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オオカミがイヌになったのは、人間から余った肉をもらったから…氷河期が親密なパートナーシップを生み出した

ヤギと羊の群れを守るグレート・ピレニーズ。ドイツのブランデンブルクで2019年に撮影。

ヤギと羊の群れを守るグレート・ピレニーズ。ドイツのブランデンブルクで2019年に撮影。

Soeren Stache/picture alliance via Getty

  • 最終氷期の人間は、必要な脂肪分を得るために、食べきれないほど多くの獲物を捕らえていた。
  • 余った肉を捨てるのではなく、オオカミに食べさせたことで、オオカミは次第に家畜化されてイヌに進化したと新たな研究が示唆している。

愛犬がテーブルの下から食事の残りものを催促するのに抗うのは難しい。最新の研究によると、残飯を空腹のイヌに与えるという行為が、最終氷期(7万年前に始まって1万年前に終わった一番最近の氷期)にオオカミがイヌへと家畜化されるきっかけになった可能性があるという。

1月7日にオンライン学術誌の「Scientific Reports(サイエンティフィック・リポーツ)」で発表された論文によると、人類とイヌとの親密な関係が始まったのは、地球がほとんど氷で覆われていた1万4000年前から2万9000年前、ユーラシア大陸北部でのことだったと考えられるという。

氷期の、中でも過酷な冬の間は植物が乏しく、獲物は痩せていて、その肉は脂肪の少ない赤身だった。狩猟採集をしていた我々の祖先は、生き延びるために必要なカロリーの45%を赤身肉に頼らなくてはいけないこともあった。しかし過剰な赤身肉の摂取は、タンパク質中毒を引き起こすこともある(人間の肝臓は、タンパク質を代謝するのに適していない)。植物性の炭水化物がない場合、わたしたちの祖先は栄養を補うために動物性の脂肪を摂取していた。

しかし、十分な脂肪を得るためには、シカやヘラジカといった動物を、食べきれる量よりも多く狩る必要があった。その結果、氷期のハンターは余った肉をオオカミに食べさせていたと、論文の筆頭著者であり、フィンランド食品庁に勤務する考古学者でもあるマリア・ラヒティネン(Maria Lahtinen)は考えている。

「寒冷地では、オオカミと人間は争うことなくパートナーシップを築くことができる。それによって家畜化が容易に促進されたのだろう」とラヒティネンはBusiness Insiderに語った。

彼女らの研究は、残り物を食べたオオカミの子孫が、やがて家畜化されたイヌになったことを示唆している。

オスのハイイロオオカミ (Canis lupus)

オスのハイイロオオカミ (Canis lupus)

Dennis Fast /VWPics/Universal Images Group via Getty Images

イヌの家畜化にはさまざまな利点がある。彼らはソリを引き、家畜を守り、人間を他の動物から守ってくれる。しかし、これらの利点は、イヌの祖先であるオオカミが家畜化され、長い年月が経つまで分からなかったことだ。そのため、科学者たちはオオカミが家畜化されたもともとの理由は何なのか、長い間、疑問に思っていた。

とりわけ、何万年も前にユーラシア大陸を支配していた古代の人類と北方のオオカミが、カリブーやウサギ、シカなどの同じ獲物を食べていたことを考えると特に不可解だった。氷期の食料源は限られていたため、人間とオオカミが積極的に協力し合うことはなかっただろうと、多くの研究者は考えていた。

「人間は他の競争相手を排除しようとする傾向がある」とラヒティネンは述べ、「なぜ人間が競争相手であるオオカミと手を組んだのかは、これまで説明がつかなかった」と付け加えた。

今回の論文が発表される前には、腐肉をあさるオオカミが、人間の食べ残しに引きつけられたことから、人間と共存するように適応したという仮説があった。しかし、この仮説の問題点は、氷期の人間が1カ所に長く定住せず、オオカミに必要な栄養素の含まれた食べ残しを継続的には残さなかったであろうことだとラヒティネンらは論文で指摘している。

つまり、我々の祖先は、必要な脂肪分を得るために食べきれないほど多くの獲物を捕らえ、余った肉をオオカミに分け与えていたというラヒティネンらの仮説の方が、妥当であると思われる。オオカミを競争相手として殺すのではなく、仲間として空腹を満たしてややることを人間は選んだということだ。

そうして捕食者だったオオカミは、長い年月をかけて人間に近づき、やがてはイヌに進化していった。この過程は2万年前から1万4000年前の間のいずれかの時期に起きたと、ラヒティネンらは考えている。

[原文:Our ancestors domesticated dogs by sharing leftover meat during the last Ice Age, new study suggests

(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)

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