極右に人気のSNS「パーラー(Parler)」のトップが身を隠しているという。
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- 極右に人気のSNS「パーラー(Parler)」のジョン・マッツェ最高経営責任者(CEO)とその家族が、殺害をほのめかす脅迫を受けたとして、自宅から退避した。裁判所に提出された書類から判明した。
- パーラーはアップルとグーグルのアプリストアから削除され、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)も「公共の安全を脅かすおそれがある」として、パーラーのアカウントを停止する措置をとっていた。
- トランプ大統領の支持者らは1月6日の議事堂乱入事件後、ツイッターが大統領のアカウントを永久停止したため、パーラーにくら替えして集まっていた。
パーラーのマッツェCEOが、殺害をほのめかす驚愕を受けたことを理由に、自宅から退避した。同氏の弁護士が1月15日に裁判所に提出した書類から明らかになった。
デイビッド・グローズベック弁護士によれば、マッツェCEOは「殺害をほのめかす脅迫と、身の安全を脅かす侵害行為を受けたため、家族とともに身を隠さなくては」ならない状況にあるという。
裁判所に提出した書類は、AWSのサービス停止措置が反トラスト法(=日本の独占禁止法に相当)に違反するため、アカウントを復活させるよう求めて提訴したもの。
AWSは、パーラーには1月6日の連邦議事堂乱入事件とつながりのある暴力的なコンテンツが含まれていたとして、同社のアカウントを停止。
また、パーラーからの(反トラスト法)提訴に対しては、「公職にある特定の人物や一般市民に対するレイプや暴行、殺害を煽ったり計画したりするなど、公共の安全を脅かすコンテンツ」を放置したため、アカウント停止が唯一の選択肢だったと主張している。
「脅迫合戦」の背景
パーラー(Parler)のジョン・マッツェ最高経営責任者(CEO)。米FOXニュースのスクリーンショット。
Screenshot of Fox News
トランプ大統領の支持者らは議事堂に乱入して警察を襲撃。2020年11月の大統領選挙の結果を正式に確定する上下両院合同会議の議論を中断させた。議会警察官1人を含む計5人が死亡、うち1人は警察官に撃たれた暴徒の女性だった。
乱入事件後、ツイッターはトランプ大統領の個人アカウントを永久凍結。トランプ支持の保守派は、賛同者たちをパーラーにくら替えするよう促したため、アップルの「アップストア(App Store)」で人気アプリ1位に急上昇した。直後にアップルはパーラーをストアから削除し、グーグルも同様の措置をとっている。
続いてAWSも「公共の安全を脅かすおそれがある」として、パーラーのアカウントを停止した。
1月15日に裁判所に提出した書類のなかで、グローズベック弁護士はパーラーのマッツェCEOが誰から脅迫を受けたのか明らかにせず、代わりに「AWSから非難を受け続ける企業のトップである限り」、マッツェCEOは生命の危険にさらされるとしている。
一方、ブルームバーグ報道(1月13日)によれば、アマゾンのスタッフはパーラーのユーザーから(データセンターの爆破予告など)脅迫を受けているという。
(翻訳・編集:川村力)