コロナ禍で、20代の結婚への意識も変化している。
撮影:今村拓馬
20代の5人に1人が「年収がどんなに多くても結婚しようと思わない」と考えている —— 。
結婚や子育てに消極的な20代が増えていることが、SMBCコンシューマーファイナンスが20代の男女1000人に行ったインターネットによるアンケートで明らかになった。
調査の担当者は「直接の原因は分からないものの、新型コロナウイルスによる収入不安が結婚への意識に影響している可能性がある」と話している。
「結婚したいと思えない」20代が急増
「年収が少なくても結婚したいと思える」とした人は減少した。
提供:SMBCコンシューマーファイナンス
アンケートは20代の金銭感覚を調べるために行われたもので、2014年以降、毎年実施している。
「結婚しようと思っている年収(世帯年収)は?」という質問では、「年収がどんなに多くても結婚したいと思えない」が最多で21.8%。前年の13.9%よりも約8ポイントと大幅に増加した。
2位は「年収がどんなに少なくても結婚したいと思える」で14.9%。ただ、前年よりの18.5%よりも3.6ポイント減少した。結婚に消極的な姿勢が明確になった。
年収別では、「年収400万円あれば、結婚しようと思える」が10.5%、「年収500万円あれば」が14%、「年収600万円あれば」が9.6%。この帯域により多くの回答が集まった。
アンケートを実施したSMBCコンシューマファイナンスは、「前回調査では、半数以上が『結婚しようと思える年収』は『500万円まであれば』(56%)だったのに対し、今回調査では『600万円まであれば』(57.5%)となっており、コロナ禍前よりも結婚へのハードルが上昇した」と分析している。
4人に1人「出産・子育てしようと思えない」
子育てを考える年収も、金額が上昇した。
提供:SMBCコンシューマーファイナンス
20代は、出産や子育てに関しても消極的になっていることが分かる。
「出産・子育て(1人)しようと思える年収(世帯年収)は?」との質問に対しては、「年収がどんなに多くても、したいと思えない」という回答が最も多く、前回より約10ポイント増の24.2%、約4人に1人にのぼった。
年収別でみると、「年収500万円あれば、出産・子育てしようと思える」と答えた人が12.9%で最も多く、「年収1000万円以上あれば」が12.5%で続いた。
20代の過半数が「出産・子育てしようと思える」年収は、前回調査では「600万円まであれば」だったが、今回は「700万円まであれば」と金額が上がっており、より高い収入が必要と感じる人が増えたことがわかる。
約2割が「コロナ前より年収減った」
コロナ禍で収入が減った20代は少なくない。
撮影:今村拓馬
こうした意識の変化の背後には、収入面への危機感がありそうだ。
「コロナ禍前と比べて収入が増えたか?減ったか?」という質問では、「やや減った」「非常に減った」の合計が29.5%で、「増えた」の合計の17.3%を大きく引き離した。
20代では、特に既婚者の貯蓄額が増えている。
提供:SMBCコンシューマーファイナンス
ただし、収入が減った人が増える一方で、貯蓄額が増えていることにも注目だ。
貯蓄額の平均は72万円で、前回調査の53万円より約20万円も増加。属性別でみると、既婚者は前回調査で70万円だったのが、今回は126万円へと大幅に増えている。
今回のアンケート調査を行った担当者は次のように話す。
「コロナ禍で収入不安が高まり、将来への不安が高まっていることがうかがえる。
アンケートでは、自家用車を購入しようと思っている年収や、住宅を購入しようと思っている年収も前年よりも上昇していた。中でも、結婚や子育てについての意識は、将来への不安の高まりの影響を強く受けている」
(文・横山耕太郎)