韓国の首都ソウルのベッドダウンとして知られるコヤン(高陽)の現代自動車(ヒュンダイ)スタジオにて。韓国の国内自動車販売シェアに、同社が占める割合は非常に大きい。
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韓国の2020年の輸入車販売台数が確定した。
韓国輸入自動車協会(KAIDA)の発表によると、ホンダ、インフィニティ(日産の高級車ブランド)、レクサス、日産、トヨタの日本勢5ブランドの合計販売台数は2万564台。2019年は3万6661台で、前年比マイナス44%という大幅減を記録した。
一方、欧米メーカーを含む全輸入車ブランドの販売台数は27万4859台で、コロナ禍にもかかわらず、前年(24万4780台)比プラス12.3%の増加となった。
日本ブランドのシェアは7.5%となり、10年前の2010年に(当時はスバル、三菱も進出ブランドに含む)2万3870台で、約26%のシェアを記録したのと比べると、韓国での「落日感」は否めない。
日産は2020年5月に同年いっぱいで韓国市場から撤退することを発表している。2020年後半は割引セールによる在庫処分を行い、12月の販売台数はゼロだった。
日本デザインは響かない?でも中国では日本勢躍進
中国・上海の輸入車見本市に展示されたトヨタ自動車の燃料電池自動車(FCV)「MIRAI(ミライ)」。中国では日本車の「イノベーションが鈍化」といった印象はなさそうだ。
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2019年に始まり、現在まで続く日本製品不買運動が、日本車の販売不振に何らかの形で影響しているのは間違いないところだ。ただし、それ以外の要因について、韓国の経済メディア「ビジネスコリア」が専門家の見方として指摘している以下のような論点も見逃せない。
「韓国車のデザインや品質の向上は著しい。日本車のデザインは、韓国の一般消費者には響かなくなってきている。さらに言えば、日本の自動車メーカーは近年、イノベーションのペースが鈍化してきている」
こうした見方が自動車分野の専門知識に基づいたものなのか、不買運動に代表される「アンチ日本製品」的な感情論に基づくものなのか、真意は不明だ。
2020年に韓国で最も売れた輸入車ブランドは独メルセデス・ベンツで7万6879台(輸入車販売台数におけるシェアは約28%)。独BMWの5万8393台(同21%)、独アウディの2万5513台(同9%)がそれに続いた。とくにBMWは前年比プラス32%の大幅増となった。結果として、上位はドイツ勢で占められた。
聯合ニュースによれば、2020年の韓国大手自動車メーカー5社の国内販売台数は前年比4.8%増え、2002年以来18年ぶりに160万台を上回った。うち、現代自動車(ヒュンダイ)と起亜自動車(KIA)が134万台超を売り、シェアにして80%以上を占めている。
なお、隣りの中国では2020年、新型コロナの影響をはねのけ、トヨタが前年比10.9%増の179万7500台、ホンダが同4.7%増の162万6972台と絶好調。韓国からの撤退を決めた日産も、同5.8%減の145万6738台と規模感を維持している。
(文・訳責:川村力)