「休廃業・解散」が過去最多でも「倒産件数」は30年ぶりレベルで改善のワケ

TOKYO

Shutterstock

コロナ禍に見舞われた2020年は全国で「休廃業・解散」した企業が4万9698件(前年比14.6%増)に達し、東京商工リサーチが調査を開始した2000年以来、過去最多となった。前年から6000件以上増えている。

別企業に事業譲渡されるケースもあるため、すべての従業員が失職したわけではないが、休廃業・解散で12万人超が勤務先の変更や離職を余儀なくされたことになる。

一方、経営そのものが立ち行かなくなる「企業倒産」は、7773件と前年比で7.2%減少。30年ぶりに8000件を割り込むという対照的な結果に。

なぜ倒産は減ったのに、休業・解散は過去最多を更新したのか?

東京商工リサーチの原田三寛情報本部長は、倒産に対しては、コロナ禍での政府や自治体、金融機関の資金繰り支援策が効果をあげたとしつつも「2020年のコロナ禍では、明日を生き延びる資金繰りは行われたが、中長期的に将来を生きる支援にはなっていなかった」と、政策的な限界を指摘。

コロナ禍により、これまで以上に将来に希望を見出せない経営者が、休廃業へと背中を押された形だ。

70代以上の経営者、半数は後継者なし

factory

日本の社長は高齢化している。後継者がいないため、休廃業に追い込まれる企業は増え続けている(写真はイメージです)。

GettyImages

「そもそも社会の高齢化に伴い、日本の社長は高齢化している。近年のトレンドとして、後継者がいないため、休廃業に追い込まれる企業は増え続けています」(東京商工リサーチの原田氏)

東京商工リサーチによると、2020年に休廃業した企業の4割は、代表者の年齢が70代。60歳以上で見ると8割を超えている。

原田氏は「事業継承がスムーズに進まず、社長の高齢化が休廃業・解散を加速する要因になっている」と指摘する。休廃業・解散する直前期の決算は、2020年は全体の6割が最終黒字。目下の経営が不振とは限らない。

2019年時の中小企業庁のまとめによると「今後10年間に、70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者は245万人。半数の127万社で後継者不足」と見込まれている。

「現状を放置すれば22兆円のGDPが失われる」との危機感から、政府は税制優遇策や補助金事業を投下し、2019年には休廃業が前年比を下回る効果が出ていたという。

しかし、そんな政策支援とはうらはらに、新型コロナに見舞われた2020年。経営自体は回せていても、将来的な存続を危惧する高齢社長たちは、休廃業・解散へと背中を押されたようだ。

開業後の継続支援はあったのか

tosyou

一方、2020年の休廃業を業歴別で見ると、最多は10年以上20年未満が2割超。次いで、20年以上30年未満で約15%。100年以上はわずか0.03%にとどまった。業歴の浅い企業が目立っているのも事実だ

東京商工リサーチの原田氏は、政府が「稼ぐ力を取り戻す」をスローガンに打ち上げた「日本再興戦略」の中で、ベンチャー創出が重点項目として掲げられ、起業支援が活発化した経緯に触れる。「単に開業を促すだけでなく、その後のフォローが必要のはず」と指摘する。

産業別では、コロナに直撃された飲食業や宿泊業などサービス業が1万5624件、前年比約18%増と最も多かった。

ただ、件数こそ1817件と少ないが、金融・保険業の休廃業は前年比から4割増と減り幅が目立った。

目の前の赤字補てんだけでは生き残れない

2020年は休廃業・解散が調査開始以来、過去最多を記録した一方で、経営が立ち行かなくなる「企業倒産」は、前年比7.2%減の7773件。30年ぶりに8000件を割り込んだ。

このギャップはなぜ生まれたのか。

これについて調査では、まず、企業倒産がこれまでになく少なかった背景には、持続化給付金や新型コロナ特別貸付、借入金の返済に最大1年間の返済猶予を認める「新型コロナ特例リスケ」など、政府や自治体、金融機関が矢継ぎ早にコロナ禍支援策を打ったことがあると指摘。

ただし原田氏は「支援策は明日を生き延びるために、目の前の赤字補てんを繰り返す、短期的な破たん回避には寄与したが、将来的に生き延びる、事業の持続可能性には結びつかなかった」と分析。目の前の倒産を免れた企業は出たものの、持続可能性の改善にコロナ禍支援策が寄与していないと指摘する。

今後の見通しも、コロナの感染拡大状況次第では厳しいものとなる。

「短期的な資金繰り支援策を終えて、中長期的にどう生き延びるかの支援策に切り替えるタイミングで、2度目の緊急事態宣言が行われた。またも売り上げの減少で資金繰りに苦しむ企業が増えるため、短期的な支援策のニーズは高まっている。感染拡大を抑えることで、いかにスムーズに中長期的な支援策にスイッチできるかが、将来的な企業存続には必要になる」(東京商工リサーチの原田氏)

(文・滝川麻衣子)

  • Twitter
  • Facebook
  • LINE
  • LinkedIn
  • クリップボードにコピー
  • ×
  • …

Popular

あわせて読みたい

新着記事

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい

広告のお問い合わせ・媒体資料のお申し込み