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国内「大豆肉」ハンバーガー勢力図。モスにバーキン、ロッテリアにフレッシュネス、なぜ植物肉を使うのか?

コメダ

コメダイズのべっぴんバーガーアボ照り(1280円、税込み)。大豆肉を使っているとはいえ、見た目は普通のバーガーだ。かなりボリュームもあった。

撮影:三ツ村崇志

これまで、アメリカを中心に広がってきた「植物性代替肉」、いわゆる植物肉(大豆肉)。

2019〜2020年にかけて、日本でもロッテリアやフレッシュネスバーガー、バーガーキングなどのファストフードチェーンを中心に、植物肉・大豆肉の外食産業への進出が目立った。

なぜ植物肉・大豆肉の展開を進めるのか。国内のハンバーガーチェーンを主な対象に、その理由をたずねた。

2015年から「ソイパティ」展開のモスバーガー

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モスバーガーのソイモスバーガー(343円、税別)。

撮影:三ツ村崇志

国内のファストフードチェーンでいち早く植物肉を手がけたのが、モスバーガーを展開するモスフードサービスだ。

モスバーガーでは2015年から大豆(英語ではsoy=ソイ)を主原料とした「ソイパティ」(動物性の食材を一部つなぎとして使用)を、通常のハンバーガーパティ(牛肉)の代わりに選べるようにしていた。

2020年3月には、動物由来の食材と匂いの強い野菜を使わない「グリーンバーガー」を一部店舗で先行発売し、2020年5月からは全国展開している。

モスバーガーが「グリーンバーガー」に採用するソイパティのメーカーは非公開。

モスフードサービスの広報担当者は、

「『グリーンバーガー』は動物性食材を使用しないだけでなく、おいしさにとことんこだわって開発しています」

と自信を語る。

「パティだけでなく、全体として動物性食材を使用しないバーガーの商品化に対する喜びの声を多くいただくなど、大きな反響があった。今後もさまざまな食のニーズへの選択肢を用意し、健康志向の方や食事に制限のある方も一緒に食事を楽しんでいただけるよう、継続的な取り組みを行っていきたい」(モスフードサービス広報)

「おいしさ」と「健康」「環境意識の高まり」が展開理由

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フレッシュネスバーガーのザ・グッドバーガー(左:アボガド550円、右:てりやき480円、いずれも税込み)。

撮影:三ツ村崇志

国内のハンバーガーチェーンでは、2020年7月ロッテリアがオリジナルのソイパティを使用した「ソイ野菜ハンバーガー」と「ソイ野菜チーズバーガー」をレギュラーメニューとして全国展開(2019年9月から期間・店舗限定で販売)。

また、フレッシュネスバーガー2020年10月から低糖質バンズとソイパティを組み合わせた「ザ・グッドバーガー」の本格販売をスタートしている。

ロッテリアが「ソイ野菜ハンバーガー」シリーズに採用するのは、不二製油グループとロッテリアが共同開発したソイパティ。

一方、フレッシュネスバーガーは、植物肉スタートアップのDAIZが開発した「ミラクルミート」を使用している。

ロッテリア広報は、大豆肉を取り入れた理由について、

「『おいしさ』と『健康』の両立、世界的な牛肉の消費量増加に伴う地球温暖化や森林伐採などの環境汚染が問題視される中で、欧米で代替肉の使用が広まっていることを視野に、日本人になじみ深い『大豆』に着目しました」(ロッテリア広報)

と話す。

不二製油グループは、大豆一筋で約60年の知見とノウハウがある、いわば大豆のプロ。ロッテリアがイチから自社で開発を行うよりも、不二製油グループと共同開発することで、昨今のニーズに対応できると判断したという。

「女性を中心とした『ゆるベジ』と呼ばれるフレキシブルな消費者のほか、30~50代男性の利用も見受けられます。また、その先にある環境意識の高まりへの対応からも、評価をいただいている状況です」(ロッテリア広報)

一方、フレッシュネスバーガー広報は、DAIZのミラクルミートを採用した理由について、

「アメリカ、イスラエル、フランス、日本など、さまざまな国の企業が製造する代替肉を10種類ほど試食した中で、最もおいしかったこと」

と自信を語る。

「ほどよい食感とほのかな大豆の香りが、まだ代替肉になじみの少ない日本人には間違いなく受け入れられやすいと感じました。

フレッシュネスバーガーを利用しているお客様は比較的、流行感度の高い方が多く、発売前よりSNSなどで代替肉を使った商品を販売してほしいとの声をいただいていました。販売数は当初見込みに比べて約1.5倍となっており、女性のお客様から多くの支持をいただいている」(フレッシュネスバーガー広報)

日米で異なる大豆肉を使用するバーガーキング

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撮影:三ツ村崇志

アメリカのバーガーチェーン「バーガーキング」は、アメリカ国内で2019年8月から植物肉を使ったハンバーガー「Impossible Whopper(インポシブルワッパー)」を展開している。パティとして採用しているのは、植物肉ベンチャーImpossible Foodsの「Impossible Burger」だ。

同社は日本でも2020年12月に大豆由来の100%植物性パティを使った「Plant-Based Whopper(プラントベースワッパー)」を期間限定で発売(2021年2月末までの予定)したばかり。

