エルサレムのワクチンセンター。
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- イスラエルは人口の約27% —— 人口900万のうち約243万人 —— に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンを接種した。
- ジョンズ・ホプキンス大学のデータによると、イスラエルではすでに55万人以上が新型コロナウイルスに感染している。
- イスラエルは"感染者ゼロ"には程遠いが、新規感染者数の1週間の移動平均と3日間の移動平均はともに減少し始めた。
- イスラエルは世界で最も人口あたりのワクチン接種が進んでいる国だが、そのワクチン計画にはガザ地区やヨルダン川西岸地区に住んでいるパレスチナ人は含まれておらず、批判を招いている。
イスラエルでは人口の4分の1以上にCOVID-19のワクチンを接種して、ようやく新規感染者数が減り始めた。
これまでに243万人以上が、2度の接種が必要なワクチンを少なくとも1度受けている。Our World In Dataのデータによると、これはイスラエルの人口の約27%にあたる。ジョンズ・ホプキンス大学のデータによると、1月13日に9997人だったイスラエルの新規感染者数は、17日には8190人に減った。
イスラエルは世界で最も人口あたりのワクチン接種が進んでいる国で、本格的な展開にあたり困難に直面しているアメリカといった他の国々からは"成功例"としてもてはやされている。Insiderが報じたように、イスラエルは比較的少ない人口が密集していること、中央集権化されたデジタルに精通した医療制度があることから恩恵を受けている。
ロイターは1月18日、イスラエル政府が他国の助けとなるよう、ワクチンを製造したファイザー(Pfizer)やバイオンテック(BioNTech)とデータを共有していると報じた。
「このプロジェクトはイスラエルで実施されているが、得られた見識は世界中に適用できるだろう。これにより、わたしたちは各国政府が自国のワクチン接種キャンペーンの公衆衛生上の効果を最大化できると期待している」とバイオンテックが18日にコメントしたとロイターは報じている。
新型コロナウイルスのワクチンは、間隔を3~4週間あけて2度接種することになっている。1度目の接種後にある程度の効果は得られるかもしれないが、きちんとした免疫効果を得るためには2度の接種が必要とされている。
ジョンズ・ホプキンス大学によると、イスラエルではすでに55万人以上が新型コロナウイルスに感染していることから、こうした人々もある程度、COVID-19に対する免疫があるだろう。同大学によると、イスラエルではパンデミックが始まって以来、4000人以上が新型コロナウイルスで死亡している。
Worldometerのデータによると、イスラエルでは新規感染者数の7日間平均も減少していて、COVID-19の流行が落ち着きつつある可能性を示している。7日間平均は13日の時点で8395人だったのが、17日の時点では8144人に減った。
ただ、世界の人口あたりのワクチン接種でリードするイスラエルだが、ABC Newsが報じたように、その進め方をめぐっては批判もある。イスラエルのワクチン計画には、ガザ地区やヨルダン川西岸地区に住んでいる約500万人のパレスチナ人が含まれていないからだ。
1月上旬、ネタニヤフ首相は3月末までに全人口にワクチンを接種する計画だとし、イスラエルがCOVID-19を克服する最初の国になると信じていると語った。ただ、ニュージーランドやオーストラリアといった国は、ワクチンへのアクセスなしでも長期間、感染を抑え込むことに成功している。
イスラエルは現時点で1月21日までとしているロックダウン(都市封鎖)の期限をさらに延長する見込みだと、タイムズ・オブ・イスラエルは17日に報じた。
(翻訳、編集:山口佳美)