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- 極右に人気のSNS「Gab」は同様のサイトであるParlerがオフラインになり、その他のプラットフォームが暴力を扇動する投稿を厳しく取り締まっていることによって、ここ数日で利用者が急増しているという。
- 同社は最近のツイートで、1時間毎に1万人以上の新規ユーザーが参加していると述べた。
- Gabはこれまでに25社以上のサービス・プロバイダーから締め出され、グーグルとアップルのアプリストアではヘイト・スピーチ・ポリシーに違反したとしてアプリを削除されている。
Gab.comは、議会議事堂での暴動、ツイッター(Twitter)からのドナルド・トランプ大統領ら注目度の高い保守派のアカウント削除、同様のSNSである「Parler」のオフライン化などによって、ここ数日の間にユーザー数が大きく増えたという。
「言論の自由のための乗り物」を標榜する、極右に人気のSNS「Gab」は、アンドリュー・トーバ(Andrew Torba)によって2016年8月に設立された。
Gabのレイアウトはツイッターに似ている。中央のカラムにユーザーの投稿、右側に集約されたニュース、左側にメニューが表示されている。
トランプ支持者に人気のあるソーシャルメディア「Parler」は、アマゾンが同社のホスティングサービスAWSから締め出したことで、1月10日の夜(現地時間)にオフラインになった。
Gabはツイッターで、Parlerがどこかに移転してサービスを再開するまで、ParlerのCEOのジョン・マッツェ(John Matze)を含むParlerのユーザーに対して、Gabを利用するように呼びかけた。
Gabのユーザー数は、約5年前のオープン以来、大きな成長を遂げている。
2018年10月、VoxはGabのユーザーが46万5000人から80万人の間であると報じた。その後、Foxビジネスが、2020年4月までに同サイトには110万以上の新規アカウントが登録され、世界中で月間370万の訪問者があったと報じている。
そして、これらの数字はトランプ支持派の暴徒が国会議事堂を襲撃した後に急上昇した。
NPRによると、暴動が起きた1月6日にサイトトラフィックが40%増加したとトルバCEOは述べた。さらに8日のツイートで、同サイトが時間当たり1万人以上のユーザーを獲得しており、午前11時ごろには「過去12時間に1200万回の訪問」があったと述べた。
「Gabは過去2日間で、過去2年間よりも多くのユーザーを獲得した」と同社は10日深夜にツイートし、「Gabは非常に短期間に、従来のメディア全体を合わせたよりも大きくなるだろう」と付け加えた。
(訳注:1月12日11時現在、同社のアカウントはこれまでのツイートが削除されている)
急増する需要に応えて、Gabは10台のサーバーを追加し、データベースを拡張したという。
これまでにGabは25社以上のサービス・プロバイダーに利用を禁止されており、2017年にはヘイトスピーチ・ポリシーに対する違反でGoogle Playストアからアプリが削除され、同様の理由でアップル(Apple)のApp Storeからも削除されている。
また、2018年には、ピッツバーグのシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)で11人の信徒を殺害した銃撃犯が同サイトに頻繁に投稿していたことが明らかになり、ホスティングサービスのGo Daddyから締め出された。
CEOのトーバは個人としても、オンライン銀行、暗号通貨取引所、ツイッターへのアクセスを禁止されており、彼の家族はVisaによってブラックリストに登録されている。
トーバは自身を、かつてシリコンバレーで働いていたペンシルベニア州出身の「キリスト教起業家で、アメリカのポピュリスト」だと述べている。彼は「合衆国憲法修正第1条で保障された政治的言論の検閲を拒否したことで、ビッグテック、主流メディア、学者、アメリカ議会議員、外国政府、政治団体から執拗に中傷されている」と主張している。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)