ただし、日本のプラントベースワッパーに使われているのは、オーストラリアを拠点とする植物肉メーカー「v2food」のパティだ。

「バーガーキング」と契約し、日本展開を行っているビーケージャパンHDの広報は、あえてアメリカと異なるメーカーのパティを選んだ理由について

「バーガーキング独自の直火焼き製法やレタス・トマト・オニオンとの相性などを追求し、約2年の試行錯誤を重ねてバーガーキングファンのお客さまにも満足してもらえるおいしさが実現したため」

と説明する。

また、大豆肉を利用した製品を開発した背景を次のように話す。

「ビーフのみだと、今後の需要・供給のバランスが崩れる可能性や、環境への負荷といったリスクがある。社会の課題への取り組みの一環として、大豆由来の100%植物性パティの販売を決定しました。お客様に予想以上の高評価をいただいています」

コーヒーチェーンに無印良品、イケアも植物肉

コメダイズ

コメダイズのべっぴんバーガーアボ照り(1280円、税込み)。

撮影:三ツ村崇志

ここまで、ハンバーガーチェーンを中心に紹介してきたが、大豆肉、植物肉の広がりはそれだけにとどまらない。

コーヒーチェーンの「ドトールコーヒー」は、2020年9月に大豆肉を用いたサンドイッチ「全粒粉サンド 大豆ミート〜和風トマトのソース〜」を発売。

コメダ珈琲店を全国展開するコメダは2020年7月に、大豆パテを使った「べっぴんバーガー」など100%植物由来にこだわった新業態ブランド「KOMEDA is □(コメダイズ)」の第1号店を東京・銀座にオープンした。

ドトールコーヒー、コメダともに原料となる大豆肉の提供元となる原料メーカーは公開していない。

なお、ドトールコーヒーの広報担当者は、

「当社がリクエストした味の再現もさることながら、全国1100店舗への安定供給に向けた量の確保もポイントとなりました。リニューアルやメニューの改廃も含め、今後検討していきます」(ドトール広報)

と取材に応じた。

また、衣服や生活雑貨、食品などを取り扱う無印良品や、スウェーデン生まれの家具チェーン・IKEAなどでも大豆肉・植物肉を利用した商品が販売されている。どちらも、原料メーカーは未公開だ。

無印良品などを展開する良品計画の広報担当者は、

「普段の食卓で慣れ親しんでいる大豆が環境問題を考えるきっかけになることはもちろん、健康志向やエシカル消費の高まりなども踏まえ、より自分に合った豊かな食生活を送るための選択肢の一つになればと考えて開発しました」(良品計画広報)

とライフスタイルの選択肢の一貫として、植物肉の提供に取り組んでいると話す。

イケア・ジャパンでは、黄エンドウ豆からタンパク質を抽出し、タマネギとジャガイモ、オーツ麦、ドライアップル、菜種油を混ぜ合わせて作った植物肉「プラントボール」を販売。

2020年11月には、IKEA渋谷店限定でベジタブルパティを使用した「ベジドッグ」専門ビストロもオープンした。

植物肉「焼き肉」に植物肉「牛丼」。バーガー以外への広がりも

焼き肉ライク

焼き肉ライクの通常のカルビ(左)とNEXTカルビ(右:50g、290円、税別)。

撮影:三ツ村崇志

植物肉・大豆肉の課題の一つが「食感」だ。

筋肉の繊維が生み出すいわゆる肉の特徴的な食感を作るのは難しい。大豆肉、植物肉がハンバーガーをはじめ、ひき肉として使用されるシーンで普及が進んでいるのは、ミンチにしてしまえば食感の問題がさほど気にならなくなるためだ。

一方で、さらにチャレンジングな取り組みをしている企業もある。

焼き肉チェーンの「焼肉ライク」だ。

焼き肉ライクでは、植物肉スタートアップのネクストミーツと共同開発した焼肉用植物肉「NEXTカルビ」と「NEXTハラミ」を販売している。

ネクストミーツのファウンダー、白井良氏は

「ネクスト焼肉は素材選びから工夫しており、無添加の素材をどう組み合わせて味や食感を生み出せるか、何百種類も実験して作り上げている。味だけでなく、食べたときの食感についてはかなりの自信を持っている」

と自信を語る。

また、ネクストミーツでは植物肉ハンバーガーパティ「ネクストバーガー」、植物肉牛丼「ネクスト牛丼」なども開発している。

同社広報によると、ネクストバーガーは2021年4月頃に日本での展開を開始する米大手ハンバーガーチェーン(社名非公開)で提供される予定だ。

また、国内では、植物性食品専門商社の経営やベジタリアン対応食品の製造開発、卸売販売なども手がけるグリーンカルチャーも、植物肉業界のプレーヤーとして知られている。

ただし、現在国内での試験販売を開始した段階のため、「導入先の具体名については回答できない」(グリーンカルチャー広報)としている。

また、今回は外食産業を中心に調査したため名前が挙がらなかったが、伊藤ハムマルコメ大塚食品などの大手食品メーカーも、レトルト・惣菜用の大豆肉をすでに開発・販売している。

日本はアメリカと比べて肉の消費量が少なく、欧州のような環境先進国でもないことから、ベジタリアンやヴィーガン、フレキシタリアン(セミ・ベジタリアン)などが少ないと言われる。

しかし、世界的にSDGsへの関心が高まっていることを追い風に、日本でも大豆肉はもちろん、大豆以外の豆類を利用した植物肉も普及しつつある。

欧米ほど市民権を得るにはまだしばらく時間がかかるかもしれないが、それでも着実に、食材としてのニーズは高まっていくだろう。

(文・安蔵靖人 写真・三ツ村崇志

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