アイロボットのプログラミングロボット「ルート」がついに日本に上陸する。
出典:アイロボット
ロボット掃除機ルンバで知られるアイロボットジャパンは1月19日、プログラミングロボット「Root」(ルート)の日本展開を発表した。発売時期は2月19日予定、アイロボット直販サイトでの価格は、2万9800円(税込)。
小さなルンバのようなプログラミングロボット
ロボット掃除機「ルンバ」とRootを比較したところ。
出典:アイロボット
Rootは2019年6月にアイロボットがアメリカで発売したSTEM(Science, Technology, Engineering, Mathematics)教育向け製品。ロボットであるルート、そしてルートをプログラミングするためのiOS/Androidアプリおよびウェブサービスの「iRobot Coding」という構成だ。
ロボット本体であるルートの特徴だが、幅13.4×奥行き14.9×高さ4.5センチと小柄ながら、外観は同社のロボット掃除機「Roomba」(ルンバ)や床拭きロボット「Braava」(ブラーバ)によく似ている。
掃除機能は当然ないものの、壁や障害物に当たると跳ね返るバンパーや、段差センサー、光センサー、LEDセンサーなどさまざまなセンサーを内蔵。ルンバなどのように移動だけではなく、回転することも可能だ。
Rootは裏面にマグネットを装備しており、ホワイトボードにもくっつく。
出典:アイロボット
さらに、裏面にはマグネットも付いており、床で動かす以外にもホワイトボードや黒板にくっつけて動かすことも可能。Rootの中央にはマーカー挿入口があるため、付属のペンをそこに差し込むとプログラミングしつつ絵も描けるなど、一風変わった楽しみ方ができる。
Scratch風に加えて、Swiftでのコーディングも学べる
iRobot Codingには3つのモードがある。
出典:アイロボット
一方、プログラミングを実際に行なう「iRobot Coding」の特徴は、利用者の習熟度に合わせた以下の3つのモードを搭載している点にある。
- レベル1……イラストなどで“命令”が表現された“ブロック”をドラッグ&ドロップで連結させて一定の命令を実行するモード。
- レベル2……「Scratch」のように、テキストベースの命令や分岐条件などをグラフィカルなブロックを移動させて組み立てるモード。
- レベル3……テキストベースのコーディングができるモード。アップルが開発しiOSやmacOSなどのアプリ開発にも使われる言語「Swift」に準拠している。
iRobot CodingはRootがなくても使える。アプリの価格は無料だ。
出典:アイロボット
各モードでコーディングした内容は、アイロボットのクラウドにアップし、そこに表示される文字列を共有したい相手に教えるだけで共有できる。
また、iRobot Codingにはシミュレーション機能もついており、実際の動作はRootで確認するだけではなく、画面上の仮想的なRootでも確認できる。そのため、無料のアプリ単体だけでプログラミングを学ぶ、といったことも可能だ。
1000台を無償提供、全都道府県の小学校の導入も検討
写真左より、Rootエデュケーショナルインストラクターの為田裕行氏、アイロボットジャパン新規事業開発室長 執行役員の山田毅氏、アメリカからリアルタイムでオンライン登壇したアイロボットCEOのコリン・アングル氏。
出典:アイロボット
アイロボットのColin Angle(コリン・アングル)CEOは、1月19日にオンラインで開催された発表会で、「英語を学ぶことと同じぐらいプログラミング学習が重要だと考えている」と述べ、プログラミング人材に対する社会的なニーズの高まりを強調した。
ただし、コリンCEOは1年以上前からRootを販売する米国市場について「(売れ行きは)好調」としつつも、「(現時点では)学びを作っていく段階」とし、ビジネス的な評価をするには「時期尚早である」としている。
既に日本でもパイロット授業が行われている。
出典:アイロボット
日本でもアメリカ同様、プログラミング教育に関心のある個人だけではなく、教育機関もターゲットに定めており、認定代理店による販路を別に用意するほか、実際に教壇に立つ先生の補助となる指導略案や実際に使えるワークシートなども用意されている。
さらに、1月19日から日本全国の小学校を対象とした合計1000台(1校あたり最大6台)のRootを無償提供するプロジェクトを実施(先着順、要申請)。
アイロボットジャパンの新規事業開発室長で執行役員の山田毅氏はコリンCEO同様に「(収益化などビジネスとしては)数年で立ち上がっていく」という見方を示しつつも、無償提供プロジェクトを通して「2021年内に全都道府県の学校に導入していただけるようにしたい」と意気込みを述べた。
(文・小林優多郎)