ミリオネアの多くは、「働いてもいっこうにお金が貯まらない状況」から抜け出した際に、同じ道をたどっている。
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- 600人を超えるミリオネア(百万ドル=約1億円以上の資産を持つ人)を対象とした調査によって、彼らの大半は、経済的自立を達成した、もしくは、もはや働かなくても暮らしていけるようになったプロセスにおいて、同じ道をたどっていたことが明らかになった。
- ミリオネアたちは3つの特徴を共有している。支出を抑えること。副業を見つけること。そして、自営業になることだ。
- 彼らが富を築き、他の人に比べてより早く経済的自立を達成できたのは、突き詰めればその3つの特徴のおかげだ。
経済的自立を達成できるだけの財産を築くためには、相当のレジリエンス(回復力)や忍耐力が求められる。だが、回し車を走るネズミのように、どれだけ働いてもいっこうにお金が貯まらない状況から抜け出すためには、回復力や忍耐力以上のものが必要だ。
『その後のとなりの億万長者 ── 全米調査からわかった、日本人にもできるミリオネアへの道』(The Next Millionaire Next Door: Enduring Strategies for Building Wealth)の著者で、アフルエント・マーケット・インスティチュート(Affluent Market Institute)の研究ディレクターでもあるサラ・スタンリー・ファラー(Sarah Stanley Fallaw)は、600人を超えるアメリカのミリオネアを対象に調査をおこなった。その結果、目指すものが「働かなくてもいい生活」であれ、「他人に雇われなくなる」であれ、9時から5時までの勤め人の生活を振り払って経済的自立に到達した人たちは、みな同じ道をたどっていたことがわかったという。
スタンリー・ファラーは、著書にこう書いている。
「ミリオネアたちは皆、生きるための労働から抜け出すにあたって、共通する3つのテーマを持っていた。1つ目は、ライフスタイルにゆとりをつくって、キャリアに関わる行動、とりわけ重要な行動を起こせるようにすること(たとえば、貯金を取り崩して生活しながら事業を興す、など)。2つ目は、今の仕事で稼ぎながら副業などでキャリアのチャンスを追求すること。そして3つ目は、自営業へ移行することだ」
では、一つ一つのテーマを詳しく見ていこう。
1. 支出を財力よりも低く抑える
スタンリー・ファラーが調査したミリオネアの多くは、支出を自分の財力よりも低く抑えることで得られる自由を強調していた。
「この自由は、(a)仕事以外の努力をする時間と柔軟性、及び/もしくは(b)収入増加の可能性を得られるチャンスにつながる」とスタンリー・ファラーは書いている。
「財力以上の支出をしたり、退職後のための貯蓄をしなかったり、自分は裕福になれると思ってお金を使ったりすると、たとえ高額の収入がある場合でも、給料の奴隷になってしまう」
37歳でリタイアした叩き上げのミリオネア、クリス・ライニング(Chris Reining)は以前、Business Insiderの取材に対し、豊かになって経済的に自立することは、給料や手持ちの金額とは関係なく、どれくらい支出するか、自分の財力で賄える範囲で生活するかという問題だと語っている。
「豊かになること、豊かさを維持することは、何よりもまず、自分の財力で賄える支出で生活するゲームだ」とライニングは話している。
「それができれば、贅沢な生活を送っている人たちには決して体験できない自由を謳歌できるだろう」
2. 副業を見つける
好んでサイドビジネスや副業に携わるミリオネアは多い。フルタイムの職を維持しながら別の選択肢を探るには良い方法だと、スタンリー・ファラーは述べている。とはいえ、副業を成功させるためには「時間とお金という両方のリソースを増やし、それらを維持する必要がある」という。
「複数の収入源をつくりだせる人や、趣味を収入の生じる活動に変えられる人は、近い将来、『となりのミリオネア』になることができるだろう」とスタンリー・ファラーは付け加えている。
副業に対する熱意や技術、断固たる意志、忍耐力を持っているのなら、その副業をフルタイムのキャリアに変えることも可能だと、ハイ・パフォーマンス・コーチでコンサルタント、著述家のスージー・ムーア(Susie Moore)はBusiness Insiderの過去記事で述べている。
早期リタイアを計画しているというある投資家は、経済的自立に到達するための最も抵抗の少ない道は副業で稼ぐことだと気がついたという。
副業にはまちがいなく、経済的自立の達成を早める効果がある。Business Insiderは先ごろ、副業を持つ何人かに話を聞いた。それによれば彼らは、年に1000ドルから3万ドルを本職以外で稼いでいるという。その余分なお金を投資すれば、複利の威力が富へと導いてくれるというわけだ。
3. 自営業になる
経済的に自立している人たちは、自営という仕事の形をとることによって、富をさらに膨らませることができる。
「となりのミリオネア」を目指して自営で働く人たちは、自分のリソースを価値のある何かに変えるためのリスクをとる可能性が高いと、スタンリー・ファラーは指摘している。彼女が取材したミリオネアの42%は自営業だったという。
「そうしたキャリア上のリスク、とりわけ、自身の事業の立ち上げに関連するリスクの見返りとして、収入を生み出す能力を得られる可能性がある。その収入が、自分以外の人に雇われて働いて得られる収入よりも多くなるケースは珍しくない」とスタンリー・ファラーは書いている。
スタンリー・ファラーによる最近の調査では、自営業であるミリオネアの収入中央値は、雇われて働いている人の1.5倍を超えることがわかった。また、予想純資産を引いた実際の純資産額は、平均すると、雇われて働いている人の2倍になるとスタンリー・ファラーは書いている。
忍耐力や回復力のような、経済的自立へ至る旅路を生き抜くために必要な強みを持っているかぎり、自らのビジネスへの投資は経済的成功を保証するものになる、とスタンリー・ファラーは述べている。
(翻訳:梅田智世/ガリレオ、編集:Toshihiko Inoue)