暴徒がものすごい勢いで後ろから押してきたため、フランクリンはつまずき、警察官の上に倒れ込んだ。警察官はほとんど反応しなかったと、フランクリンは話している。

建物の脇をよじ登っている人々を2人が見たのはこの時だった。アダムスとフランクリンも彼らに続いた。

足場を登り切って、中に入るために向きを変えると、ナショナル・モールに詰めかけたトランプ大統領の支持者らと、赤、白、青の海が見えたとアダムスは回想した。暴徒は目の前の建物の窓を破壊し、中へとよじ登った。そうして中に入った暴徒らは建物の内側からドアを開け、アダムスやフランクリンといった他の人々を中に入れた。

建物内の廊下には、侵入者たちが何をするつもりか見るために警察官たちが控えていた。

衝突

警察と衝突するトランプ大統領の支持者ら。

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「彼らは特に何もしていなかった。何人かは警棒を持っていた。俺たちが彼らを押しのけて行くつもりかどうか見ているだけだった」とアダムスは語った。動画は彼の話を裏付けている。

1人の男性が明るい黄色の「俺を踏みにじるな(Don't Tread on Me)」と書かれた旗を振り、別の男性は南部連合国旗を振った。誰かが「盗みを止めさせろ(Stop the steal)」とわめき、「USA、USA、USA!」「誰の家だ? 我々の家だ!」といったシュプレヒコールもあがった。

廊下のスクリーンには、上院が中断しているとあった。アダムスとフランクリンは群衆の後をついて行き、議場へ入ったと言う。中に入ると、動物の頭飾りをつけ、顔を赤、白、青に塗った上半身裸の男が議長の椅子に立ち、拡声器を振りかざし、力こぶを見せつけていた。

「政府は腐っている。でたらめだ」とアダムスが議場で声を上げると、周りから喝采が湧き上がったという。そして、政府の正統性について投票を呼びかけた男性は、周りの人々からの支持に喜びの涙を流したが、警察が議場に入ってきて、今すぐ止めるよう告げたとアダムスは回想した。

アダムスは当時の様子を「とてもおもしろかった」と説明した。ホールをあちこち歩き回りながら自撮りをしたり、家族に電話をかける人々の様子をアダムスは携帯電話で撮影し続けた。引き出しをこじ開けたり、大量の書類をデスクから取り出し、それをテーブルや床にぶちまける人々もいた。

議事堂の別のエリアでは、侵入者らがペロシ下院議長のオフィスを荒らし、破壊した。下院の議場では、武装した暴徒と警察がにらみ合いになるような場面もあった。

暴徒

議事堂で旗を広げる人々。

Alan Chin for Insider

午後5時45分までに、守衛官は議事堂の安全が確認されたと発表した。女性が1人、議会警察に撃たれて死亡した。首都警察のロバート・コンティ署長によると、ワシントンD.C.では6日、"医療緊急事態"の結果、他にも3人が死亡したという。

議事堂への侵入に関与したと話す人々の中には、午後6時からの外出禁止令を無視して、ダウンタウンのホテルの外に集まり、ビールを飲み、この日の出来事を振り返っていた人々もいる。暴れ回って疲れた人もいたが、多くの人々は活気づいたようだ。

フランクリンは、この日の出来事を「楽しかった」と結論付けた。

「でも、俺たちが議事堂を丸焼きにしたとしても、連邦議会は俺たちの言うことを聞かないだろう」

アダムスはよく分からないという。

「物を壊したり、みんなが12歳の子どものように振舞い始めるまで、平和的に進んでいた時までは全て良かったと思う」

日が暮れると、さらに物騒な声も聞かれた。

「次はこんなに平和的にはいかないぞ!」とある男性は大声をあげた。

トランプ大統領のTシャツを売り歩く別の男性は「今夜、BLM狩りに行きたいやつは他にいるか?」と拡声器で叫んだ。

(敬称略)

[原文:Men involved in violently storming the US Capitol describe a carnival atmosphere inside

(翻訳、編集:山口佳美)

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