TikTok(ティックトック)と英政府、ロビイングの現場における“駆け引き”の実態が見えてきた。
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- イギリス政府がTikTok(ティックトック)に対し、同国の次期駐中国大使の人選を正式決定前に伝えていたことが明らかになった。同社からの投資を引き込みたい政治的意図が背景にあったものとみられる。
- イギリス政府はTikTok側の担当者に対し、この「極秘」情報を「口外しないよう」頼んだ。
- Business Insiderが入手したメールからは、イギリス政府の高官らが、国家安全保障上の理由から外資への監視を強化する計画が進んでいることについて、TikTok側を安心させようと水面下で動いていたこともわかる。
ショートムービーアプリ大手のTikTokが、イギリスの次期駐中国大使の名前を、最終確定前に「極秘」情報として事前に知らされていたことが、Business Insiderの入手した文書から明らかになった。
該当するやり取りは、情報公開法に基づく開示請求を通じて入手した、TikTokとイギリス政府高官の22ページにわたるメール記録の中に記されている。世界最大級のテック企業と政府高官による駆け引きの一端を垣間見ることのできる滅多にない文書だ。
メールのやり取りは「営業秘密」を保護するため、厳重に編集(マスキング)処理されている。
しかし、確認できる部分からでも、イギリス政府の国際通商省(DfIT)がTikTok UKの幹部に「口外しないよう」求めたうえで、キャロライン・ウィルソンが次の駐北京大使に就任する予定であることを、最終確定する前 —— 正確には、正式発表(2020年6月)の4カ月前 —— に伝えていたことが読みとれる。